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来葉 龍の場合 その1 01


第二章 来葉 龍の場合その1


第一節


「…と、いうことでいいか?」

「ああ」


 まったく偉いことになったもんだ…と橋場英男はしば・ひでおは心の中で毒ついた。


 ここは放課後のグラウンド…の隅の校舎の影になるような狭いスペースだ。

 多少の広さはあるが基本的にはただの通り道である。部活動も今日はたまたまグラウンドを使う部が活動していないらしく何も行われていない。

 掃除も終わっているから人通りもまばらだ。


「条件は?」

「変身決着だ」


 目の前には橋場よりも若干背が高く、肩幅が広く、胸板の厚い男が学ランで前のめりに構えている。

 こいつの名前は「来葉 らいば・りゅう」。

 今日転校してきたばかりの転校生だ。


 このガタイで帰宅部ってのも怪しい雰囲気がしていたのだが…メタモルファイターは相手がメタモル能力者であることを積極的に隠そうとでもしていない限りは勘付いてしまうものだ。

 これは、オタクなどの趣味の近いものが相手の発するオーラとでもいうべき雰囲気を感知するのにも似ている…ということになっている。


「良かったらいいか?」

「何だよ」


 来葉は橋場の返事も聴かずにずるずると靴で地面に線を引き始めた。


「…」



第二節


 直径が相撲でいう「土俵」の倍くらいの大きさの円が地面に描かれた。


「このラインを割らない…外に出ないことにしようか」

「まあ…構わんが」


 メタモルファイターは一般人に比べて恐ろしい腕力・筋力、そしてスピードを誇るので本気で逃げ回ったらお互いに追いかけっこがメインになりかねない。フィールドを制限するのは悪くないアイデアではある。


「一歩でも出たら即負けなのか?」

「まあ、審判がいる訳でもない。「いさみ足」くらいはありってことにしようか。ただ、明確にフィールド外にエスケープするのは無しだ」


 まあ、言いたいことは分かる。


「じゃあ、始めるぞ」


 さも当たり前みたいに言いやがる。こいつもジャンキーなんだろうか。


「この石が地面に落ちたら開始な」


 返事も訊かずに真上に投げ上げる来葉。

 五感を研ぎ澄まして落下の瞬間に注力する橋場。小さく「かつっ!」と言う音がした。

 同時に「頭」が突進してきた!



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