夢の中
……、パタンと本が閉じられました
エリちゃんは気づくと変なところにいました。
クリーム色の床に長い長い一本道。両側には本棚が並んでいました。後ろも同じ感じです。顔を上げ、上の方も見てみましたが、こちらも本棚がずっと続いていて、おしまいには灰色にくすんでその先が見えませんでした。
なにかとても大きな建物の中にいるようです。
おやおや、これは奇妙だ。
と、エリちゃんは思いました。
どこかの図書館かしら。でも、どこの図書館かしら。こんなところに来た覚えはないのだけど……
エリちゃんは少し立ちすくんだまま、どうしたものかと考えました。けれど、大して良い考えは浮かびません。
取りあえず前に進むことにしました。進めば出口があるかも、と思ったのです。
ずんずんと歩いていくとやがて目の前に白い壁が見えて来ました。行き止まりのようです。でも、行き止まりの壁には白いテーブルが一つ。そして、その上には一冊の本がありました。
焦げ茶色の革の表紙の大きくて分厚い本です。
エミちゃんは本を開きました。他にこれとしてやれることがなかったからです。
最初のページにはモノクロの絵が描かれていました。扉絵というものだとエリちゃんは知っています。
女の子の後ろ姿が描かれていました。
女の子は前に伸びる一本道を歩いていこうとしているようでした。両側は本がぎっしり詰まった本棚が並んでいました。
まるでついさっきの自分のようだな、とエリちゃんは思いました。そういえば髪型も、着ている服も今の自分と同じに見えました。
エリちゃんは奇妙な気持ちになりながらもページをめくりました。
エリちゃんは気づくと変なところにいました。
本の書き出しはそんな感じでした。
いきなり自分の名前が出てきたのにエリちゃんはびっくりしました。そして本はこう続いていました。
クリーム色の床に長い長い一本道。両側には本棚が並んでいました。後ろも同じ感じです。顔を上げ、上の方も見てみましたが、こちらも本棚がずっと続いていて、おしまいには灰色にくすんでその先が見えませんでした。
なにかとても大きな建物の中にいるようです。
ますます奇妙だ。と、エリちゃんは思いました。まるで自分のことが本に書かれているみたいです。こんな不思議なことがあるでしょうか?
それでも取りあえず先を読んでみる事にしました。
おやおや、これは奇妙だ。
と、エリちゃんは思いました。
どこかの図書館かしら。でも、どこの図書館かしら。こんなところに来た覚えはないのだけど……
エリちゃんは少し立ちすくんだまま、どうしたものかと考えました。けれど、大して良い考えは浮かびません。
取りあえず前に進むことにしました。進めば出口があるかも、と思ったのです。
はぁ、とエリちゃんはため息をつきました。
これは間違いなく、自分のことが書かれているのだと思いました。でも、一体誰が書いたのでしょう。どうやってついさっきの自分のやったことを本に書けると言うのでしょうか?
エリちゃんはさらにその先を読みました。
ずんずんと歩いていくとやがて目の前に白い壁が見えて来ました。行き止まりのようです。でも、行き止まりの壁には白いテーブルが一つ。そして、その上には一冊の本がありました。
焦げ茶色の革の表紙の大きくて分厚い本です。
エミちゃんは本を開きました。他にこれとしてやれることがなかったからです。
最初のページにはモノクロの絵が描かれていました。扉絵というものだとエリちゃんは知っていました。
女の子の後ろ姿が描かれていました。
女の子は前に伸びる一本道を歩いていこうとしているようでした。両側は本がぎっしり詰まった本棚が並んでいました。
なんだか頭がクラクラしてきました。
なんだか頭がクラクラしてきました。と、本に書かれていました。
これは!っとエリちゃんは思いました。
これはわたしが考えていることなのか、それとも本に書かれていることを読んでいるだけなのか、訳が分からなくなってきました。
エリちゃんは本から目を離しました。
これ以上読むとなにかとても怖いことになりそうな予感がしたからです。
なんとなく顔を上にあげました。
そして、目を丸くします。
天井には大きな顔が、まるで自分を覗き込むように見つめる女の子の顔があったのです。
そして、その顔は紛れもなく自分の顔でした。
「きゃっ!」と、エリちゃんは悲鳴を上げました。
そして、パタンと本が閉じられました。
本はそこで終わっていました。
そこまで読んで、エリちゃんは本から目を離しました。そして、おそるおそる顔を上にあげました。そして、目を丸くします。
天井には大きな顔が、まるで自分を覗き込むように見つめる女の子の顔があったのです。
「きゃっ!」と、エリちゃんは悲鳴を上げました。
そして……
2024/01/20 初稿
2024/02/03 前書き追加+最後のところ少し変更しました
2024年童話祭に間に合わなかったお話(笑)です
読んでいる人が夢を見ているような作品を目指しました