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来葉 龍の場合 その1 07


第十三節


 余りにもあっさりした返事だった。


「な、何で!?何でだよ!」

「だってあたしひでちゃんと付き合ってるし」


 “当たり前じゃん”という口調だ。そして倫理的にももっともだ。


「じゃあ…それじゃ勝負で決めるってのはどうだ!?」

「それってメタモルファイトでってことか?」

「それ以外何がある!」


 ちとまずいな…と橋場は思った。

 真琴はこう見えて頑固なところがある。一度決めたことは守るだろう。

 その点心配はしてない。心変わりってことも無いだろう。


 ただ、この来葉の能力の得体のしれなさが良く分からん。特殊系ではないとは思うが、全く説明の付かない強さなのだ。


「もう勝負はついてるだろ?お前の勝ちだ。そんなことじゃ心は変わらんよ」

「お前じゃねえ!…彼女だ」

「…あたし?」

「メタモルファイターですよね?勝てたら付き合って下さい!お願いします!」


 深々とお辞儀をする来葉。

 橋場は“あっちゃー”と思っていた。

 悪いが万に一つも勝ち目なんぞありゃせん。

 先日の口先八丁野郎どもにすら小細工の上からたたきつぶしたのだ(6を参照)。


「…いいかなひでちゃん」

「対戦するだけならな」

「えっと…ライバさん?だったかな」

「はい!」

「もしもあなたが勝ったからといっても、いきなりひでちゃんから乗り換えることは出来ないから」

「え…」

「大体、そんな尻軽女いやでしょ?」

「…」

「でもまあ、もしあたしが負けたんだったら1回デートしよ。そっから先のことはその時考えるってことで」


 腕組みして考えている橋場。



第十四節


 普通に考えれば真琴が負ける要素は万に一つも無い。

 別に殺し合いや女の奪い合いをしている訳でもない。「勝てたらデート1回」ってのは妥当な落としどころだろう。

 そして負ける要素も無いと来てる。


「ま、そんなところじゃ?」


 同意する橋場。


「いいよ。じゃ、すぐやろか」


 足元をざっざとこする真琴。ショートヘアに細く長い脚をジーンズに包んでいるのが何とも凛々しい。


「お得意みたいだからさっきとおなじ条件でいいや。変身決着に土俵ルールで」

「はい!」


 中央で腰を落として構える来葉。詳しく聞いて無いが、明らかに相撲経験者だろう。


「じゃ、ひでちゃん仕切って」


 さっきは行司…もとい、スターターもいなかったが今は三人目がいるってことか。


「いいよ。どうぞ」

「ああ…」


 来葉は相撲式に構えているのに、真琴は突っ立ったまま背中を逸らし、その上両手ともポケットに入れたままだ。


「…それでいいんですか?」

「うん」



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