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第1話 接敵?

割りかし早めに出せましたがまだ慣れてないので短いし薄いですがご勘弁を


真っ白な視界がゆっくりと色を取り戻すと、初めての異世界につい鼓動が早くなる。丘の上――視界は開け、遠くまで揺れる青い草原が広がる。時刻は真昼だろう。陽が刺す分、影は濃い。

俺はまず目と耳を総動員して周囲を捜した。風の向き、草のざわめき、耳鳴りを伴った自分の鼓動までが索敵の手掛かりだ。装備にざっと手をやり、丘の影に身を寄せて端末を開く。確認していないアプリをいくつか立ち上げるが、特筆すべき点はない。


探知機を起動してみる。反応が見つかる。マップを開き、拡大して、近くに複数の小さく四角い表示――建物を見つけた、周囲30kmの建造物をピックアップしていく、全てで3つ、うち2つは固まっていた為、孤立している方の建物群、そこへ向かうために歩き出した。歩き始めて1分ほど。風が一瞬止まり、空気が重くなる。次の瞬間――無人の草原に「ヒュー」という落下音が裂けた。

身体が反応するのは一瞬だ。咄嗟にうつ伏せになる。地面が震え、空が裂けたように破裂音が降ってくる。草原が、火山の腹のように噴き上がる。土と根と空気が粉々になって舞い上がり、視界を灰と光の粒が埋め尽くす。砲撃だ――明らかに魔法とやらとは違う、経験してきた、現実世界にも存在する砲撃の低く鈍い唸りが、胸の奥を揺さぶる。


爆風は音だけじゃない。空気の流れが顔を引き裂き、唇の内側に砂の味が残った。耳は一瞬高い金属音で満たされ、心臓がノックするように止まる。被った衝撃で息が抜け、息を飲むたびに肺が焼けるような熱が走る。

 草が焦げた匂いに、昔の台所の記憶が一瞬よぎる、姉が失敗していた料理を笑って誤魔化していたあの日を

しかし次の瞬間には現実に引き戻される。


「クソッ、来て早々にこれかよ、素敵なお出迎えだなっ」

悪態を吐きながらも、身体は動く。ほふく前進――草と湿った土に手を突き、這う。砲弾が降り注いだ場所を避けつつ、影を伝って先へ進む。地面に叩きつけられた草の焦げた匂い、焦点の定まらない陽光、粉塵のせいで世界が断続的に白くなったり戻ったりする。時間の感覚がねじれ、ほんの一分が永遠のように感じられた。


やがて、砲撃の連打は不意に止んだ。静寂が戻る、しかしそれがかえって脳を刺す。硝煙と土の匂い、焼けた鉄の匂い、そして消えることのない緊張感が残る。追撃が今来るかもしれないという予感を胸に、俺は走り出す――目標の建物群へ向かって、まだ足元に熱を孕む草を蹴り上げながら。

 

⬛︎⬛︎⬛︎


丘陵を縫うように小走りで進むと、目指していた場所がゆっくりと近づいてきた。近づいて確認すると、そこは既に廃村になっているらしかった。割れた戸、倒れた柵、斑がつく石、しかし生き物の気配は一切ない。歩き回ったせいで探知機を再起動すると、今度ははっきりとした反応が出る。端末の画面が微かにちらつき、振動が伝わる。胸の奥が冷たくなる。


(砲撃はここからか?)

 聞いた話では兵器の規模で探知反応の強さが変わるらしいが、その「規模」が何を意味するのか、ここで改めて考える余裕はない。警戒を引き締め、村の奥へ足を進める。


石造りの民家の間を抜けると、静けさが重くのしかかる。窓は砕け、屋根は抜け、扉は外れている。無論、人の声はない。動物の足音も、鳥のさえずりも消え、代わりに風が軋む音だけが低く回る。ひんやりした石の隙間に手を触れると、まだ微かに生温い湿り気が残っているような錯覚がする。だがそれも錯覚かもしれない。


村の中央に近づくにつれ、地表に赤い斑点が増えていく。血の染みだ。乾いた黒赤が草にへばりつき、踏むとカリッと音がする。しかし、死体が見当たらない。骨が粉々に砕かれたような痕跡はあるのに、骨そのものは一切ない。地面を這うように立ち込める蝿が、それが時間を置いていることを示している。血はすでに乾き、表面に薄い皮膜が張っている。


(着いている血が乾いている上に蝿も寄ってきている、戦闘が起きたのは少し前か?)


