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流れ着いたトラ族

 チキュウ上。魔力をより繊細かつ強力に感じ取るべく、リン、レイ、ゴーティマは、それぞれ目を閉じて瞑想していた。

 と、リンが、突如目を開いて言う。


「感じたぞ。サラが、誰かと戦っていた。強力な魔力が、二人分…」

「二人分?確かに、強い魔力は感じだけど、よくそこまで正確にわかるわね、リン」

「感じた、我も。漂っている、宇宙空間を。いる、恐らく、大魔王公邸に」

「大魔王公邸?ってことは…」

「サラがタイヨウ大魔王を兼任している可能性が高いわね。確か、大魔王公邸は宇宙戦艦としても使えるって習ったけど」

「しかり。戦艦だ、大魔王公邸は。感じる、いくつも、囲うように、魔力を。編成している、艦隊を、攻守兼ねて」

「つまり、大魔王公邸を中心とする宇宙艦隊が編成されていて、それぞれにマコク使いが乗っているというところかしら?」

「そうだね、多分そんな感じだと思うよ、レイ。前に私がマハクの力を使ってサン・キラーを分解したから、その対策としてマコク使いに抵抗させようとしているんじゃないかな」

「それで、リンの力でどうにかできそう?」

「一隻一隻地道にやればできなくはないかもしれないけど、サラがいるであろう大魔王公邸だけを残して、その他すべての戦艦を同時に分解するのは、抵抗を考えると結構難しいかも」

「そうなると、私達も宇宙艦隊を参加させる必要があるわね。

 でも、スナ族は基本的に砂漠で生活しているから、せいぜい小型魔宙船ぐらいしか持っていないし、チキュウ上のニンゲン族にしても、皇国軍に頼っていたから、独自戦力はないと言っていいわ。

 だから、新たに建造して人員を集めるしかない。でも、そうなると、さすがに魔剣ほど簡単に魔力で生成することもできないだろうし、どうしたらいいのかしらね…」


----


「やれやれ、反乱が起きて戦争なんかが始まっちまったもんだから、皇国軍も今日はやけに躍起になってアタイたちを追い回して、面倒ったらありゃしないわね。

 ひとまずランダム転移モードで逃げてきたはいいけどさ、こんな辺境まで来ちまったよ」


 トラ族の女性は、自らの乗っている、やや年季の入った魔宙船の中で、そう言った。

 それに対し、何やらモニターを眺めていた同じトラ族の男性が、言う。


「ガーゼイン様。またもや皇国艦隊に目を付けられたようです!レーダーの捕捉した情報によると、大魔王公邸クラスを母艦に、何十隻もの艦船が取り囲んでいると推測されます」

「大魔王公邸クラス?」

「はい」

「多分、さっきまでアタイたちをしつこく追っていたのとは別の艦隊が、転移先の近くに不運にも偶然いたってとこだろうさ。

 アタイたちのようなチンケな宇宙海賊相手に、皇国の大魔王様がわざわざ出向く訳ないしね。

 だが、いざ向こうが見つけたら、連中は見逃しちゃあくれないだろうよ。

 だから、その前に、手っ取り早く無法地帯か完全自治領かに隠れちまいたいんだが、ティグル、ここは、正確にはどこなんだ?」

「それが…」

「いいからお言い。飛ばされた先が辺境であることぐらいは、星を見ればアタイだってわかるからさ」

「…タイヨウ系です」


 一瞬、館内を気まずい沈黙が覆った。


「は?」

「ですから、ガーゼイン様、ランダム転移の結果、我々はタイヨウ系にたどり着いたのです」

「タイヨウ系って、今回の反乱軍の本拠地だわね。はあ、アタイたちも、これじゃどう考えても反乱軍扱いされることになっちまうじゃないか。

 目付けられる前に、もう一度転移して、なかったことにできればいいけど」

「残念ながら、魔力不足で、系内のどこかの惑星に不時着するので精一杯です」

「隠れられそうなエリアは?」

「チキュウのスナ族自治領ぐらいです」

「よりにもよって、反乱軍の本拠地の、更に本丸かい。ほんと、アタイたちも運がないわね。

 あれは反乱軍に対する皇国側の討伐軍だろうから、手出しすれば反乱軍。

 しなくても、不時着した土地が土地だから、やっぱり反乱軍扱い。

 …まあ、なっちまったことは、仕方ないわ」


 そして、大きく息を吐いてから、通信用マイクを近づけて、ガーゼインは、言う。


「総員、聞け!今から、アタイたちはチキュウに不時着する。

 不運にもランダム転移した先が反乱軍本拠地になっちまったから、暫定的に奴らと組んで、状況を打開しようと思う。

 組んだ後、皇国に情報を売って恩を売るか、反乱軍の傘を被ってアタイらの営みをやりやすくするかは、奴らの強さ次第で、ゆっくり考えればいい。

 だが、こうなった以上、今は反乱軍に加わるぞ!いいな?」


 これに対し、ガーゼインの魔宙船と、それを取り囲む、約20隻の同じような魔宙船の乗組員は、一斉に号令する。


「「オーッ!!」」


----


 一方の皇国軍側、ドラグーン伯も、報告を受けてはいた。


「閣下、どこかから転移してきたと思われる、武装商船と思われる魔宙船が22隻ほど確認されましたが、拿捕しますか?」

「いや、放っておけ。ネズミがちょろちょろ動き回ったところで、私達にとっては相手にもならん。

 問題なのは、大賊アマカケの末裔ただ一人だからな」

「承知しました」


 この時、ドラグーン伯はまだ知らなかった。

 その「ネズミ」たちが、その実猛虎だったということを…。

いよいよ宇宙海賊登場です。この先、どうなるのでしょうか?

お楽しみに!

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