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来葉 龍の場合 その2 07


第十三節


「真琴?」

「…普通に…戦ってたと思う。何も変なことは無い…うん」


 真琴の方に視線を送ってくる来葉。勝ったのに敗者の斎賀の方を全く見ていない。


「来葉さん。コスチューム・マッチですので衣装の指定をどうぞ」

「ん?ああ…別に何でもいいよ」


 興味が無さそうだ。


「そういう訳にはいきません。けじめですから何か言ってください」


 ブレザーの女子高生になっている斎賀の可愛い声が言う。


「じゃあ…鬼頭…さん。何でも好きなものを」


 一瞬間がある。


「…あたし?」

「ええ」


 毒つく橋場。


「へっ!勝利を捧げるってかよ」

「そういうことだな」

「じゃーこれ」


 真琴はコスチュームリストの中の「ボレロ」と呼ばれる上品な制服を指した。



第十四節


「…あ…りがとうございます。着替えて来ます」

「来葉、一応言っとくが衣装のレンタルは基本的に指定した側が払うのが紳士協定だ」

「…そうなのか?」


 より正確に言うと「指定した衣装を着るために掛かるコスト」が指定側持ちってことになる。

 衣装の持ち込みも勿論自由。その場合は「自前」であってこれがコストだ。

 パンティなどの下着やストッキングなどが衣装に含まれてしまう場合はこれは買い取りとなるのでそれぞれ500円掛かる。


「あ、いいです。コスチュームマッチを持ちかけたのはボクなんでご心配なく」


 斎賀が「ありがとう」と言ったのには理由がある。

 同じ女子高生の制服から制服への着替えなので、ブラジャーやパンティ、スリップは着たままで行うことが出来、また「着替え」に「メイク」が含まれない。

 要はかなり安上がりなのである。

 ついでに言うとハイレグレオタードや大胆に背中の開いたパーティドレスなどよりも“恥ずかしくない”こともあった。

 指定されたボレロのスカート丈がかなり長いのも“男の子”としては有難い。


「次はオレが相手だ」


 武林がのっそり立ちあがった。

 その後ろにとてとてと地味なブレザー姿のメガネ女子高生(斎賀)が通って行く。当たり前だがこうして見ると完全に女子だ。


「…お前もか」

「ああ」


 同じ学ランに無骨な男同士だ。

 街中で目があったならば乱闘が始まりそうである。実際にやってるのは何ともキュートな戦いなのだが。

 皮肉なことにこの武林の持つ能力は「クリーム色のベストに紅いリボン、チェック柄のプリーツミニスカート」たる最も典型的な「今時の女子高生」スタイルで、ぶっちゃけ4人の中で「1番可愛い」能力なのである。



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