リチャード・ケイジの場合 40
第七十九節
渋いのは変わりがないが、それでも先ほどとは少し違うダニーの表情。
「さーらに!モティベーションを維持するためにアイデアだってある」
「言ってみろよ」シンが促す。
「勝敗に関して条件を設定できると言ったな。お互いが同意さえしていれば少々の無茶でもありえるってことだろ?」
「ま…そうだな」
「だったら『負けた方は1か月は元に戻れない』デスマッチなんてのはどうだ?盛り上がるだろ」
悔しいんで必死にこらえたが思わず「あっ!」と言ってしまいそうになるアイデアだった。なるほど。
「…さっきまで見てたと思うが、ダニーの能力はチアリーダーのユニフォーム、オレはバニーガールだ」
「良く分かってる」
「仮にその…おっぱいデスマッチとやら…をやるとしても、バニーガールの方が不利だ」
「そりゃまたどうして?」
「お前は被害者バニーを散々食い散らかしてきたんだったら分かるだろ?ボーン(骨組み)だよ!」
「…何だっけそれ?」
こいつは…相手の女体にしか興味が無かったのか?
「バニーコートは…少なくとも最新型は肩ひもが無いんだ。バニーコートそれ自体で構造を支えてる。胸の縁以外にもハイレグの脚を通す穴やら全体が骨組みで支えられてるんだ。要するにかなり硬いんだよ!ユニフォームの破り易さとは雲泥の差なんだ!」
「でも…その割にはお前、さっきのメタモルファイトはあっさり負けたよな」
「オレの方が不利だって言ってんだよ!耳ついてんのか!?」
眼を閉じて考え込んでいたダニーが口を開いた。
「…いや、必ずしもそうでもないんじゃないか?」
第八十節
「…何だって?」
「今までそういう戦い方をしたことが無かったんで何とも言えんけど、チアリーダーのユニフォームの下はスポーツブラだ。激しい運動くらいじゃ外れないようになってる。戦ってる相手のスポーツブラをはぎ取って乳房をむき出しにさせるのは結構大変だぞ」
「いや…それでもバニーほどじゃねえだろ!」
「お前もさっき言った通り、お前の能力のバニーは肩紐が無い。だから思い切りのけぞったりするとそれだけでもう乳首の先は見えそうになるぞ」
きわどい会話だ。
「大体、お前の能力でカップの覆う面積を変えればいいだろうが。今日は3/4だったが、1/4にすればバニー側が有利なんじゃねえの?」
「じゃあ試してもいいのかよ」
「いいぜ」
妙なことになった。
とりあえず同意の元にダニーがバニーガールになる。シンがしているのだが。
目の前のバニーの胸の部分はとりあえず3/4ほど覆われている。
「じゃあ、ハーフにしてみろよ」
「…ああ」
こんな「調整」行為が出来るなんてメタモルファイターならではだろう(当たり前だ)。
すすすっ…っと胸の部分を覆うバニーコートが後退し、乳房がより空気に晒される。
「…できるな」
「だろ?」
なんというシュールな会話だろう。
「スゲエ!スゲエよお前ら!」
リチャードが興奮している。




