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第十二話

 ギルドに着いた途端、即座に受付嬢に奥の方に押し込まれるようにして、治療室に入った。その後、すぐにギルド長が薬師とともにすっ飛んで来た。それからシエナをベッドに寝かせて治療したり、魔力を回復するポーションを飲まされたりしながら、事情を説明した。

「もっと気をつけるべきだった。すまない。」

ギルド長にはそう謝られたが、元々はあんな事があったのに警戒心が薄かった僕たちが悪い。もちろん、一番悪いのは襲ってきたやつらだけど。

「またこんな事があるかもしれない。しばらくはここで寝泊まりするか、毎日の移動に護衛をつけるかしなければならないだろう。」

と、言われたが、流石にずっとそんな生活は出来ない、と返したら、

「やはり、貴族とかの庇護を受けるのがいいと思う。この一件は領主に報告しなければならないから、その時に掛け合ってみる。」

と言ってもらえた。本当に感謝してばかりだ。

「そういや、襲ってきたやつらはどうした?」

「……………………」

 すっかり忘れてた。



 夢を見ていた。

 いや、違う。回想していただけなのだろう。見覚えがあるような気がする。

 ぱちぱちと音を立てて燃え広がる炎、自分の肩から飛び散る血飛沫。

 痛いのは頭じゃなくて、いや、痛いというより身体中が痛いくらいに熱かった。

 痛みとともに思い出すのは、あの日の記憶の一部と、両親との少ない思い出。

 人々の悲痛な叫び声と対称的に、両親との思い出はあたたかくて心地良いものだった。

 その両親とも死別して、悲しみの中魔法の練習に明け暮れているうちに、暗い魔力の色に染まっていった髪と目の色。

 一度に、たくさんのことを思い出した。

 それなのに、嬉しい気持ちにはなれなかった。

 なぜなら、今の幸せな自分がそんなことになっていたなんて、というように他人事に感じてしまったから。

 忘れちゃ、いけないのに。

 両親との思い出も、逃げ出したあの日のことも。


 …今の私って、どんな状況なんだっけ?



 僕たちを襲ってきたやつらは、逃げ出す事もなく無事に確保することが出来た。

 シエナと対峙した敵が、普通の人なら高価で持てないような魔石がついた剣を持っていたので、もしかしたらこれが原因でシエナは負けてしまったのかもしれない。ちなみに僕は、父の形見として持っている。

 まぁ、取りあえずは一安心と言ってもいいのかもしれない。まだ、シエナは起きていないけれども。一時は危ない状況だったけれど、今はもう命の危険はないはずだ。

 襲ってきたやつらをギルドに預けた後、またシエナの様子を見に行った。

「あの…」

治療室に着いて、シエナの方に向かうと、薬師が話しかけてきた。

「どうしたんですか?…何か危ない状況だったりするんですか?」

「いえ、そういうわけじゃないんですけど、なんだか、髪の色が変わっている気がして…。連れてこられた時よりも、色が濃くなったみたいで…。」

 そう言われてから様子を確認すると、確かに髪の色が水色だったのが薄い青、という感じになっている。

 不思議に思っていたら、シエナが目を覚ました。そのとろんとした目は、前よりも金色に近いオレンジ色だった。

 最初に見つけた時の色に、近づいている気がした。目の色も、多分そうなのだろう。

 …にしても、すごい寝ぼけていそうな目だな。飲まされた睡眠薬がまだ残っているのだろうか。

 シエナがぽけーっ、とした目でこちらを見つめてくる。うん、完全に寝ぼけているっぽい。

 怪我をしていない方の頬をちょっとだけ突いてみると、「ふみゃぅ」というような声を上げて口をもにょもにょさせていた。

 早く治すんだよ、と声をかけて頭を撫でると、その手を握りしめてそのまま眠ってしまった。

 どうしよう、でもまぁいいか、と安堵のため息を吐くと同時に、ちょっと可愛いと思ってしまった。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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