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第5話 イベントフラグ

力任せに引き裂かれた舞の服はへその辺りまで裂け、次の瞬間光の粒となって消滅してしまった。


「え?・・・キャー!」


舞はしゃがんで体を隠そうとしたが、デスペナによって指一本動かせず、悲鳴を上げることしか出来なかった。


「君が悪いんだよ中野さん。いくら俺が紳士でも、ずっとあんなモノ欲しそうな目で見詰められたら我慢出来る訳がないじゃないか?」


「わ、私そんな目してません!」


「いいや、ずっと俺に抱かれたいって目をしていたよ。証拠を見せてあげようか?」


舞は透矢の右手がどこに向かっているのかを察し、悲鳴を上げた。


「そこはだめぇ!」


透矢は舞の静止を無視し、彼女の慌て様を楽しむ様にゆっくりと手を下ろして行く。


「御堂くんお願いだから!今だけはダメなのー!」


舞の懇願が虚しく響き渡った。




透矢は身動きの出来ない舞のカラダを撫で回しながら、言葉巧みに舞の思考を誘導した。


「へぇー、中野さんが俺と会話しながら、ずっとそんな事を考えてるいやらしい子だったなんてショックだなぁ」


「・・・っ!お、お願いします!嫌いにならないで下さい!わ、私、御堂くんの為なら何でもしますから!」


「なら俺の奴隷(ペット)になって貰おうかな?当然ここでだけじゃなく、現実に戻っても俺の命令は絶対服従だよ?」


「そ、そんな・・・」


「誓えるなら、さっきの君の妄想を実現させてあげても良いよ?」


「・・・うぅ」


「ちなみに、誓えないと言うなら俺は今から君の体を背負って町に戻って、君をその辺のおっさんにはした金で売り飛ばしちゃうよ?」


「そ、そんなの絶対嫌っ!」


「なら、どーすれば良いか分かるだろ?」


「・・・はい。わ、私は御堂くんの、ペ、奴隷(ペット)になります」


「・・・くん?なります?おかしいぁ?聞き間違いかな?」


「わ、私を御堂様の奴隷(ペット)にして下さい」


「良いだろう。今この瞬間から中野さん・・・いや、舞は俺の奴隷(ペット)だ」


「はい。ありがとうございます。精一杯ご奉仕させて頂きます」


「あー、そうだ。これからは透矢と呼べ」


「はい。透矢様」


透矢はもっと梃子摺ると思っていたが、舞は予想以上に呆気なく堕ちた。


デスペナもまだ10分以上残ってるので、一発くらいならギリギリ間に合うだろうと、透矢はズボンを脱いで下半身を露出させ、舞のカラダに覆い被さった。




「どーやら今日はここまでだな」


透矢はあれから何度も舞をPKしては抱いた。


そして日が暮れたところで行為を止め、未だデスペナから復帰していない裸の舞を背負い、透矢は町に向かって歩き始めた。


「あ、あの・・・私まだ、裸のまま・・・」


舞は、このまま町に入って透矢以外の男に裸を晒すのは嫌だ!という気持ちと、透矢の行動を妨げたら捨てられてしまうのではないだろうか?という不安との板挟みになり、声は尻すぼみになっていった。


「安心しろ。門に着く頃にはデスペナが解ける筈だ」


「そ、そうですか」


舞は心から安堵した。


だが透矢はその言葉を聞いて、逆に嗜虐心が込み上げてきた。


「もしかして、舞は露出プレイにも興味があったのか?・・・舞のカラダを他の男どもに見られるのは癪だが、舞がそこまでやりたいと言うなら、俺で良ければ協力してあげるよ」


