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世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


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湊の名前が消える

【本文】

 湊の名前が消えるが確認された朝、地域網では契約と命令が所有権を奪う仕組みを封じる作業を開始した。湊は全体の緊急停止だけを担当し、現場判断を専門班へ返した。

 最初に確かめたのは人の安全、帰路、設備の限界だった。端末の推奨や所有者権限があっても、地上の橋、薬、食料、睡眠を飛び越えて計画を進めない。

 今回の基準は「本人の意思を表示だけで置き換えない」ことに置かれた。賛成だけでなく反対、保留、参加不能を記録し、沈黙を同意や敵意へ読み替えない。

 湊の名前が消えるに関する変化は一段進んだが、局面全体の解決とは数えなかった。未確認の座標、人数、発信者は空欄でなく《未確認》と記し、次の照合条件を添える。

 生活在庫は食料六日、医療備蓄を分離。農業区画の作物、遠隔地の支援予定、世界の声が示す報酬は在庫へ入れず、医療、浄水、冷却、葬送を優先した。

 世界の声が成功と得点を表示しても受領せず、生活台帳の改善と本人同意を別に確認した。

 湊は緊急停止だけを持ち、設備、医療、物流、住民代表の拒否権を越えて単独決定しなかった。

 県庁へは個人名を外した必要数だけを送り、中央命令と現場支援の承認欄を混ぜなかった。

 記録班は表示、物証、証言、推測を四欄に分け、後から都合よく原文を直さなかった。

 小春は体調確認を先に行い、異常がなくても交代と睡眠を削らない。能力表示だけを診断には使わなかった。

 岳たちは工具と部材の戻り数を記し、迷宮設備が動いたことを物資の無限生成へ置き換えなかった。

 三避難所の人数と在庫は移動札で重複を消し、支援予定を到着済みとして配給へ加えなかった。

(次話へ)

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