ただ一つの、目的のためならば。
突発的に生まれた、なんかよくわからない話。
この世の何もかもが、邪魔で仕方ない。
今まで生きてきて、これほどまでにそう思ったのは初めてかもしれない。
行き交う人が、其処彼処から舗道を照らす明かりが、視界を遮る木々が、建物が、身を包むヒラリとした布が、歩行を妨げる踵の高い靴が。
この身体に纏わりつく、生温い空気までもが。
とにかく目の前に在るモノ全てが、今はただ鬱陶しいと思う。
――貴方に近づく、そのためには。
当たり前のモノすらも、ただ障害でしかない。