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リチャード・ケイジの場合 36


第七十一節


「あれだけ偉そうにしてたアメフトの英雄があんあん言い出すのは気持ちが良かったぜぇ…大逆転ってのは正にあの事さ」


 これを語ってるのが色っぽいバニーガールというのが何重にも倒錯的だ。

 普通の人間はいじめられっ子に復讐のチャンスなど与えられるものではない。だが、彼…ダニーは見事に成し遂げたのだ。


「…ダニー…お前の頃のクイーン・ビーの名前を良かったら教えてくれ」


 下卑た表情が一瞬素に戻るバニーガール。


「…そんなもん聞いてどうする」

「なに、純粋に興味があってね」


 その場でくるりと回転してみせるシン。

 広がりやすいひだの入ったミニスカートがふわりと舞い上がり、一瞬中が見えそうになる。

 最もチアリーダーのスカートの下はスコートやスパッツなど「見えてもいい」仕様になっている。だが、それでもチラリズムは偉大なのだ。


「…ローラだ」

「ファミリーネームは?」

「…ローラ・カーマイケル…」

「そのローラは今何してる」


 首を振るバニー。


「今そんな話はいい」

「知ってるんだな?教えてくれ」

「うるさい!」



第七十二節


 ぎゅん!と迫ったバニーガールがシン…チアリーダーの左胸を鷲掴みにした。


「きゃっ!」


 思わず声が出てしまった。

 すぐに離すダニー(バニーガール)。


「…結婚して…今はアラスカだそうだ」

「アラスカ?随分また寒そうなところに」

「知らねえよ。旦那の実家なんだとさ」

「誰と結婚した」

「…ハイスクールを出てすぐに売出し中の若手実業家と結婚した。駆け落ち同然だったらしい」

「キャリアウーマンにはならなかったのか」

「その様だ。ローラは勉強で推薦を取るっていうよりアメフトチームのチアリーダーオーディションを受けまくるタイプだったから進学もしてなかった。順当なところだろ」

「…結構なことじゃないか」

「…相手に妻子がなけりゃな」

「…何だって?」


 ため息をつく金髪バニー。

 そのローラとやらも、かつての同級生の男の子が一時的とはいえ、肉体まで含めてバニーガールになってるとは知るまい。


「ハイスクールの在学中から付き合ってたらしい。…馬鹿馬鹿しい話さ」


 シンの中で何かが合点した気がした。


「それで裏切られた気持ちになった訳か」

「…」


 バニーは答えない。



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