~53歳、運命の恋を狙います。~
1話
私は53歳になった。実家暮らしなのだが両親は80歳を目前にし、今のままの生活でいいのか、という現実を突きつけられている。
私はナナコ。すこしぽっちゃりなかわいい女の子だ。若いころはよくもてたし今もかわいいと両親や近所のおじいさんにいわれる。はっきり言って私はかわいい。誰よりもかわいい。
私はこれまで母親の家事を手伝ってきたのだが、そろそろ結婚したい。だが出会いがないのだ。結婚するならどんな人がいいのか、私は頭の中で想像してみる。
「まずは高収入よね。それか将来性があること。将来600万円は稼いでほしいわねぇ」
となると、一流大学卒がいい。
「あとは高身長。175は欲しいわね。」
年齢は‥‥
「20代がいいわ!私色に染めたい♡」
Trrrrr・・・Trrrrrr,,,
「もしもしおばさん?」
「あぁもしもし、合コン行くって言ってたわよね。行くわよ。」
えぇ、という声が受話器の向こうから聞こえる。
おばさん、というのは失礼だが私の妹の息子、つまり甥っ子のケントは私のことが大好きだ。目を合わせられないくらいに。だからよく私からハグをしてあげている。
彼は不細工な妹と違い父親に似てスタイルが良く顔だちもいい。今は地元では有名な大学に通っている。だから有望な若い子を誘ってくれるはず、そして私は今夜白馬の王子様に出会うのだ。
鼻歌を歌いながらK大学の近くの居酒屋に入る。
驚いた顔のケントの前にはガリガリで化粧の仕方も知らないような小娘が三人いる。
そして、私好みの男子が二人。
二人とも私のあまりの美しさに魂を抜かれたような表情をしている。
「では始めましょうか」
「タイチくんっていうんだぁ♡学部はぁ?」
「ほ、法学です・・・」
この塩顔のイケメンのタイチくんは着ているもののセンスもいい。そして私の予想が当たっているなら彼の父親は地元では有名な弁護士だ。
きーめた。
私はタイチくんの隣に座り彼と距離を縮める。
「酔ってきちゃったぁ♡」
これでゲット♡
to be cintinued・・