リチャード・ケイジの場合 34
第六十七節
「勝負はオレの勝ちだ」
「分かってる。けどもう少し話をさせてくれ」
「オレの方は話すことなんてない」
素っ気ないバニーガール。
「まあそう言うな。…今まで手に賭けた8人ってのはみんなこの格好させたのか?」
ぴらりとミニスカートを軽くつまんで持ち上げる変わり果てたシン。
「そういう能力なんでな…せめてオレだけでも戻っていいか?女の格好なんぞ落ち着かん」
「もう少しだけ」
「…」
「で?どうだった?そいつらの反応は」
少し考えるバニーガール。
パンパンに張りつめたおっぱいにお尻。流れる様なブロンドに濃い化粧。清楚な美少女バニーガールも普通に成立する日本人と違って、こちらはかなり直接的なセックスアピールの塊だ。
「…少なくともあんたよりは女になるのは慣れてないからな…まあ、パニックさ」
「だろうな」
さながら地獄絵図だ。
バカにしていたスクールカースト下位のダサいナード(≒オタク)に呼び出されたと思ったら、なんと肉体を女に性転換させられ、チアリーダーのユニフォームを着せられた挙句に、凌辱されたのだ。
悪夢なんてものじゃないだろう。
「けどな、オレは一応警告したぞ!」
「警告?」
第六十八節
「ああ。最後にチャンスを与えた。これからお前にハイスクール時代のことを反省するチャンスをやるってな。スマンの一言でも言ってくれるんならお前への制裁は考えてやるって」
ダニーをバニーガールに変えたままこの会話をしていて良かったかもしれない。
ナードのままだったら聞けたもんじゃない。それほど悲惨な話だ。
「…反応は?」
「どうだったと思う?」
「…反省は…しないだろうな」
「ああそうさ」
バニーはそのか弱い拳を握りしめた。
「あいつがハイスクール時代のオレに何をしたかお前にゃ分かるまい。『お前に告白したい女の子がいるらしい』ってんで半信半疑で行ってみたらお粗末な恰好の女装男がお出迎えだ」
「…もしかしてこのスタイルか?」
今のシンが着ているのはチアリーダーの制服だ。
「…ああ」
アメリカ人女性は日本人に比べると平均的に大柄なので制服のサイズも最初からバリエーションが広い。
「それでどうなった?」
「…オレはジョックス(体育会系)連中にボコボコにされた。モンスターみたいに腫れ上がった顔のまま下半身をすっぽんぽんに剥かれてアメフトのポストに縛り付けられた」
「…ヒドいな」
「ああ。そのまま何時間も放置された。学校中の生徒がそれを見学に来てゲラゲラ笑ってた」




