来葉 龍の場合 その2 11
第二十一節
約束通りボレロ制服の女子高生姿のままの斎賀以外は全員元に戻っている。
「全く分かりませんが…少しは情報が増えて来ました」
何だかんだあったが来葉は出直すと言って帰って行った。その後の会議である。
「これまで来葉くんが繰り出したメタモル能力と思われる衣装はこれです」
メモ用紙に読みやすい斎賀の文字が躍った。
1 セーラー服
2 ブレザー
3 振り袖
4 女子高生の制服
「…4種類…か」
「一応その内3種類は女子高校生の制服なんで、バリエーション幅に収まるかと思ったんですが、『振り袖』までありってことになると…全く分かりません」
こちとら斎賀の声は男で認識しているからボレロ女に語られても困るんだが仕方が無い。メタモルファイターなら仲間が女になっちゃった状態に慣れないとな。
「…特殊系…ですかね。複数種類を使いこなせるっていう」
「元からそういう能力だってのか…だとしたら奴のメタモルファイトでの戦い方が稚拙な説明になるのか?」
「稚拙とはいえここまではボクたちに対してほぼ無敗です。グループでいうと1勝3敗1引き分け。この内1勝1引き分けは鬼頭さんのです。ボクらは全敗。実質0勝3敗です」
「あたしだってもう勝てないと思うわ」
考えた上で続ける橋場。
「あいつ、純粋メタモルファイトじゃない相撲決着を嫌がってたよな」
「ええ」
「じゃあ結局メタモルファイトが得意ってことだよな?」
「結果的に勝ちまくってますからね」
第二十二節
「納得がいかねえ。負けた気がしねえよ」
いつもなら武林の強がりと一蹴するところだ。だが、珍しく橋場と斎賀も意見が一致する。
「確かにそうなんだ。変身決着が多いもんだからそこで負けが確定するんだけど、なんか全然スッキリせん」
「でも、変身決着でなくても勝てなかったんですよね?」
「うんにゃ。必ずしもそうじゃないと思うよ」
いつの間にか頼んだコーヒーゼリーを食べている真琴。
「最後の決着は土俵を割ったけど、あれってあきらっちが振り袖着せられた状態でタックルされたことが呼び水だった訳じゃん?つまり、振り袖からの女子高生…ってメタモル能力の発揮が勝利に繋がってるわけで、来葉たんがメタモルファイトに強いから勝てたって前提は崩れないよ」
「そっか…」
「しかし、どうして4種類も衣装が使いこなせるんだ?」
「そこが分からないんですよねえ…」
考え込むボレロ娘(斎賀)。可愛い。
「4種類の衣装使いこなしと、謎の勝利って関係してるのかな?」
「してる…んじゃないか」
「鬼頭さん、どう思います?」
口の中に入っていたゼリーを飲み込む真琴。
「…考えてた予想はあるけど…さっきの晴れ着で全部吹っ飛んじゃった」
そうなのだ。幾らなんでもぶっ飛びすぎている。いや、晴れ着をメタモル能力とするファイターがいるであろうことは幾らでも推測が付く。
ところが、基本はセーラー服だと思っていたら3種の女子高生制服に加えて晴れ着となると…。
「…そうだ…」
ボレロ女子高生(斎賀)が何かを思いついたらしい。
「何だよ」
「毒は毒を持って制す…ですよ」
スマホを取り出して何やら電話を掛け始める。
「ま、見てて下さいって」
ウィンクしやがった。
*斎賀健二 メタモル・ファイト戦績 九勝四敗二引き分け 性転換回数一〇回
(三人同士の練習試合はカウントせず)
*武林 光 メタモル・ファイト戦績 一勝六敗二引き分け一無効試合 性転換回数一〇回
(三人同士の練習試合はカウントせず)
*来葉 龍 メタモル・ファイト戦績 二十五勝一敗一引き分け0無効試合 性転換(変身)回数三回




