リチャード・ケイジの場合 15
第二十九節
「法曹関係者にゃあいないかもな。メタモルファイター」
「オレの知り合いの弁護士なんて一人だけだよ」
「誰だ」
「お前さ」
本家の肩すくめが見られた。
「ここから先はウチの事務所近くだ。その辺歩いてるのも弁護士、検事、検事、弁護士、判事…あいつは刑事…検事補」
「もういい。分かったよ」
「何も感じないか?」
「…悪いがまだだ」
「まあ、そう簡単には見つからんわな」
「だからそう言ったろ」
「別に怒ってなんかないさ。面白そうな話も聞けたしな」
といってもリチャードの話は殆ど下ネタだ。
この間のジョー戦の時にバニーガールのコスチュームを着せられたんだが、股間部分の締め付けはどうだったかとか、網タイツの感触はどうだったかとか、ハイヒールは痛かったのかとかそんなんばっかりだ。
こちとら戦いに夢中でそれほど覚えちゃいない。
一つだけ言えるのは背中のホックはバストの大きさで多少キツいが、尻なんかはハイレグのお蔭でそれほど締め付けられないってことくらいだ。
常に全身が緊縛されておったんではロクに動けんからな。あれでもウェイトレスの制服なんで。
バニーガールのコスチュームの着心地に長けるってのは男としてはゾッとしない。
「ちと休憩だ。来た時にゲームセンターがあった。そこに寄っていいか?」
「ゲームセンター?ピンボールでもやるのか」
「いや、ホテルに近いんでな。ビデオゲーム主体の店を見つけたんでちと軽く遊んで今日はホテルに帰るよ」
「おいおい!つれないじゃないか!あそこのライブハウスを楽しんで行けよ。奢るから」
第三十節
「人ごみは好きじゃない。酒も行ける方じゃないし」
「だとしても楽しいぜ?あそこのつまみは最高だ。ちとやかましいレストランだと思えよ」
酒も飲まんと酒の肴みたいな味の濃いもの流し込めるかっての。
「事務所の弁護士にオレを紹介しようとしてる?」
「そりゃな」
「なんつって紹介すんだよ!?」
「そりゃ…わが社の娯楽担当ってのはどうだ?」
「…停めるぞ」
幸い駐車場らしきスペースがあった。
ゲームセンター「テクノワール」だ。ノワール(黒)ねえ…。
先日のジョーとのメタモルファイトを思い出す。
「何だよ!ゲームセンターってここか?」
「お前近所だろ。知ってるんだな」
「知ってるが…何時通りかかっても締まってるから物置か何かだと思ってた」
「いつも閉まってる?朝の6時から営業してたぞ」
ボタン操作で車のドアをロックするとキーをリチャードに投げるシン。
「おいおい本当に行くのか?」
「弁護士先生は大人になるとゲームセンターにゃ行かないってか?」
「バカ言え。あのライブハウスの隅っこにゃ『パックマン』も『ガラガ』も置いてある」
「ほんっとうにアメリカ人って『パックマン』好きなんだな。だが日本じゃそいつぁ博物館行きの骨董品だ。日本のゲームセンターにはそんなもんねえよ。あと『ガラガ』じゃなくて『ギャラガ』って読むんだ」
構わずスタスタと入って行くシン。
「おいシン!」




