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実力の階梯

「サイバネティック監視辺境伯。ようこそ、我が公邸へ。

 大陛下から話は聞いている。辺境の星で、特にこれと言ったものも用意できないが、これで我慢して欲しい」


 そう言って、チキュウ魔王は、召使に目配せし、サイバネティック伯に対し、チキュウの特産品である紅茶を差し出させた。


 チキュウ魔王公邸は、ちょっとした宇宙ステーションである。

 治安の悪い辺境の星では、一般に、魔王公邸は宇宙に置かれ、地上からは隔離されているのだ。


「貴君が来るまでの間に、余に大陛下から通信が来てな。

 原子級のマハク使いは、最低でも二人ほどいるらしい。

 元は一人だと思っていたのに、程なくしてもう一人分の反応が出てきたということだ。

 しかも、二人とも、あと少しすれば陽子級に迫るのではないかというレベルの、原子級でも上位のマハク使いらしい。

 二人まとめて相手にするのは、貴君でも厳しいであろう。

 今のところ反乱に即つながる動きは見られないが、念のため、サン・キラーは、この近くに待機させて置いてほしい」

「仰せのままに、陛下」

「それと、動きがあっても、なるべくなら生け捕りにして欲しい。

 原子級のマハク使いが二人同時発生するというあの現象は、どうも大英雄アマカケとその側近に見られた現象に酷似している。

 アマカケの血は滅びているはずではあるが、万一ということもあるから、余がこの目で確認したいのだ」

「ですが、それでは陛下が…」

「危険に晒される、と言いたいのだろう?

 まあ、筋骨隆々の機械化エルフである貴君からすれば、余のこの容姿では、そうみられても仕方があるまい。

 ちょうどいい機会だ。少し手合わせしようではないか。

 余は、大陛下にこそ及ばぬが、決して弱くはないはずだぞ」

「…光栄です、陛下。では、私も手加減なく、陛下の技量を見極めさせていただきます」

「ここではあれだ、せっかくのインテリアを壊したくはないからな。訓練場を使うぞ」


 彼女は、そう言って、サイバネティック伯に微笑みかけた。


----


「マコク使いは、自分たちの強さを測る指標を持っていてな。元々はマハク使いが使っていたものなのだが、最後に、参考までにこれだけは教えておこう。


 君たちは、今の実力では、恐らく原子級の上位、と言ったところだろう。

 その先は、世界から直接道を学んだ者のみが到達できる段階で、陽子級、クオーク級、超ひも級と続いている。

 宇宙魔皇を相手取るのであれば、最低でも陽子級の実力は恐らく必要だが、この辺境のチキュウ魔王ぐらいなら、今の君達でもどうにかできるかもしれない。


 それで、こうしたクラス分けの諸段階は、せっかくだから知っておくとよい。


 各級には、マクロネームとミクロネームが存在する。

 今並べたのはミクロネームで、マクロネームは、力量に対応する宇宙規模の命名となっている。


 上位から行くと、最上位、大英雄アマカケですら片足入れていたかどうかと言われるレベルが、ミクロネームでは超ひも級、マクロネームではマルチバース級と呼ばれるクラスだ。


 それに続き、各時代の世界最高クラスのマハク使い、マコク使いが入るか入らないか、という水準にあるのが、ミクロネームでクオーク級、マクロネームでは魔宙級と呼ばれるクラス。


 その次が、銀河レベルの天才といって良い人々の集まる、ミクロネーム陽子級、マクロネーム銀河級と呼ばれるクラス。

 見たことはないが、皇国の中枢に近い星々の魔王・大魔王ともなると、皆これぐらいの能力があるマコク使いだという噂だ。


 そして、ようやく今の君たちが入るであろう、ミクロネーム原子級、マクロネーム恒星級と呼ばれるクラスになる。だが、このクラスでも、超一流と言って差し支えはない。

 マハク使いとしては既に言い伝えに残る程度の存在だが、皇国のマコク使いにはその程度の使い手は結構いるという噂だから、決して油断はしない方がいいだろう。


 その下には、恐らく私が含まれるミクロネーム分子級、マクロネーム惑星級というクラスがある。この辺でも、一応一流扱いはされるレベルではあるんだが、君たちを見ていると、そんなことは霞んでしまいそうだよ。


 それ以下は、ミクロネームでは高分子級、細菌級、原生動物級、小動物級、マクロネームでは大陸級、山脈級、山林級、大都市級、とそれぞれ続き、最後に、ミクロネーム・マクロネーム共通で、凡人級というクラスに至る。

 評価としては、中堅上位、中堅中位、中堅下位、初心者、そしてマハク・マコクを全く知らない人々、というところだな。


 まあ、この辺なら、君たちには問題にすらならないだろうが、知識として知っておいて悪くはないはずだ」


 軽く魔剣の魔剣としての使い方を手ほどきした後、帰宅したベンは、そうリンたちに説明した。


 リンは、それを聞いて、


「まだまだ、伸びる、ということですね?」


 と目を輝かせた。傍らのレイは、やや沈んだ面持ちだった。


挿絵(By みてみん)

次回、いよいよマコク使いの実力を垣間見ることができます。

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