授業中の静電気
【本文】
壁の声を録音した翌日、教室の金属机に触れた全員が小さな静電気を感じた。
電力回路は正常。奈々は授業を止め、児童を別教室へ移す。発見した子どもたちへ原因調査の責任を負わせない。
学校で見つかったことは、児童名を外して地域網、体育館、病院へ共有する。発見者を特別な能力者として登録せず、授業と休息の時間を変えない。
北壁の裏には古い通信線があり、第十迷宮の空台座と同じ金色の電位が流れていた。線は学校建設時の図面に存在しない。
教室を調査区画だけにせず、予定していた読み書き、計算、遊びを続ける。壁の音が鳴っても、児童全員を観測当番へ集めない。
世界の声が報酬や即時解放を表示しても、地上の図面、避難経路、本人同意を先に確認する。分からない部分は推測で埋めず、次の観測時刻を決めた。
声は旧小学校だけの異常ではなく、地域隔離網へ埋め込まれた古い連絡経路の一部だった。
佳乃は授業記録と設備記録を別冊にし、子どもの言葉を大人向けの管理用語へ勝手に書き換えなかった。
机の静電気は北壁から遠いほど弱かった。奈々は床へ一メートル間隔の測定点を置き、児童の手ではなく計器で電位を測る。金属製の車椅子や医療機器が通る経路を先に閉じ、木製机の教室へ授業を移した。電位が下がるまで北教室は調査員も一日二回しか入らない。
観測後は教室の換気、電位、児童の体調を確認し、異常がなくても記録した。発見した子だけへ褒美を与えず、参加しなかった子の遊びと学習時間も同じように守る。
測定値は校庭側から順に記録し、翌日も同じ計器で再確認する。
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