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リチャード・ケイジの場合 20


第三十九節


「…何だって?」

「断ると言ったんだ」

「そりゃまた何で?」

「こちとらゲイシャじゃねえんだ!スケベ男にキャットファイト見せて金貰うほど落ちぶれてねえよ!」


 シンが頭をポリポリ掻きながら言った。


「ダニー…そりゃあちょっと違うな」

「何だと?」

「その理屈だと俳優も、モデルもみんなプライドが無いみたいだ」

「そーそー!そうだよ」リチャード。

「じゃあ…」


 すっかり態度が変わっているダニーが続けた。


「ヌードモデルと言えば比喩として適格か?ファッションショーじゃなくて泥レスが高尚か?」

「ヌードモデルとファッションモデルのどこに本質的な違いがある?」

「うるせえ!」


 ダニーが怒鳴った。


「下らん哲学の授業はウンザリだ!じゃあお前は今すぐ金玉の写真をインターネットにばらまいてみろ!出来んのか?一瞬でも躊躇うんだったらテメエの言ってることは綺麗ごとだ!違うか!?」


 見事な反論だった。黙るしかない。


「リチャード、帰ろう。もうここにいても実りは無い」


 このまま「底なし沼」みたいなゲームセンターでふらっと立ち寄った一般人を女にする状態を放置せざるを得ないことに良心の呵責が痛まないと言えばウソになる。

 だが、シンがわざわざアメリカまでやってきて各地を放浪しているのはあくまでもメタモル能力を最大限使って困っている人を助けることであって、メタモルファイター同士の潰し合いじゃない。



第四十節


「このまま帰れると思ってんのか?」


 見た目からは信じられないような言葉が出た。


「よせ。こちとら弁護士連れだ。手は出さない方がいいぞ」

「そうそう」

「ふ…」


 不敵な笑みだった。


「そりゃおめでてえ話だ。一体どんな罪で立件するんだ?『男を女にした』罪か?そいつぁ法律のどこに書いてあるんだ?」


 シンの背筋が寒くなった。なるほどそういう事か…。


「キミの方こそ不勉強だ」

「…何だと?」

「こんなほぼ密室で大人とはいえ男女の関係になれば婦女暴行罪が成立する」

「…」

「どうせキミのことだから、女に変えたジョックス(体育会系)たちを美味しく頂いてるんだろ?」

「だから何だ」

「そいつらは自暴自棄で何もしなかったのかもしれんが、男を女にすることと婦女暴行は別の話だ。単独で立件しうる」

「…原告の正体が不明にならんか?」これはシン。

「こりゃ刑事事件だ。刑事事件となれば原告は州ってことになる。問題ない」


 高笑いするダニー。



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