第7話 疑惑
気づいたら6ヶ月経ってました(すっとぼけ)
本来なら先月ぐらいには書いてるつもりだったんですけどねぇ
「いや悪い、少し訂正させてくれ」
「あなたはとう……いや、守衛からつけられていたけど、あんた何者だ?」
おれは彼女のを少々みくびっていたようだ、正直時代相応の戦闘職と思っていたが、あの短い接触で監視されていることまでわかるとは
「安心しな、今やつらはいないよ」
衛兵がここにいないことは俺もわかる、あの鋭い視線が無くなっているから
(ここは正直に言っても問題はないだろう)
そう判断すると俺は口を開く
「俺はタラ村から来たんだ、ただ俺の村が賊に襲われててな、、、、」
「生き残ったのが自分だけだったせいで、疑われてしまった」
「ふーん、そんな故郷を失ったお前は、未練の欠片も見せず直ぐに冒険者を目指し貴族サマとの接触もしたわけだ」
その言葉に、俺はまず「いやそんなつもりは」と口を出すしかなかった。
まずい
もとより俺はただの傭兵だ、戦闘にしか脳がない
言葉での戦いなんてもってのほか、専門外だ
そんな足りない頭を回転させ思考していた時
「フフッあははははっ!」
褐色女は抑えきれなかったといった様子で笑い始めた。音は酒場のざわめきに溶けるが、俺にははっきり届く。
自分のことを笑われたということ自体、一体何年ぶりだろうか、笑われないようにしてきた、と言った方が正しいのだろうが、ほんの少し、少しだけ懐かしいと思った
やがて彼女の笑いが収まり、声が戻る。
「いや悪かった、顔色ひとつ変えずに分かりやすく焦るものだからつい笑っちまってな」
その言い方は嫌味がなく、肩の力を抜くような軽さがあった。続けて低く言った。
「まぁ先にあんたが気が気でない事だが、この話は衛兵にはしない」
「どうして」
純粋な疑問だった、そんな言葉に彼女は
「そうだな、親近感ってやつか?」
笑いながら彼女は肩をすくめた、彼女は続けて話す
「まぁあれだ、その親近感にちなんで今日のところは奢ってやろう、どうせ大して金も持ってないんだろ?」
どうして今日知り合ったばかりの身元も怪しい、衛兵に嘘までついている男に寄り添ってくれるのだろうか
頭の中で疑問は絶えなかった、なぜ、なぜ
黙っている間に、彼女は注文していた。給仕に来たのはケンタウロスだ。角の影、太い手足、そして皿を運ぶ音。光景が頭に入ってきて、情報過多で一瞬頭が真っ白になった。酒場の木の匂いと、熱気、遠い笑い声——それらがいっせいに押し寄せて、俺の感覚を満たした。
「おーい」
その声で現実へと引き戻される
「ん、あ、あぁすまない」
反射的に返事をして、意識を起こす。彼女の顔が近い。青い目が真っ直ぐこちらを見ていた
「注文してる時に目を開けたまま動かなくなるもんだからびっくりしたぜ、そういえば名前すら知らないと思ってな、自己紹介しないか?」
「あぁ、大丈夫だ」
「俺はシュラングという、タラ村から来た……よろしく」
「あたしはルヴィだ、前からここに住んでる、よろしく頼む」
改めて彼女を見る。
褐色の肌に腰まで垂れた黒髪——見た目だけなら華やかで目を引くが、冷静に見れば随分と裸足に近い。上は布が少なく腹筋がくっきり見える。動きやすそうだが、胸当ても肩当てもない。現代戦を基準にする俺の目には、正直首をかしげる格好だった。
――だが、俺は魔術のことに関しては素人だ。まだ大して知らない。遠くから火を飛ばすとか、矢が避けていく術を貼るとか、そんな断片的な知識しかない。だから「服が戦闘向きでない=戦えない」とは短絡的に決めつけられない。魔術が扱えるなら服の薄さなんて問題にならない場合もあるだろう。多分、だが。
その「多分」が俺には頼りない安心感を与え、同時に不安も残した。視線を動かすと彼女は何でもないように笑っている。判断は保留にして、まずは様子を見よう──そんな、戦でしか生きてこなかった俺なりの結論が胸を落ち着けた。
飲み物が運ばれてくる。やはりケンタウロスが運んできた。そこからは酒を飲んだ。味はよく覚えていない。途中から記憶が途切れ、どうやって宿へ戻ったかも定かではないが、吐いてないことを祈る
翌日、目が覚めると見慣れない天井があった。窓から差し込む朝の光が眩しく部屋を照らし、部屋にはまだ昨夜の酒の匂いが残っている。喉を鳴らして体を起こすと、二日酔いの重さはない。胸の奥を確かめるようにゆっくり呼吸を整え、端末でFALを出す。
自動で整備されているのは承知しているが、それでも自分の手で銃を確認しないと落ち着かない。指先でスライドに触れ、銃身の冷たさ、フレームの微かな擦り傷すらないのがわかる、どうも慣れない。しかし所有者が最後に触れるという儀式は自分にとって欠かせない。そんな些細な安心を得ると、眠気と不安が少しずつ剥がれていった。
諸々を終え、宿を出る。受付で宿代のことを尋ねると、既に支払われていると告げられた。おそらく――ルヴィだろう。感謝と同時に、なぜそこまでしてくれるのかという疑問が胸に生まれる。
着ている服にも目をやる。村人から拝借した上着や粗末なズボンばかりで、町の人混みに紛れるにはあまりにも目立つ。悪目立ちを今更ながら自覚して、近いうちにまともな服を調達しようと心に決める。だがその前に、肩を誰かが叩いた。