 そんな割り切れない推測を吐き出しながら、近くの背の高い建物に忍び込み、三階から村の中心方向を見下ろす。遠目に、大きな鐘を擁した建物が見える。教会らしい姿だ。視界の端に、崩れた屋根、割れた石柱、そして血のシミが散らばる広場が見える。


(砲撃してきた場所ではないかもしれない)と、端末の振動を拳で受け止める。教会に向かって降り、足を速めるたびに建物の損壊が顕著になっていった。壁の穴には焦げ跡と弾痕、そこかしこに散らばる金属片。穴の奥に転がるのは、明らかに銃弾の残骸だ。光が反射して、ほんの短い瞬間だけ金属の冷たさが視界を貫く。


「おいおい、ほんとに異世界かよ」

 つい漏れる声は、自分でも驚くほど平然としていた。だが内心は異世界でも変わらぬ様相に、胃が締めつけられるようだ。

 

道中、建物の入口で白骨化した遺体を見つける。こちらでは肉が飛び散り、内蔵が露出している光景を何十度も見てきたため、直接的な恐怖は薄い。だがよく見ると、見つかる白骨はどれも同じように四分の一が欠けている。


(しかし異世界が死体を火葬した後そのまま置いておく文化でもあるのか)


 そんな寒い考えが脳裏をよぎる。血は乾いているが、白骨になるほど前の出来事とも思えない。時間軸がどこか狂っているのではないかという嫌な予感が、足元からじわじわと広がる。


しばらく歩き続け、ついに村の中心、教会に到着する。周囲を出来る限りクリアリングし、慎重に扉を押して中へ入る。ブービートラップは見当たらず、短く安堵する。だがその瞬間、端末が震えを強め、胸に冷たい波が落ちてくるような感覚が走る。目の前に広がった光景は言葉を失わせるほどに凄惨だった。


教会内は文字通り血の海だった。床も壁も祭壇も、すべてが赤に塗り潰され、骨は一つも見当たらない。空気は鉄と油と何か別の、言葉にできない匂いで重く、呼吸するたびに喉がざらつく。祭壇の中心、神父が立つべき場所にあったものは、もはや原形を留めない残骸になっていたが、確かにそれはボルトアクション式の銃だった。金属は曲がり、細部は溶けたように変形している。そこから視線を下ろすと、残骸の最下部に一枚の紙が半ば埋もれているのが見えた。


紙を拾い上げ、目を走らせる。手書きされた文字の中でひとつの語が刃のように目に刺さる。


    「ノーフォーク連隊」


その文字列を認めた瞬間、脳内に過去の逸話が浮かぶ。失踪事件として名を馳せるセルティックウッドの怪――あの失踪者たちがこの世界に流れ着いていたのかと思うと、背筋が凍る。しかし彼ら本人たちが今どうなっているのかは、ここにある光景と銃の残骸を見れば想像はつくものの、原因と過程は依然として闇の中だ。


残骸と化したボルトアクション式の銃に端末をかざした。瞬間それは光となって端末に吸い込まれる。


胸の奥に澱のような不気味さを抱え、俺は教会を後にする。外の光は相変わらず強い、足音が草原に沈み、端末の振動はまだ微かに残っている。おそらく砲撃してきた場所だろう。息を吐くと、乾いた血の匂いが鼻の奥に残った。




 日が傾き始め、空が薄く朱に染まる頃だった。疲れがじわりと体に溜まってきて、まずは損傷の少ない家屋を見つけて休もうと決めた。扉を押すと中は真っ暗で、空気は冷たく淀んでいる。ランプの明かりすら届かない内部に、足音だけが微かに響いた。


端末を開くと、画面に「1500p」と表示されていた。思わず小さく溜息が出る。即座にライターと葉巻、オイルを購入して取り出すと、残りは「1350pt」になっていた。続けてMK23にLAMを装着し、ライトを点ける。武器の冷たい金属感が手に馴染む。


