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リチャード・ケイジの場合 17


第三十三節


「…もしかして、兄さんメタモルファイター?」


 ナード君が訊いてきた。


「…キミと同じくらいにはね」

「なんだ…つまらないな」

「つまらない?つまらないってのは何だよ。メタモルファイトやりたいんじゃないんだ」

「違うよ」


 拗ねた様な態度だ。どうにも精神的に幼いらしい。


「名前を教えてくれ。オレはリチャード・ケイジ。弁護士だ。法律事務所を経営してる」


 このアホがぺらぺらと…。


「この流れじゃ仕方がない。シンタロウ・オガタだ。ジャパニーズさ。シンで通ってる」

「シン…ね」

「オタクは?」


 上目づかいに睨んでくる。どうにもやりにくい。ただ、朝の卑屈にも見える態度とは違っている。敵意剥き出しのオーラでやっとメタモルファイターだと分かったくらいだ。


「ダニー」

「ダニーね。ファミリーネームは?」

「リード」

「ダニー・リードね。いい名前だ」

「おーうさ!電話帳めくればあと100人くらいはいそうなくらいいい名前だ」


 軽くリチャードの足を蹴るシン。リックに悪気は無くても挑発同然だ。



第三十四節


「話しの続きだけど…つまらないってのは何故?ゲーム好きそうに見えるが?」

「そうそう!いつもポテトチップの残りの油と塩を舐めながら敵を撃ち殺してんだろ?」

「お前はしばらく黙ってろ!」


 思わずシンが言ってしまう。


「ふん…お前らも所詮はあっち側かよ…だったら遠慮はいらねえな」

「あっち側?そりゃどういう意味だ」

「シンとか言ったな。卒業したのは日本の学校か?」

「まあな」

「学校は楽しかったか?」

「いや…特には。それがどうした」

「オレにとっちゃ地獄だった」


 間が開いた。


「あいつらは…常に俺を見て笑ってた。くすくすな」

「そりゃいい!今からでもコメディアンに転職…」


 軽く突き飛ばして黙らせる。


「すまん…続けてくれ」

「オレにこの能力が目覚めたのはハイスクールを卒業してからさ。…悔しかったねえ…。だから連中を一人一人ここに呼び出しては『制裁』してたのさ」


 しばし沈黙。

 リチャードが多少は空気を読んで小声で聞いてくる。


「つまりどういうことだよ?」

「スクールカースト下位で常にいじめられてきたダニーは、当時のジョックス(体育会系)やらを呼び出しちゃここでメタモル能力の餌食えじきにしてきたのさ。…そうだろ?」



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