エピローグ:その後
最終話です。
サラは、宇宙全体ではあまり顔を知られてはいなかった。
とはいえ、その容姿と瓜二つである故に先代魔皇の面影を宿すことになったサラシャが、魔宙皇国首都惑星のダヴィリオーニの制圧宣言を出したことは、効果的であった。
新連邦共和国による体制に、形の上とはいえ魔宙皇国からの継承と禅譲の色を帯びさせることができたためである。
その結果、魔王・大魔王・魔帝などの官僚制度の大枠も、比較的スムーズに引き継がれた。但し、その名は惑星知事・星系知事・銀河提督と改められ、皇国の恐怖支配の一環であった監視辺境伯制度は、全面廃止された。また、これらの官僚制度については、任期制・選挙制が導入されることとなった。
民主化に当たって鬼門になると予想された、各地のクロノシンクロナイザーの維持の問題についても、十分な人員が育成されるまでは、サラシャツーが全宇宙規模でその能力維持を一手に引き受けることにしたため、無事に解決した。
ただし、一部魔族はこれに納得せず、連邦共和国に反旗を翻したのだが、サラシャの複製体達、通称サラシャ軍団から派遣されたわずかな人員により、間もなく鎮圧されていった。
皇国軍でも連邦共和国に下ったものは、再編され、新たな群の一翼を担うこととなった。そのトップには、サラシャフォーが就いた。
レイは、新連邦共和国首相として、主にダヴィリオーニでその後の人生を送ることとなった。
その上に、連邦共和国名誉元首の職が置かれ、サラシャがこれに就いたが、実際には、どうしても必要な時を除き、サラシャツーがその職を代行することとなった。
サラシャスリーは、気の赴くままに、宇宙海賊業を続けることにしたガーゼインと合流し、彼女の度肝を抜きながらも愉快な冒険を重ねていったが、これもまた別の話である。
リンは、チキュウに戻り、マハクとマコク、双方の力を融合して更に高めた、マカクの道の創始者となった。
彼は、そこにマカクの学園を開き、ゴーティマとラウラを、それぞれマハク・マコクの道の基礎訓練を教える教員として招いた。
そこに、必要ならいつでも転移できるからと言って、サラシャが合流したのだが、彼女は、表向きは複製体の一つという扱いで過ごした。
このサラシャ、学園ではサラシャエックスと称した彼女は、大英雄の末裔にして学園長であるリン・アマカケを除けば、当代一とも言われるほどのマカク使いとして名を馳せることになっていく。
そして、教育に徹して半ば隠遁に近い生活を送るリンに代わり、時に力を行使すべく宇宙を駆け巡ったのだが、いられる限り、リンの傍らに身を置くことが多かった。
が、リンとサラシャは、生涯仲は良くとも、遂に一緒になることはなかった。
リンの愛は、生涯、サラただ一人に捧げられたからである。
この宇宙、魔宙は広大で、歴史も長い。リン・アマカケのストーリーは、その一ページに過ぎない。
また別の場所で、別の人によるストーリーが、今日も紡がれていく。中には、マハクの道すら知らないのに、宇宙を舞台に大立ち回りをして、魅力的なストーリーを紡ぐ人もいるかもしれない。
それらの物語を、またいつか、新たな一編として語る日まで。
今までありがとうございました。
楽しめましたら、感想やブクマ等、入れていただければ幸いです。
私自身は、新たにカクヨム進出しようと思っていますので、なろうと同時連載にするか、書き分けにするかも含め、色々考えさせてください。
(魔宙戦争の別ストーリーはなろう専門にする予定です)
詳細はTwitterで流します。
今後もよろしくお願いします。