部屋の真ん中に置かれた古びたテーブルの上には、油の切れたランプがひっそりと佇んでいた。それを手に取り、オイルの小瓶を探し出し、注ぎ入れて火をつけようとした刹那、死角からいきなり小さな衝撃が身体を襲った。二人の子供が飛び出してきて、俺を勢いよく突き飛ばしたのだ。体が一度テーブルにぶつかり、ランプが小さく揺れる。幸い火は零れなかった。


子供たちは振り返ることなく、部屋を駆け抜けて外へ飛び出していく。足音は砂利を蹴るようにすぐに遠ざかり、戸がバタンと締まる。心拍数が跳ね上がった後、急に静寂が押し寄せる。念のためMK23を取り出して周囲を確認し、ランプに火を灯した後で建物内を徹底的にクリアリングする。床下、押入れ、天井の隙間まで篭るように探索したが、結果はオールクリア。誰もいない。子供たちはどこへ消えたのか、ただ風が窓を震わせるだけだった。


二階の寝室に上がり、ベッドを確かめるとダニの大量発生に気付いて即座に諦める。綿の匂いと不衛生な布団の感触がどうしても受け付けられなかった。結局、床に布を引いて寝ることにする。寝床を作る最中にも注意は緩めない。銃器の検証のためにMK23を三発、無駄に向かいの建物に向けて撃つ。発砲の反動、火薬の匂い、音の余韻が薄暗い室内に残る。撃った後、弾丸は現場に放置し、バレルやコッキング機構に溜まった煤や油汚れもそのままにしておく。


腹が空いていることを思い出し、二階からランプを持ってリビングへ降りる。端末で缶詰を二つ購入し、ランプの火でゆっくりと温める。湯気とともに広がるシーチキンの香り、そしてサバの味噌煮の甘辛い匂いが、夜の静けさにぽっかりと温もりを吐き出す。手に取った缶から箸でほぐして口に運ぶと、久しぶりにまともな味がして、思わず小さく目を閉じる。体が少しだけ軽くなった気がした。


暗くなってからしばらくは、端末のニューワールドというアプリで魔術の資料を読み込んだ。こっちでは「魔法」より「魔術」と呼ぶのが正しいらしい。理路整然とした体系のある術式と、直感で弄るおまじないの違い、属性や詠唱についてなど。読み込んでいく度にふと「これなら姉さんも…」と無邪気に思ってしまう自分がいた。家族の顔がふと浮かび、胸が締めつけられる。

調べていくうちに村の顛末についても大まかだが予測はついた、おそらく骸骨という化け物による襲撃と、そしてそのリーダーはリッチという種族であるということに。


食事を終え、寝る前にリビングで一人、葉巻をくゆらせる。煙が空気の層にゆっくりと溶けていくのを見つめながら、今日の出来事を反芻する。端末をポケットにしまい、ランプの火を消すと、辺りは闇に沈む。帽子だけを残して装備を外したそのままの姿勢で、うつらうつらと眠りに落ちていった。


朝は地平線の先から薄い光が差し込んだ頃に目を覚ました。起き抜けに端末でパンと水を購入し、いつもよりゆっくりと、それを噛みしめるように食べた。昨夜検証として放置しておいたMK23を見に行くと、バレルだけが綺麗になっていた。昨日検証として放置したmk23だがバレルのみ綺麗になっていた、弾はそのまま、今後のことも考える弾薬の補充は後回しにした。自称女神が言ってたことの事実確認の後、室内でできる軽いトレーニングを行った。筋を伸ばし、気を整え、体を動かすことで少しだけ頭が冴えるのを感じる。


教会へ向かう道中は相変わらず静かだった。廃墟の中から適当な釘と木片を見つけ、それを十字に組み上げる。異世界でなお異国の民を守った無名戦士たちを弔えるのは、今ここにいる自分しかいないだろう――そんな責任感とも義務感ともつかない感情が胸に芽生える。十字は粗末だが、置かれた場所に静かな敬意を示す。


 

どう攻略させるか悩んでるのでとりあえずここでおしまいです。

なんか思いついたら出します。


2月2日大幅修正

リッチはそのうち出すよ


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