第11話 落札
ついにオークションが始まり、商品である少女たちは司会の男に名前を呼ばれ、1人ずつステージの中央に立たされた。
少女たちは全員肌が透けて見えるくらい生地の薄い白のワンピースを着せられていた。
その上ステージには多数のスポットライトに照らされており、少女たちのカラダのラインが完全に浮き彫りになった。
しかも少女たちは下着の着用を許されておらず、スポットライトの熱によって汗が滲み、生地がカラダに貼り付くことでさらに肌が透けるという仕様だ。
さらに、少女がステージ中央に立ったらすぐに入札が開始される訳ではなく、その前に少女たちによる自己アピールタイムがある。
ここでは名前や年齢、処女か否かなどを自分の口で喋り、自己アピールをしなくてはならない。
何故なら、どんなにかわいい少女だとしても、無表情で突っ立っていられたら売れるものも売れなくなってしまうからだ。
そこで、少女たちに見知らぬ大勢の男たちの前で顔を真っ赤にさせながら喋らせることによって、客の購買意欲を刺激するのだ。
こうした工夫によって『在庫処分品』が数人混じっているとは言っても、売れ残りを投売りをしているという雰囲気は感じられなかった。
主催者側も色々考えているようで、出品順も単純に不細工順という訳ではないようだ。
最初は小手調べなのか、正直美人とは言いがたい女が出て来た。
年齢も21歳と少々高い上に、既に経験済みの中古女だったが、その代わりに胸や口を使った奉仕には自信があるとアピールしていた。
この女の入札は5000Gからスタートした。
どーやら会場には『女は顔よりも胸派』な巨乳マニアが数人いたらしく、意外にも最初の2倍を超える10800Gで落札された。
次に出てきたのは、明らかに先ほどの女とは比較にならないほどの美少女だった。
透矢は一目見た瞬間入札したい衝動に駆られたものの、舞との約束を思い出しギリギリで踏み止まった。
少女は18歳という食べ頃な年齢に加え、今度こそ処女だった為、先ほどの女とのギャップも相俟って会場の客には何割か増しで魅力的に映り、次々と入札が殺到した。
10000Gで開始された価格は即座に更新され続け、最終的には開始時の3倍近いの28800Gで落札された。
3番目に出て来たのは、先ほどの少女よりは若干劣るかな?というくらいの少女だった。
これには先ほど落札し損なった数人が最後まで競り合い、最後は27500Gで落札された。
4番目に出て来たのは、最初の女よりは多少マシかな?という程度の容姿の女だった。
年齢は19歳でこれまた経験済みだったのだが、先の2人の入札合戦でテンションが上がっていた会場の客は、何だかんだと小刻みに入札を繰り返し、最後は13700Gで落札された。
「続きまして、エントリーナンバー5。シズクちゃんです」
ここまでは特に大きな混乱も無く、スムーズに進行していた。
しかし、5人目の少女がステージに現れた瞬間、会場中の男たちが色めき立った。
「し、雫です。し、処・・・女です」
雫という少女は、只でさえ薄い服が汗でピッタリとカラダに貼り付き、肌が透けてしあmっている事に気が付かないまま、真っ赤な顔を俯かせながら呟いた。
今はまだ幼さが残ってはいるものの将来性を感じさせる容姿に加え、性行為に興味津々という性格も相俟って、会場の男たちは大興奮だった。
鼻息荒く、目を血走らせ、今か今かと入札の開始を待つ男たち。
「よろしいでしょうか?それでは、15000Gからお願いします」
「15000」
「15500」
司会の男が入札開始を宣言するやいなや、男たちは次々と手を挙げて金額を声高に叫んだ。
「・・・くそっ!金さえあれば・・・」
舞によれば、プレイヤーの少女の顔はかなりかわいかったとの事なので、落札するには30000Gかそれ以上の金が必要と思われた。
そして、この少女も30000G前後になるであろう事は想像に難くない。
予算的にはギリギリ買えなくもないかも知れないが、この少女を落札したことで、プレイヤーの少女を落札し損なったら、本末転倒になってしまう。
透矢は涙を呑んでこの幼い少女をベッドの上に押し倒すことを諦めようと思った。
「16000」
「17000」
「・・・と、透矢様!あ、あの子です!あの子が私が会ったプレイヤーの女の子です!」
舞は興奮した様子で透矢の肩を揺さぶった。
「17500」
「・・・え?マジで?」
「18000」
「マジです!と、透矢様!は、早く!早く入札してください!」
