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リチャード・ケイジの場合 31


第六十一節


「こちらはこの後一押しってことになるが構わないか?」

「当たり前だ」


 バニーガール…それも金髪碧眼の白人美女の…ってことになると、天真爛漫な半ば押し付けがましい笑顔って偏見があるが、目の前のバニーはあくまでも仏頂面だった。

 それはそうだろう。


 シンは敢えてハイヒールを脱げにくいストラップ仕様にしなかった。

 その後のアクションのことも考えてである。


 メタモルファイト前の前哨戦であるゲーム対決は、あくまでもハンディとしてアクセントをつけるためのものだった。

 お互いにある程度相手の能力を喰らうことが前提だったはずだ。だから2-1あるいは1-2もしかした1-1-1みたいな具合に。

 それが3-0になるとは誰が予想できただろうか。


 それにしても…シンだって年頃の男である。こうもセクシー美女が色っぽい恰好で佇んでいれば色々と思うところはある。

 自分の被害者を頂く趣味は無いが、ジョーの気分が分からんでもない。ま、一応は正義の味方の積もりのシンはそういう風には使ってこなかったが。


「リック!合図してくれ」

「分かった。カウントダウンでいいか?」

「いいよな?」

「ああ」


 二人が睨みあう。

 バニーガールの方はせめてネコ科の動物が得物に飛び掛かるべく前傾姿勢になりたがったのだろうが、まるで伸縮性の無いハイヒールが邪魔をしてそれも難しそうだった。

 シンの方はハッタリでいかにも拳法っぽい構えを取る。


 ただでさえ「あらゆることが駄目」なダニー相手である。平手でやったってそれなりにメタモルファイトの経験を積んできたシンが遅れを取るとは思えない。

 それなのにそこに持ってきて変身完了している。対するシンは全く変身していない。

 スニーカーとハイヒールだ。しかもストッキング付き。普通に歩いてたって前方に足がずるずる滑るのだ。歩くこともままならない状態で格闘など出来る訳がない。


 余りにも過酷な試合だった。

 だが、むざむざ一般人であるリチャードを相手のメタモル能力の餌食にする訳にはいかない。

 ここは勝たせてもらう。



第六十二節


「試合開始5秒前!4、3、2、1…ゴー!」


 次の瞬間だった。


「…っ!?」


 一瞬何が起こったのか分からなかった。

 シンの脇を何かが通り過ぎたことだけは分かったのだが。


「ふん…日本人つってもコンピュータゲーム以外は大したことないな」


 背後から声がする。


「何を…っ!?」


 思わず感じる全身の違和感…首の回りが厚ぼったく、全身が妙に重い。…視点が…背が低くなってる!


「あああっ!?」


 信じられなかった。

 見下ろした先には大迫力のバストが突き上げていたのだ。

 そしてそれの上に掛かる…ブロンド!?


「大出血サービスだ。お前そこの鏡を見てみろ」


 勝ち誇ったバニーが言う。

 ゲームセンターは店内を広く錯覚させるために奥の壁を鏡張りにすることがある。

 そこまで歩いて行けというのだ。


 シンは用心しながらもゆっくりと歩き、そして思い切って見てみた!


「…!?!?っ!?」



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