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盛田出人の場合 その3 05


第九節


「こんな与太話いつまで聞かせられるんだ!?あぁ!?」

「安心しろ。詳しい記録が残ってるのは後一件だ」

「あーあーそれは何よりだ!」


 ヤケクソになっている。


「次、ジャック・ブライトマン。六十五歳。大学教授」

「…一応訊くが、ジャッキーとかジャクリーンとかじゃなくて『ジャック』なんだよな?」

「ああ。これがジャックの写真」


 髪は白髪なのに眉毛だけが黒々と濃いのが特徴的だが、知的な老人というところだ。


「六十五だあ?じいさんじゃないか」

「じいさんだな。でもって見つかった「自称・ジャック」の写真がこれ」


 そこにはセレブ雑誌の妊婦ヌードみたいな妙に生活感のある肉感的な金髪美女がマタニティルックで授乳の真っ最中の写真があった。


「…何てコメントすればいいんだ?」

「…いい形ですねとか」


 セクハラか。


「じいさんが美女になって赤ん坊におっぱいあげてる状態で発見されただと!?」

「いや違う」

「何だよ」

「オムツを換えてるところを発見されたんだ」


 机をひっくり返した。



第十節


「…落ち着けよ」

「いい加減にしろ!何なんださっきから!」

「そんなに怒らんでいいだろ」

「これが怒らんでいられるか!アメリカの警察はお笑い集団か!?」

「…いや、違う」

「まともに答えてどうすんだ!例え話だよ!」

「どちらかというとコメディ集団…」

「やかましいわ!単語の話をしてんじゃねえんだ!やってることを言ってるんだ!」

「…記録?」

「アホか!聞いたことそのまま書くだけで警察やってられるのかよ!何やってんだ!」

「でも、嘘を書く訳には…」

「大体この元・男を自称する女たちはその後どうなったんだよ!」

「…報告書には書いてない」

「そんな報告書があるかよ!」

「一応この他にも元・ホームレスのおっさんを自称する美女が大量に報告されてるとある」

「あーそーかそりゃ何よりだ!きっと小汚いじいさんたちも綺麗なお姉さんに生まれ変わって満足なんじゃねえのか?」


 しばし沈黙。


「で?どうなんだ巣狩」

「…何がだ」

「この事件の分析だよ。実際問題何が起こったんだと思う?」


 ため息。


「何にも起こっちゃいねえよ。思い込み・勘違い、さもなきゃ集団幻覚だ」

「そう思うのか?」

「それ以外何がある?」

「一気に紹介したが、これらの事件はおよそ2年間の間に断続的に起こってる。集団幻覚だとしてもこうも散発的に起こるもんなのかね?」

「…」

「しかも被害者も老若男女幅広い。ほぼ全年齢の男女全てが犠牲者になる可能性ありだ」



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