「18800」
透矢と舞がそんな話をしている間にも、他の者たちは次々と入札していた。
「19000!」
透矢は舞の言葉を促され、右手を挙げて入札を宣言した。
「20000」
透矢が提示した金額は1秒も経たないうちに、他の男に上書きされてしまった。
そして透矢は再び入札を宣言した。
「25000!」
行き成り金額が5000Gも跳ね上がった為、一瞬会場が静まり返った。
「・・・25500」
しかしそれも束の間、後方からおずおずとこちらの様子を伺うかのような声で入札が宣言されたのを聞いた透矢は、ここが勝負処だと察してさらに金額を吊り上げた。、
「30000!」
今度こそ完全に会場が静まり返った。
透矢が絶対にこの少女を競り落とす気なのだと、会場の全員が察したのだ。
今の透矢は経緯はどうあれ、この会場で唯一のVIP客である。
そのVIPが一般客と小銭を被せ合って競っているようでは嘗められてしまう。
それに、一般客に透矢には自分たちを遥かに凌ぐ膨大な金があると思わせておけば、今後他の少女に透矢が入札した瞬間、全員落札を諦めるだろうという考えもある。
「・・・えー、30000入りました。・・・他にどなたかいらっしゃいませんか?・・・はい!では1番のお客様。30000Gで落札です!おめでとうございます!」
各座席には番号が割り振られており、透矢の座席はステージの真正面なので1番席だったようだ。
自分が誰に買われてしまったのかを確認しようと顔を上げた雫は、透矢の横で自分に向かって微笑みながら小さく手を振っている舞を見て目を丸くした。
「・・・えー、それでは!続きまして、エントリーナンバー6!」
透矢の入札によって静まり返った会場をなんとか再び盛り上げようと、司会の男は元気にオークションを再開した。
雫の次に出て来たのは、18歳のテレサという女だった。
まだまだ成長途中の雫とは対照的に、Dカップはあろうかという豊満な胸と、キュッと締まった腰、ぷりんっとした柔らかそうなお尻をした大人の色気が漂う女だ。
それほどのカラダを持っていながら何故かまだ処女であるという事で、雫の時以上に男たちは彼女のカラダに釘付けだったが、透矢が開始金額である13000Gで入札した瞬間、先ほどの光景がまだ記憶に新しい会場の男たちは誰も入札出来ず、開始金額のまま透矢が落札した。
その後出て来た数人は雫やテレサほどの少女ではなかったので、透矢は静観を決め込んだ。
一方、透矢が入札する気がないと見るや、一般客たちはこれまで以上に熾烈な競りを繰り広げた。
そして時が経ち最後から3番目に出て来たのは、ステラというBカップくらいの控えめな胸の少女だった。
このステラという少女は処女だというだけでなく、なんと今まで一度も自慰をしたことがないらしい。
透矢は、自分の手でこのまっさらな少女のカラダに快感を教え込んでやろうと目論み、テレサと同様開始金額である14000Gで入札し、そのまま落札した。
テレサとステラは、プレイヤーである雫を例外として、今日のオークションに出品された全15名のNPC少女たちの中で断トツの美少女たちだった。
本来であれば、どちらも30000G超えも十分有り得た素材だったが、透矢のハッタリに騙された一般客が早々に諦めてくれたお陰で、透矢は破格の安さで2人を購入出来たのだった。
しかも全くの偶然だが、舞によるとこの2人は例のイベントで攫われていた少女たちだったらしい。
「やぁ少年。中々面白いものを見せて貰ったよ?」
オークションが終了し、ステージ脇で透矢が金を払って3人の少女を受け取っていると、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「・・・よぉ旦那?別に俺は不正はしてないぜ?相手が勝手に折れただけだ」
透矢は振り返らずに男に言い返した。
「別にいちゃもん付けに来た訳じゃないさ。むしろ逆だよ。私は君にお礼を言いに来たんだ」
男の発言の意図が読めず、透矢は後ろを振り返った。
「お礼だと?どーゆーことだ?」
「君という客が現れることで、他の者たちは残りの雑魚だけでも手に入れようと、普段以上に値を吊り上げていった。その結果、当初の予定よりも大きな利益を生み出すことが出来たという訳さ」
「・・・別にアンタの為にやった訳じゃねぇんだけど?」
「君の意思は関係ないさ。君の行動でギルドに利益が生まれた。だからお礼を言った。それだけさ」