「え?わ、私そんなこと言ってな・・・」


舞は反射的に拒否しそうになったが、なんとかギリギリで言い淀んだ。


「やりたいんだよな?・・・舞!」


透矢は言外に『拒否すれば容赦なく捨てる』と言っているのだと、舞は瞬時に理解した。


「・・・は、はい。私は露出プレイに興味がある変態です。透矢様がお許し頂ければ、は、裸で町を歩いてみたいです」


本当は嫌だが、透矢に抱かれる悦びを知ってしまった今の舞には、もはや拒否権など無かった。


「まぁ、最初は軽めにノーパンノーブラ程度で許してやるから安心しろ」


「うぅ・・・ありがとうございます透矢様」




透矢の言った通り、門の手前に差し掛かったところで舞のデスペナが解けた。


そして、舞はその場で透矢にパンツとブラを脱がされ、肌が透けてしまいそうなくらい生地の薄いシャツとミニスカートだけの姿になった。


「これからはその格好で過ごせ。なーに、恥ずかしいのは今だけさ。ドMのお前ならすぐに快感になる筈だ」


「うぅ・・・」


「ほらっ。お前が前を歩くんだ。俺の後ろに隠れながら歩いていたら、下着を脱がせた意味がないだろーが」


舞は返事をする余裕もなく、左手で胸を隠しつつ、右手でスカートの裾を押さえながら門を潜った。


透矢はそんな舞の様子を後ろから眺めてニヤニヤしていた。


「ねぇ、そこの女たらし?お楽しみの最中悪いけど、目的地は決まってるの?」


すると、今までずっと沈黙していたシャルが数時間ぶりに話し掛けてきた。


「おーシャルじゃねーか。お前今までどこ行ってたんだよ?舞に会った時くらいから姿を見なかった気がするが・・・」


「お邪魔だろうと思ったから、文字通り姿を消していたのよ。それはそーと、アンタ絶対いつか刺されるわよ?」


「大丈夫だ。反抗する気なんか起きないように、徹底的に躾けてやるからな」


「・・・アンタの目に留まっちゃった子には同情するわ」


透矢の不敵な笑みを見て、シャルはまだ見ぬ未来の被害者たちに祈りを捧げた。




「まずは、宿の確保だな」


「まぁそーでしょうね。条件があるなら検索するから言ってみて?」


「条件だなんて、そんな贅沢は言わねぇよ。メシが美味くて、2人部屋(ダブルベッド)があって、宿賃激安ならどこでも良いぜ?」


「それ以上何を望むと言うの?大体そんなのある訳ないで・・・あれ?あった」


シャルは透矢の注文に呆れつつもちゃんと検索していたらしく、台詞が言い終わる前に条件にヒットする物件が見付かったようだ。


「・・・あーなるほど。そーゆーことね」


虚空を見詰めていたシャルは急に何かに納得したように頷いていた。


「ん?何を1人で納得してるんだ?俺にも分かるように説明しろよ」


「あー、ごめんごめん。実は、トーヤがさっき言った条件に当て嵌まる宿屋がこの町に一軒だけあるんだけど、最近、若い女の子がそこに泊まると翌朝行方不明になるっていう噂が流れてるのよ」


「なんだそりゃ?単なる家出少女とかじゃねーのか?」


「いいえ。家族で旅行中の子や、彼氏と泊まってた子も朝起きたらいなくなってたって話よ。もちろん直前に喧嘩していたなんて事実も無いわ」


「・・・ふむ。てことは人攫いってやつか?」


「まぁ、そーでしょうね。で、どーするの?宿屋なら他にいくらでもあるわよ?」


「いやでもこれ、明らかにイベントっぽくね?しかも、先着1名様の」


透矢はレアイベントフラグをみすみす見逃しても良いものかと逡巡する。


「いちおー行っておくけど、既にイベントが進行中なら多少はアドバイスも出来るけど、現時点ではその問いに肯定も否定もすることは出来ないわ」


「・・・よしっ!行ってやろうじゃねぇの」


「ホントに良いの?もし人攫いがいて、その上トーヤよりも強かったら、もう一度レベル1からやり直しだよ?」


シャルは複雑そうな表情で透矢の意志を確認する。


「もちろん装備を整えて、ポーションも買えるだけ買い込んで行くさ。それで死んだら、そん時はそん時だ。それに、そこまでしても手も足も出なかったとしたら、当分は誰もクリア出来ない難易度ってことだから、すぐに横取りされる可能性も低い」


そんなシャルに、透矢はあっけらかんとそう言ってのけた。


「・・・ふふっ。トーヤって、後先考えないで行動しようとしたり、でも実はちゃんと失敗した場合のことも考えてたり、ほんっと訳分かんないやつね?アンタみたいな男初めてだわ」


シャルは目を見開いて驚き、そして優しく笑った。


「なんだ?惚れたか?だが、残念ながら俺とお前の身長差では、どーやって抱けば良いものか・・・」


しかし透矢はそんなシャルの好意的な視線には全く気が付かずに、下ネタで空気をぶち壊してしまった。


「っ・・・このド変態っ!私がいつトーヤとえっちしたいなんて言ったのよ?」


シャルは『こんな男にほんの一瞬でも心を動かされてしまった』という事実を否定するように怒鳴り散らした。


「えぇー良いじゃねぇかよ?シャルは俺のサポートピクシーなんだろ?だったら夜の性活もサポートしてくれよ」


「・・・そ、そんなに私としたいなら、あるアイテムを探してくることね?それを使えば一時的になら大きくなることも可能よ」


「へぇ、そんなアイテムがあるのか。アイテム名は?どこに行けば手に入るんだ?」


「お、教える訳ないでしょバカッ!自力で見付けなさいよね!」


とんでもない変態プレイを強要されることだけは回避しようと、つい余計なことまで教えてしまったとシャルは後悔したが、もはや後の祭りである。


「ほぉ、言ったな?んじゃもし俺がそのアイテムを見付けたら、遠慮なく抱かせて貰うぜ?」


「じょ、上等よ!せ、精々その前に他の女に刺されないように気を付けることね!」


売り言葉に買い言葉の結果、現時点ではあくまでも可能性の話ではあるが、シャルは将来透矢に処女を捧げるという約束をさせられてしまったのだった。

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