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第九話

今回ゴブリン討伐に向かう場面のシエナ視点からです。紛らわしくてすいません。

 どんどん森の奥へ進んでいくリッカさん達を追いかけつつ、魔法をかける隙をうかがう。

 …別に悪いものじゃないよ?

 二人の方ばっかり見ていたら、思わずつまづいてしまったけれど、その時リッカさんが受け止めてくれた。そしてちゃっかりその時に体力増強の魔法をかけた。リキさんにも、ちょっと触れた時に気づかれないように同じ魔法をかけておいた。

 他に役に立てることはないかなと考えつつ、ゴブリンが一気に来たら大変かなと思って、軽く半径五十メートルくらいに結界のように術式を張り巡らせて、ゴブリンの場所を確認しつつ、ゴブリンをいろんな方法でこちらから引き離したりおびき寄せたりする。まぁ、物音を立てたり、風を吹かせたりなんなりで。

 途中でもう少し一気に来てほしいと言われたので、一度におびき寄せる数を増やしたけれど、多くなかったかな。疲れた様子には見えなかったから大丈夫だと思おう。うん。

 そんなこんなでゴブリンを狩りつつ、ゴブリンの耳を回収してギルドに戻ることになった。

 …あんまり怒られないといいな。


 ギルドのお姉さんに驚かれつつ、依頼完了手続きをして家に帰る途中、少し強い風が吹いた。

 その時、うしろで誰かが少し慌てたような声がした。何となく耳を澄ましていたら、かすかに足音が聞こえて、誰かがついて来ているのがわかった。嫌な予感がする。どうしたらいいんだろう。

 そうこう考えているうちに家についてしまった。それも、誰かがついてきているままで。さらに、この家の中にも誰かいることに気づいた。ドクン、ドクンと心臓の音が聞こえる。

 どうにか伝えなきゃと思って、たぶん魔法について問いただされるだろう雰囲気になる前に、つけてきている人たちに聞こえないよう防音結界を張った。

 息を落ち着かせ、誰かがついてきていることと、この家の中にも誰かいることを話した。



「今、この家に誰か侵入しているかも知れません。」

シエナの口から出たその声は、おびえているのを隠したような、振り絞ったような声だった。

 その言葉に、僕もリキも思わず息を飲んだ。

「この会話は防音結界をはっているので聞かれていません。それだけは安心してください。家の外に二人、中にも二人います。外は玄関近く、中には二階にいるかと。あまりいい気配を感じません。」

「…見間違え、とかでもないんだよね?」

その問いかけに答えたのは、シエナの言葉を聞いてから黙りこくっていたリキだった。

「集中して探知してみたんだけど、確かにいる。」

 つまり、僕たちは今囲われているということだ。逃げようにも、相手がどれくらいの強さかわからないので、下手に逃げることもできない。

「…どうすればいいと思う?」

「取りあえず軽い防護結界をはります。物理攻撃一回ならあまり強いものでない限り護れます。私は中にいる方を見に行きます。もし戦闘することになった場合、中のほうが他の人に魔法を見られずに済みそうなので。お二人は外の方をお願いします。相手は、襲ってくるなら私たちが離れた時に襲うと思います。自然な流れでいきましょう。」

 どんどん作戦を立てていくシエナに驚かされつつ、少し不安に思った。

「…シエナが危険じゃない?リキも一緒にそっちじゃだめかな?」

「たぶん、相手はリッカさんが目的です。殺されることはないでしょうが、一番危険なのはリッカさんです。なので、少しでも固まっていてください。私は大丈夫です。これでも拘束魔法、得意なんです。」

「…その魔法についても後で聞かせてね。」

 シエナはぎこちない笑みを浮かべて、立ち上がった。

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