「・・・あっそ。んじゃもう用は済んだんだろ?俺はもう帰るからそこを退いてくれ」
「・・・ねぇ君、うちのギルドに入らないか?」
「はぁ?意味がわからん」
透矢は男の唐突な勧誘に戸惑った。
「さっきのオークションの手際を見ていたら、今朝以上に君に興味が湧いてね?このギルドに入って私の部下になれば、金や女には不自由しないぞ?」
「それは魅力的な話だが、生憎俺は人の下に付くのが嫌いなんだ。他を当たってくれ。行くぞお前ら」
透矢は舞たちを連れて、世迷言を言う男を迂回して階段に向かって行った。
「ふむ、それは残念だ。まぁ、気が変わったらいつでも言ってくれたまえ」
男は姿が見えなくなるまで、階段を上って行く透矢の背中を見つめ続けていた。
「あ、あの・・・私たちはこれからどうなるんでしょう?」
奴隷商会ギルドを出て少し歩いた辺りで、今までずっと黙っていた雫が透矢に話し掛けてきた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
雫の質問に敏感に反応して、テレサとステラも透矢に視線を向けた。
「・・・まぁ経緯はどーあれ、俺が金を出してお前たちを買ったことは事実だし、死ぬまで俺の奴隷だ。と言いたい所だが、俺も鬼じゃない。借金を返済したら、自由の身にさせてやっても良いぞ?借金の額は1人頭19000G+生活費だ。但し、俺以外の男に抱かれることは許さん。それ以外の方法で金を稼げ」
「ほ、他の男って・・・そ、それってつまり・・・お兄さんとは、え、えっちをするってこと?」
雫は緊張した面持ちで透矢を見つめた。
「まぁ、俺に抱かれるくらいなら死んだ方がマシだ!って言うなら抱かないけど、その代わり、借金返済の為にデブのおっさんたちに抱かれることになるぜ?」
「そ、そんなのやだぁ・・・」
雫は透矢の脅しの言葉を聞いて、地面にへたり込んでしまった。
「そーいえば舞が言ってたが、初めてでも痛みはほぼないらしいぞ?あとついでに補足すると、現実の雫の肉体には何の影響も出ないから安心しろ」
「うぅ・・・」
まだ中学生の雫には『初体験の痛み』という話題は刺激が強かったようで、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「あ、あの・・・私からも良いですか?」
この5人の中で一番年上のテレサが、透矢に遠慮がちに質問してきた。
「テレサか。何だ?」
「私たちがあなたの、その・・・『愛人』になるとして、抱かれる時以外はどういう扱いを受けるのですか?」
「まぁ、当然の疑問だな。とはいえ、まだそこまでハッキリと考えている訳じゃないんだが、それでも良いか?」
「はい、構いません」
「ふむ・・・とりあえず、今後は俺と一緒に例の宿屋で生活して貰う。町から出なければある程度自由に行動しても良いが、万が一逃げた場合は必ず見付け出して殺す」
「・・・出歩いても良いのですか?」
「あぁ。但し夜までには宿に戻れ。戻って来なかった場合は逃亡と見做す。自分で言うのもなんだが、破格の待遇だと思うぞ?」
「そう・・・ですね。わかりました。あなたの『愛人』になります。貴方のことはこれから何と呼べば良いですか?」
「俺は透矢だ。呼び方はテレサの好きにしてくれ」
「・・・なら、年下みたいだし、透矢くんって呼んでも良い?『奴隷』じゃなくて『愛人』なんでしょ?」
テレサは透矢を挑発するように言った。
「好きにしろ。でも、ベッドの上ではそんな生意気な口は利けないと思うぜ?」
透矢はテレサの腰を抱きながら耳元で囁いた。
「あんっ」
耳に吐息が掛かり、テレサはビクンッとカラダを反応させた。
「・・・ス、ステラも・・・と、透矢の『愛人』になる」
ついさっきまで気丈に喋っていたテレサが透矢に腰を抱かれた瞬間『女の声』を上げたのを聞き、自分もいつか『あんな声』を出してしまうのだろうかと想像して顔を赤くしていた。
「ふふっ、そうか。よろしくなステラ?」
雫よりも年上の筈なのだが、雫以上に小動物っぽいステラをかわいく思い、透矢は頭を撫でてあげた。
「あっ。う、うん・・・よ、よろしく」
ふいに頭を撫でられたステラは、さらに顔を赤くして俯いてしまった。
「全員俺の女になる覚悟は出来たようだな?宿屋に戻ってメシを食ったら、4人纏めて可愛がってやるから、楽しみにしておけよ?」
透矢は舞、雫、テレサ、ステラの4人の美少女との狂乱の宴に胸を昂ぶらせながら、宿屋へと戻っていくのだった。