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第六話

いつも通り長いです。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。

 シエナさんが家に来た翌日のこと。

 あれからは、頭痛がたまにすること、その後に何かを思い出すことがあるということを本人から聞いた。雨に当たりたかったのも、そのことを思い出したからだそう。風邪をひかれたくないから今度合羽や雨靴でも買ってあげよう。

 魔法についてのことは、シエナさんによると自分もまだはっきりとは思い出せていないが、基本は「術式」というものを魔力で組み立てて「魔術式」を構成し、その中にさらに魔力を通すことで魔法が発動するらしい。僕らが知る、魔力の粒子を造形するような形で発動する魔法とは全然違って、よくわからなかった。けれど、別に生活のために必ず必要というわけではないし、今はここに馴染むのが最優先なので、取りあえず後回しにすることにした。


 部屋については、空いていた部屋を片付け、掃除をし、ベッドや寝具と少ないけれど荷物等を運び込んだ。運び込んだのだが…

「シエナ。これでいいのか?おめーの部屋これでもかというほど殺風景だぞ?」

というリキの一言でインテリアグッズを買いに行くことになった。

 いや、僕も買いに行こうとは思ってた。ただ、もう少しここに慣れて、落ち着いてからでもいいかなと思ったんです…でも買いに行くか聞いた時のシエナさんの目がこれでもかというほど輝いていたので行くことにしました。なんかごめんね。


「わぁ…」

 最初に行ったカーテンやカーペットなどの布系のお店では、色とりどりな装飾がされた店内に感嘆のため息を漏らしつつ、きょろきょろと周りを見回しているシエナさんに「欲しい物があったら言ってね」と声を掛けて僕も商品を少し見ることにした。

 そういえばこのお店では、少しだけれど服も扱っているのを思い出して、何か買おうか悩んでいた時、シエナさんに声を掛けられたのでカーテンやカーペット売り場の方に戻る。

「カーテンはこれが良くて…カーペットはこれとこれで迷っているんですが、決めてくれますか…?」

 そうやって指さされたカーペットやカーテンの色は、濃い紫や緑で、少し意外だなと思った。

 でも、少し考えたら理由はすぐにわかった。多分、髪の色が変わる前の色に合わせているんだろう。確かに紺色と合わせたら、どちらも素敵な色である。

 最終的にはカーペットとカーテンは緑に紫の花が刺繍された物を選び、ついでに物欲しそうに見つめていた同じく深緑の布団と枕のカバーも買うことにした。


 次は、洋服を買おうかと隣のブースに行った。このお店、やっぱりなかなかに便利である。

 身体を固定されて採寸されているシエナさんを見ながら、魔法の影響で1年半であの14歳程の姿まで戻るんだから大きさは調節できる物のほうがいいな、と思い、後で注文するときに頼んでおいた。


 そんなこんなしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまい、もうお昼時になっていた。どこか露店で食べようと思い、何を食べたいか聞いたけど二人とも「なんでもいい」「なんでもいいです」と返してきたので、僕のお気に入りのサンドイッチ屋に行くことにした。それぞれが注文した物をベンチで食べながら、この後はどこに行くかを話した。

「ちょっと色々ものを置ける棚があると嬉しいです」

とのことだったので、家具屋に行って、その後は帰って模様替えを始めようという話になった。


 家具屋にて。棚をどれにしようか迷っていたら、店主のおっちゃんがリキとシエナさんの二人に飴玉をくれました。リキは「もう子供じゃない」と怒っていたけれど、シエナさんは「…え!?いいんですか!?」と物凄く喜んでいたので、おっちゃんも嬉しそうだった。でも、理由を聞いたら「自分のところはあんまり甘いものが食べられなかった」と言っていたので、ちょっと複雑な気持ちでした。

 その後無事に棚も選び終わって、収納魔法の空間の中をパンパンにしつつ、帰路についた。


「お…終わったぁ〜…」

模様替えが終わった部屋を見渡して、ふぅ、とため息を吐いた。きれいに整えられた部屋は、全体が緑に紫で統一されていて、いい感じに仕上がっていた。

「すみません、手伝ってもらっちゃって…」

謝るシエナさんに「いいのいいの」と返す。

「あ、ありがとうございます」

「じゃあ、模様替えも終わったところだし、晩飯でも作るかな」

僕はそう返事をして、腕まくりをした。



 今日は、私のわがままに付き合ってもらって、模様替えを終わらせた。自分好みの部屋ができて、感謝しかない。

 それにしても、鏡を見たときは驚いたなぁ。髪の色が変わっているのは気づいてたけれど、目の色まで変わっているなんて。私の目の色は、もともと黄色だったけれど、今はオレンジ色になっていた。この見た目ではこのお部屋は似合わないかな、と思ってしまいつつも、気に入っているからこれでいいやと自分を納得させて、ベッドの布団にぽふんと飛び込む。

 ふわふわの布団を抱きしめるようにして顔を埋めつつ、本当にたくさんのことをしてもらってばっかりだなと思った。私も、何かできたらいいな。

 ふわぁとあくびをすると、いい香りがしてきたのでダイニングのある一階へと向かう。

「わぁ…!」

そこには、少し豪華な食事があった。

「昨日とかよりちょっと落ち着いたから、シエナさんがうちに来た記念、みたいな感じ。ちょっと簡素だけど、楽しんでくれたらうれしいな」

「オレも手伝ってるからな!まあ…いろいろ!」

笑って迎えてくれた二人につられて、私も笑っていた。美味しい料理を食べながら、私は意を決して口に出す。

「あの…」

「どうかした?料理おいしくなかった?」

「いえ!すごくおいしいです!…あの、呼び方なんですが…シエナ、だけで大丈夫です。なんか、仲良くなりたくて。あっあの、敬語は染み付いちゃってるので、直すのは難しいかもですが…」

リッカさんは、にこっと笑って、「わかったよ」と言ってくれた。

 なんだか、もっと馴染めた気がして嬉しかった。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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