( ´ ▽ ` )ノ( ´ ▽ ` )ノ( ´ ▽ ` )ノのお話
新しい母と妹が出来ました。え?意地悪って何?わたくしは幸せです。
アリーディア・サラディス公爵令嬢は、紹介された女の子を見て驚いた。
あまりにも可愛らしい容姿をしていたからだ。
金のフワフワの髪に青い瞳のそれはもう天使のようだった。
「今日からお前の妹になるリリーナ。そしてお前の母になるレスティーナだ。」
父のサラディス公爵から紹介されて、アリーディアは不安を覚えながらも挨拶をした。
「アリーディアです。お義母様。リリーナ。よろしくお願いします。」
リリーナはきょろきょろしながら、
「わぁ、素敵なお屋敷。私がお姫様になるのね。」
リリーナは10歳。アリーディアは12歳。
まだまだ子供である。
自分の新しい母になる女性も、金髪碧眼の美しい人で。
「レスティーナと申します。アリーディア様。よろしくお願い致しますね。」
「え?お義母様になるのでしょう?様は必要ないわ。」
「いえ、貴方は正当な公爵家の跡継ぎになられる方。わたくしは縁があってクルド様の妻になりましたが、クルド様に貴方様の事を大事に育てるように申し付かっております。ですから、アリーディア様、よろしくお願い致します。」
クルドとは父の名前だ。
アリーディアは暗い子供だった。自分でも自覚している。
一年前、母親が使用人と浮気をして公爵家から出て行ってしまったのだ。
俗にいう駆け落ちである。
その事はアリーディアの心に傷を作り、元々、母の愛情も薄かったので更にアリーディアを暗い子供にしてしまった。あまり話さない。あまり笑わない。
父のクルドは黒髪碧眼のその辺にいるような普通の容姿だが、領地経営の腕は確かな有能な男だ。サラディス公爵家は名門でもあるので、後妻に来たがる女性は多かった。
だが、何故、子もいるレスティーナを選んだのか。
学生の時に互いに想いを寄せていた。しかし、家の都合で結婚に至らなかった。レスティーナは伯爵家の娘だったが、20歳離れた男爵と結婚せざるを得なかった。その男爵は顔だけは良かった物だから、娘のリリーナはそれはもう父に似て可愛らしい娘に育ったのだ。
男爵はとある日、心臓の発作を起こして急死してしまった。
だから、レスティーナは独り身になってしまった。
丁度、妻に逃げられたクルドと、独り身になってしまったレスティーナ。
互いにかつて想いを寄せていて結ばれなかった過去を持つ二人が、時を隔てて思いを再燃させるに至ったのは不思議ではない。
公爵位を継いでいたクルドは今度こそとレスティーナへの思いを叶える形になった。
だから、レスティーナはサラディス公爵家に娘のリリーナを連れて後妻に入った。
レスティーナはいつもアリーディアを娘と差別して、公爵家の跡継ぎとして扱った。
家庭教師も一流をつけ、ドレスも持ち物も全てリリーナと差をつけ良い物を与えてくれた。
「アリーディア様が跡継ぎなのだから当然ですわ。リリーナ。我儘を言わないの。いいわね。貴方は嫁に行く身なのだから。」
「えええええっーー。お姉様のドレスが欲しい。お姉様のアクセサリーが欲しい。どうして私の方が安物なのよ。」
「リリーナ。いい加減にしなさい。」
レスティーナが怒る。
アリーディアは返ってリリーナがかわいそうになった。
「この髪飾り、貴方にあげるわ。リリーナだって良い物を着けて、お洒落したいでしょう?」
「有難う。お姉様。」
綺麗な紫水晶の髪飾りをリリーナにあげた。
レスティーナは真剣な眼差しで
「リリーナを甘やかしてはいけません。アリーディア様は公爵家の跡継ぎになるお方。リリーナには分相応と教え込まなくてはいけません。世間では我儘な妹が多いと聞きますが、わたくしは許しません。いかに血を分けた娘とはいえども、しっかりと教え込まないと、先々リリーナの為にはならないのですから。」
アリーディアに訴えたのである。
レスティーナは夫のクルドが傍に来れば、愛し気にその手に手を重ねて、
「クルド様と過ごせるなんて、なんてわたくしは幸せなのでしょう。アリーディア様とリリーナと、二人の娘にも恵まれて。わたくしは本当に幸せ者ですわ。」
微笑みながらそう言うのだ。
レスティーナは他人行儀だったが、アリーディアに愛情を持って接してくれた。
「アリーディア様。リリーナ。ケーキを焼きました。一緒にお茶にしましょう。」
二人を呼んで、テラスでケーキと紅茶を楽しむ。
とても美味しいチョコレートケーキ。アリーディアは嬉しかった。
自分の母、シルビアは派手好きで、夫や娘を放っておいて夜会に出かける程、社交的だった。
ケーキなんて作ってくれた事はない。娘の好きな物を知っているだろうか?