「同行願う」
衛兵だった
「わかりました」
しばらく衛兵について行く。来たときとは別の道を通り、やがて立派な石造りの建物に案内された。外壁には城の紋章が刻まれ、門番の足音が石に響く。室内に入ると、石の冷たさと、火鉢の煙の匂いが混ざった空気が鼻をついた。
小部屋に通され、椅子に座らされる。しばらく待つと扉が開き、最初に会ったあの衛兵が入ってきた。彼は黙って机の上に二つの品を置いた。焦げた木片と、土のついた布切れ。匂いが、焦げた香りと湿った土の混ざったものとして鼻腔に届く。
「確かに襲撃の痕跡はあった。家屋は焼け落ち、血の跡も残っていた。……だが、一つ妙な点がある」
衛兵は視線を鋭くし、主人公を射抜くように見た。
「遺体はみな、広場に集められ、きちんと埋葬されていた。十字に組まれた木片まであった。…山賊がそんなことをすると思うか?」
俺は目を伏せる。
「……つまり、自分以外の誰かが生き延びていたのですね」
「そのはずだ」衛兵は頷く。「だが、我々が村に着いたときには、生き残りの姿は一人も見つけられなかった。足跡も曖昧で、数日前のものに消されていた。……お前の話では、村を出たのはお前だけだったな?」
室内が静まり返る。
「では、誰が埋葬した?」
衛兵の問いは重く、逃げ場を与えない。
衛兵が腕を組む。
「生き残りがいるなら、保護せねばならん。だが、正体の分からぬ者が勝手に死者を葬ったというのも妙だ。……お前、何か心当たりはないか?」
「いえ、特には」と答えると、室内の重さが少しだけ和らいだ。
「そうか……」
そう呟くと、衛兵は席を立った。その瞬間、空気が軽くなる——肩に張り付いていた緊張がスッと引く感覚だ。
「とまぁここまでは軽いカマかけだ、最初は山賊の斥候かと疑ったがそんな奴が女の前で酒でぶっ倒れるわけもないだろう」
「なっ」
「あー、そこら辺は次来るやつに聞いてくれとりあえずお前の疑念は晴れた、おめでとう」
衛兵は肩をすくめ、続けて実務的な話をする。
「ま疑う点はないことはないがが今はそれどころじゃない、山賊がこんな近くで村滅ぼしたってんならこっちにも被害は確実に来るだろうしな」
「お陰で城外の畑の見回りも増えちまってな、作戦の立案も頼まれた、忙しくてかなわねぇ、じゃあな」
そういうと衛兵は扉を開けて出ていった
次に入ってきたのは、道案内を頼んだあの衛兵だった。扉を勢いよく開け、息を切らしながら目の前で叫ぶように言った。
「あの子と何があった!」
その声には焦りと怒りが混じっていた。拳が机をかすめるような動きで、感情が溢れている。
あの子とは?あの子と呼ばれるようなものなら村で逃げていった兄弟とルヴィ、あの兄弟に街の親戚がいた可能性もあるが、おそらく
俺は慎重に口を紡ぐ
「ルヴィさんの事でしょうか?」
そういうとその衛兵はさらに焦りを露わにした
「あああ!そうだよ昨日の夜だ!ルヴィと酒場から出てきたな、男のくせに介抱までしてもらいやがって!しかもうちの娘となぜああも親しげにぃ!」
「あぁ、えぇああっと……」
先程の衛兵の言葉を理解すると共に言葉を詰まらせる、捕虜から暴言を吐かれたり殺す寸前に恨み節を吐かれたりなどは飽きるほど聞いてきたがこれは経験してこなかったタイプの詰められ方だ、そんな事でしばらく衛兵に言われていると、彼も落ち着いてきたのか一呼吸おき、トーンを落としてゆっくり話し始めた
「すまない、私も興奮し過ぎていた」
「い、いえそんなことは」
「ただ一つだけ答えてくれ、ルヴィとは?」
「し、知り合いです、一昨日会ったばかりの」
「ふん……」
喉を少し鳴らし、納得が行かない様子で衛兵は腰を下ろした
「まぁいい、さっきまで散々言っておいてあれだが私情でお前を拘束したままというは問題だ、ひとまずは解放するが、そのうち個人的に声をかけさせてもらうからな」
そういうとルヴィの父親?もとい衛兵は俺を入口まで連れて、そのまま解放した、廊下を歩いている時他の衛兵たちは忙しく動き回っており、いくらアラドから近いとはいえ村一つ生き残りの証言ひとつでここまで組織が動き回るものだろうかと考えたが、考えの違いと言うことでまとめた
その足で冒険者協会の施設へ向かうと、先日の試験に来ていた連中が集まっていた。ラルムエステルやルヴィの顔も見える。名前を呼ばれると支部長イヴァンがドックタグのようなものを差し出した。
「このタグはランクを表すものだ。体力・技量不足と判断されるものは土級、期間内に規定の体力・技量まで達しなければ剥奪だ、励むように。合格した新参は鉄級だ油断しないように」
俺は鉄級に相当するチェーン付きの鉄板を受け取った。冷たい金属の感触が掌に残る。ラルムはなんだか縁が別の色だったが、貴族特権的なものだろうか?
そんな事を思っていた矢先、そのラルムがこっちを向いた、見るやいなやズシズシ近ずいて来るとこう言う
「さぁ!特訓だ!」
――と。
因みにシュラングくん、この時代相応のとか言ってますが大剣の使い方なんぞ知らないのでこの時期の戦闘を今までの現代戦闘での経験から勝手に補完して思い込んでただけです




