表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノット☆クレイジー  作者: Ulsay-Butty-Cross
2/5

遅刻遅刻ーっ

家の玄関から出ると、俺は食パンを口に咥え、走るために軽く体操を行った。

自分の中では学校に登校する際にはパン咥えながら走っていくというのが3年前から日課になっている。


しかし、最近とあることに気がついてしまったのだ。

パンを咥えながら「遅刻遅刻ーっ」となんて言えないのである。実際のところは、「遅刻遅刻ーっ」ではなく「ひこくひこくーっ」みたいになる。

別に遅刻するような時間帯でもないのに「ひこくひこくーっ」と言いながら走って登校する中学男子を連想してほしい。こんな奴と運命の出会いがしたい人なんて滅多にいないだろう。

また、「ひこくひこくーっ」と大声で叫んでると、周りの人が俺がいるのに気がついて交差点を注意深く通ろうとする。実際に交差点で人とぶつかったことがない。

こんなものだから、俺が今までに運命の出会いをしたのはトラック2台だけである。

そんなことを考えているうちに中学校に着いた。4階にある中1の教室に入ると、そこには公立小学校からの懐かしい連中がいた。この中学校もまた公立なので、受験でもしない限りは公立ほとんどの小学校の連中はこの中学校に進学することになるのは自明の理だった。


それでは登場人物紹介タイムだ。


まず、俺は「会徒零寺(あうとれいじ) 哲郎(てつろう)」。苗字が明らかにイカれているが、そこは気にしない気にしない。

両親がパティシエをしているため、俺の家はケーキ屋さんなのだ。

名前は哲郎なので、近所からは「てっちゃん」と呼ばれている。ちなみに牛の大腸のことをテッチャンというらしい。詳しいことはネットで検索してみてくれ。


窓側に立って空をずっと見てるなんか俳優みたいな顔立ちのやつ。コイツの名前は「神田(かんだ) ああああ」。多分RPGの世界から来てる。

月に8枚ぐらいは送られてくるラブレターを思いっきり破るのが最近の趣味だそうだ。破ったラブレターに背徳感を感じているらしい。


教室の机に突っ伏して座っているのが「相田あいてからてをぬいたものいちたすいちわ 太一(やせないにのまえ)」。文字だけ見たらまともな名前だが、読み方が問題なのである。なので彼と同じクラスの担任になった先生は、必ず彼の名前を「そうだたいち」と呼んでしまう。

すっごくシャイな奴。そのため喋る時は小声かつ早口。


教壇の方であっちむいてホイをしているのが、「野々宮(ののみや) うん」と「場釜(ばかま) 留出汁(るだし)」。

それぞれ従兄弟の関係らしい。

お互いギターとボーカルが得意なのだが、ドラムがいないことには話は始まらないと彼らは言っていた。

なお去年ドラムとして彼らとバンドを組んでいた隣町のガキは車に撥ねられて死んだんだとさ。


最後に、掃除用ロッカーの中でくつろいでいるアイツが、「赤沙汰那覇(あかさたなは) 魔屋良和(まやらわ)」。

色々学校の女子の中で一番目立っている。

大きくて緑色の瞳を持つ目、ほぼ点みたいな鼻、赤みのない唇、なんか頭から生えてるネコ科の耳、アニメに出てきそうなくらいの整った顔立ちなのだが、

髪をピンクに染めてるのは見逃すことできない。

だってだって、俺は体質的に髪を染められないのにアイツだけ髪を染めてるのは羨ましいんだもん。

俺はそばにあった美術部の黒スプレーを片手にロッカーに突撃した。


「くらえぃ☆」

プシュウウウウううううううううううっっっ!!!!

「キャアアッッ!!!」


相手の髪どころか猫耳まで黒くなってしまったが、髪はちゃんと元の色に戻せたので一件落着である……

あのピンクの髪が地毛でない限りなっ!!!

わーーーっはっはっはっはっは!!!!



俺はとてつもない失態を犯してしまった。どうやら相手のピンクの髪は地毛だったようだ。

おかげで彼女の両親からかなりの慰謝料を請求されてしまった。

おかげで小学生の頃からコツコツ万引きして貯めてきた小遣い20万円が消えてしまった。

こころなしか背後に貧乏神が取り憑いているような気がする。


ここまで来たのなら仕方ない。またお金を貯めればいいさ。

そして俺はサイコロを振った。サイコロは転がり続ける。俺は願った。

「あと3マスで駅に着くぞ……だから頼む!3出ろ3出ろ3出ろ3出ろ!」


結果は……4!

「え?」

[おや?貧乏神の様子が変だぞ?

まさか、伝説のクイーンビンボーになろうとしているのか!?]


結果は……でたーっ!クイーンビンボーだーっ!

「え?え?」


[ギエーヘッヘッ!

サイコロの出た目だけお金を捨ててやるぜ!]

そういうと、手元のサイコロが10個になっていた。

「全部1のゾロ目で来い!」

振った。


結果は……ゾロ目だーっ!6のゾロ目だーっ!

「え?え?え?」


[ギエーヘッヘッ!

金を2兆2538億4000万円捨ててやるぜ!]


「……。

うわあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


こうして、てっちゃんは内臓を裏社会に売り捌くことになりましたが、もう色んな意味で人間を卒業していたので無限に増殖する内臓でどうにか借金を返済することができましたとさ。

めでたし。めでたし。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