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宇宙海賊ガーゼイン

 チキュウのオアシス都市付近の魔宙港管制塔から、リンたちに向けて通信が入る。


「総司令、本魔宙港に着陸した武装商船部隊から、このような通信が入りました。

『我々は魔宙皇国軍に一矢報いたし。ついては新魔宙連邦共和国軍に合流を希望す。

 また、連邦軍総司令官リン・アマカケ殿を、一度お目にかけたし。

 ついては、返信を乞う。ガーゼイン』

 いかがしましょうか?」


 リンは答える。


「通していいよ。会いたいというなら、会うのもいい。それに、ちょうどこっちも艦船が欲しいと思っていたところだし、我々に合流してくれるというのなら、助かるからね」

「承知しました」


----


 ガーゼインが乗っている魔宙船では、ティグルが、話が通ったと知って早速反乱軍の総司令を見に行こうとする、彼女を引き留めようとしていた。


「ガーゼイン様。しかし、ご自身で出る必要はないのでは?」

「いや、噂だけは聞くアマカケの末裔とやら、アタイが自分でその器を確かめさせてもらおうってのさ。

 万一に備えて正装しているし、アタイは宇宙一の魔銃使いなんだからさ。やられるわけないっての。

 心配しすぎだよ、ティグルは。気持ちは嬉しいけどさ」


 ガーゼインの正装は、黄色と黒のストライプ模様に染まったビキニアーマーで、腰にベルトがついており、魔銃を装着することができるようになっているものであった。

 それを指示して、ガーゼインは言う。


「知ってるよね?なまじいろいろ覆っている鎧なんざよりも、こっちの方が動きやすい上に、ちょっとの魔力だけ注いでやれば強力な自動結界を張って、下手な鎧が通す刃からであっても身を守ってくれる。

 こいつを着たアタイは、誰にも負けないよ。だから、ティグルは安心して待っていな」


 それを聞いて、こういう時は何を言っても下がらないガーゼインの性格を知っているティグルは、しぶしぶ言った。


「承知しました」

「んじゃ、行ってくるから。アタイの代わりに、この船のことは頼んだわよ」


----


 リンたちのいる新連邦共和国軍総本部は、スナ族の部族の長の、オアシス都市における別荘が転用されたものであった。

 スナ族は他部族が砂漠の縄張りを荒らすのを嫌う分、他部族との交流も希薄ではあるが、どうしても自給できない必要なものは、部族の長が代表してオアシス都市から定期的に購入していた。

 そのために、かつての長が購入したのが、この別荘であった。


 そして、今、この別荘の客間に入り、リンたち3人に向かってきたのは、眼帯を付け、髪の毛もビキニアーマーも黄色と黒のストライプ模様で、トラのような耳と尾が生えている、長身で豊満な体系の美人のトラ族であった。


 彼女は、3人を見て言った。


「来たわよ、リン・アマカケさん?アタイは、アンタの器を見極めさせてもらおうと思ってさ」

「新連邦共和国軍総司令官の、リン・アマカケだ。あなたが、ガーゼインさんだね?」

「そうよ」


 そこへ、金髪碧眼の美少女が口を挟んだ。


「ガーゼインって、本当にあの宇宙海賊ガーゼインじゃないの。リン、あなたとんでもない人を呼んじゃったわね」

「知ってるのか、レイ?」

「皇国が100億マカの賞金を懸けている、宇宙一の呼び名も高い宇宙海賊よ。むしろ、リンは知らなかったの?」

「初めて聞いたな。でも、街角のポスターか何かで見たことがある顔だな、とは思っていた。あ、遅れたが紹介しよう。

 今私に助言してくれたのが、副司令官のレイ、そして、こちらのタコ族の女性が、同じく副司令官に就いたゴーティマだ」

「そう。アタイを見て、その正体を知っても、アンタは驚かないのね?」

「皇国軍に一矢報いたいなんて考える商船は、そもそも訳ありだろうってのは誰でもわかるからね」


 その、平然とした様子に、若干戸惑って、ガーゼインは言う。


「あの、アンタ本当にアタイのこと知らないっての?これでも、アタイは宇宙一の魔銃使いだってのにさ」

「そう。でも、魔剣も結界も使いようでは飛び道具にもなるし、今更銃を使うと言われても驚けないな」

「じゃあ、試してみるかい?アタイの腕を」


 言うなり、彼女は、銃を腰から抜いて、構えた。


「アタイのこの構えを見て、生きて帰った敵はいないんだってさ。前に誰かがそう言ってるのを聞いたわ」

「そうなんだ」

「少しは驚けってのさ」

「驚こうにも、感じた強さだと、レイやゴーティマとさして変わらないから、何とかできると思うしね」

「じゃあ、アンタはアタイよりも強いと?」

「そう思うね」


 それを聞いて、彼女は、銃をしまって、言った。


「フン、言わせておけば随分と好き放題言ってくれるじゃないのさ。じゃあ、そっちの自称ゴーティマ。アンタから試させてもらうわよ」


 すると、ゴーティマが返した。


「いいのか、使わなくて、銃を」

「喋り方まで歴史上の記録に似せてるのかい。まったく、アタイらトラ族に対する侮辱も甚だしいったらありゃしない。

 紛い物には、この素手一つで十分だっての」


 言うなり、彼女は、咆哮を上げて、ゴーティマめがけて飛び掛かった。

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