第三話
そこそこ長めです。スミマセン。
「いったた…」
「ふぅう…」
お互いに尻もちをついて、思わず声が漏れる。
「あっ!」
突然ぶつかってきた少年が、私の顔を見て驚いたような声を上げた。
えっ?私顔になんか付いてる?
顔をペタペタと触って確認するも、特に何もついていないような気がする…
「お前…起きたのか!」
そう言われて、なんとなく勘づいた。
私は、多分どこかで倒れたかなんかして、あそこに運ばれたんだろう。体と精神が幼くなっているのは…よく分からないけど。
「大丈夫か?」
そういいながら立ち上がった少年が、私に手を差し伸べる。
手を借りながら、立ち上がると、突然くらっとしてよろけてしまった。
「おぉ…よっと」
また倒れ込みそうになった所を、少年が支えてくれた。
「すみません…ありがとございます」
やっとのことでお礼を言って、何とか立ち直す。
「まぁいいんだけどさ…。っていうか、治療室から出てたけど何かあったのか?」
「…えっとー…」
今更あの果物がもっと食べたいなんて言うのは少し恥ずかしくて、言葉に詰まってしまった。
「まぁいっかー。治療室戻るか。」
治療室、と呼ばれていた部屋に入る少年を追いかける形で私も治療室に入って、ベッドに座った。
「とにかく目覚めてよかったな。お前が助かったのはオレと兄ちゃんのお陰なんだからなー。感謝しろよ」
「もしかして、お兄さんって別の部屋で話してた二人のうちのもう一人の方ですか?」
少年が言った兄ちゃん、という人がなんとなく気になって、聞いてみた。
「あー。そうだな。確かになんか話してたわ。お前について…。あっそうだ!お前名前なんて言うんだ?」
他のことも聞かれるのでは、と少しドキドキしながら、「シエナです」と答える。
「なるほど、シエナ。オレはリキ。よろしくな!」
握手を求められたので、手を差し出して握手した。
「あとさー。お前どうしてあんな怪我してたんだ?魔物にでも襲われたのか?」
ついに聞かれてしまった。自分でもわからない。そして、自分がどうしてあの場所に居たのかすらも。目をそらすように俯いて、小さくわからないと答えた。
どうやらリキさんは私の事情をなんとなく感じてくれたみたいで、その話については追及する様子がなかった。
「そ…そういえば兄ちゃんの魔法って珍しくてなー!光魔法の使い手なんだぜ!お前もそれで助かった…」
彼は話をそらしたつもりで言ったのだろう。だけど、なんとなくその単語を聞いて頭が痛んだ。
「今なんて言った?」
「え?だから兄ちゃんは光魔法の使い手で…」
―魔法。その言葉を聞いて思い出した。
「ねぇ!!私が倒れていたところになんか落ちてなかった?!」
「え…あーそうだな。お前が倒れてるの見てオレは人を呼びに行ってたからあんま覚えてないけど兄ちゃんやギルド長なら…」
私の必死の形相に戸惑っているリキさんのその言葉を聞いて、座っていたベッドから飛び降り、あの二人がいた部屋に向かって走り出した。
※
ある程度ギルド長との話し合いが落ち着き、また少女の見舞いに行こうと思った時だった。
ほかでもないその少女本人がドアを倒さんばかりの勢いで部屋に滑り込んできた。
「だっ…大丈夫?」
派手に転んで、うめき声をあげている少女を立ち上がらせつつ、問いかける。だが、少女はその答えより先に必死の形相で問いかけてきた。
「私が…私が倒れていたところになんか落ちていませんでしたか?!」
そう聞かれて、あの時のことを思い出す。
「そういえば何かあったかも。ギルド長、回収していますか?」
ギルド長が頷くのを見て、少女はまた「どこにありますか?!」とまた問いかけた。
「…案内してやるからついてこい。」
ギルド長も少し戸惑いながら部屋を出て歩き出した。少女に抱き上げて移動するか尋ねたら、頷いたのでひょいと持ち上げる。
少し移動して、ギルド長が止まったところで少女を降ろす。
ギルド長がドアを開けたと同時に少女は部屋の中に入り、置いてあったものに駆け寄った。
「杖…魔導書…全部ある!…よかったぁあ…うわぁあ…」
よほど大事なものだったらしく、泣き出してしまった少女の背中をさすりつつ、僕は僕らが知っている杖や魔導書とは違うものを見つめていた。
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