夫と娘に無関心な母親。
母が使用人と駆け落ちして姿を消したと父から聞いてもアリーディアは悲しみを全く感じなかった。
レスティーナは、アリーディアとリリーナに向かって、
「今度、一緒に買い物に行きましょう。三人で。クルド様がお小遣いを下さったの。
そのお小遣いで色々と買い物をしましょう。」
リリーナは素直に喜ぶ。
「リリーナ。熊さんが欲しいっ。」
アリーディアはどう答えたらよいのか解らなかった。
母に買い物に連れていって貰ったこともない。
12歳のアリーディアは何が欲しいか解らない。
綺麗なドレスやアクセサリーをレスティーナは用意してくれてはいた。
子供ながら茶会とか出席する事もあるからだ。
レスティーナはアリーディアに、
「アリーディア様も欲しい物があったら買ってよいのです。一緒に見て差し上げましょう。」
にこやかにそう言ってくれた。
三人で買い物に出かけ、リリーナが欲しがる熊のぬいぐるみ。小さくて可愛くてふわふわで。
アリーディアも欲しくなった。
だが、言えない。
レスティーナが優しく、
「アリーディア様も熊を買いましょうか?とても可愛い熊でしょう。ほら。目がくりくりして。」
掲げて見せるレスティーナ。
とても嬉しそうで。
リリーナがアリーディアの手を引っ張って。
「お姉様とお揃いお揃い。お揃いにしたいっ。」
お揃いのふわふわの熊を買って貰った。
その熊はアリーディアの宝物になった。
とある夜は雷が酷くて。
夜はメイド達は別の部屋で寝ているので、いつもアリーディアは一人で耐えていた。
でも…怖い…怖くて仕方がない。
雷は大嫌い。
昔、あまりにも怖いので母の部屋に行ったら、怒られた。
「アリーディア。お前は一人で寝られる年でしょう。みっともない。」
アリーディアは泣いて部屋に逃げ帰ったのだ。
しかし、怖くて怖くて広いベッドで震えて雷がやむまで寝る事が出来なかった。
怖い怖い…雷が怖い。
コンコンとドアを叩く音がする。
部屋にレスティーナとリリーナが入って来た。
「雷怖くありません?アリーディア様。一緒に寝ましょう。」
「リリーナも一緒に寝るっ。」
枕を持って、二人はベッドに潜り込んできた。
窓の外で稲妻が光り、ドーンと音がする。
「「「きゃぁっつーーー。」」」
アリーディアを真ん中にしていたものだから、二人がアリーディアにしがみついてきて。
レスティーナが震えて。
「雷なんて怖くないわ。怖くない。」
リリーナはワンワン泣いて。
「リリーナ。怖いよう。」
アリーディアは自分も怖くて仕方なかったが、二人を宥めるように。
「怖くないわ。怖くないっ。」
ぴかっーーーー、ドーン。
凄い音がして、三人で震えて大泣きした。
アリーディアの父であるクルドが扉をノックして、
「大丈夫か?なんだ。レスティーナもリリーナもいないと思ったらアリーディアの所にいたのか。」
レスティーナが泣きながら、
「貴方。雷が怖いですわ。」
リリーナは大泣きし。
「わーーーん。怖いよう。」
アリーディアはこれ以上、泣くことが出来なかった。我慢しなくては。公爵家の娘なのだから。
レスティーナがアリーディアを抱き締めて、
「怖い物は怖いと言いなさい。アリーディア様。もっとわたくしを頼っていいのよ。」
雷に震えながら優しく髪を撫でてくれた。
アリーディアの瞳から涙がこぼれる。
ずっと欲しかった母からの愛情。レスティーナにしがみついた。
「わたくしも怖いっ、おかあさま怖いっ。」
クルドがそんな三人に向かって、
「四人で今宵は寝よう。私がベッドに入ったら狭くなるか。」
四人で寝るベッドは狭かったが、アリーディアは幸せを感じていた。
この幸せが永遠に続けばいいのに。
でも、事件が起きるのであった。
レスティーナとリリーナが公爵家に来て一年過ぎた。
今や、アリーディアにとってレスティーナとリリーナは大切な家族になっていた。
「お母様。リリーナ。庭のお花がとても綺麗。」
レスティーナは微笑んで。
「本当に綺麗に咲きましたわ。アリーディア様。」
リリーナも庭を駆け回り、立ち止まって木に咲き誇る白い花を見上げながら、
「綺麗。お姉様。スケッチしましょう。」
「そうね。」
今、二人は刺繍を練習していた。その図案に花をと、思っていたのだ。
リリーナに誘われてアリーディアはスケッチを始めた。
幸せな時間。
その時である。屋敷の方から声が聞こえてきた。
「クルドったら、もう再婚しているなんて聞いていないわ。わたくしが帰ってきたのだから、新しい女には出て行って貰うわ。」
実母シルビアだった。
使用人と駆け落ちをして二年前に姿を消したシルビアが、レスティーナを見つけると近づいて来て。
「貴方がクルドの再婚相手の女?わたくしはシルビア。クルドの元へ帰って来てあげたわ。アリーディアの母でもあるのよ。貴方には出て行って貰う。ここはわたくしの家よ。」
レスティーナは真っ青になって。
「クルド様はご存知なのですか?」
「クルドに選択権はない。わたくしは名門レデルク公爵家の娘よ。没落寸前の伯爵家の貴方とは格が違うの。さぁ荷物を纏めて出て行って頂戴。そのみすぼらしい娘と一緒にね。」
レスティーナは涙を流しながら、
「せっかくクルド様と一緒になれたのに、せっかく家族を見つける事が出来たのに。わたくしとリリーナは出て行かなければならないなんて…」
アリーディアはシルビアの前に出て叫んだ。
「わたくしの家族はレスティーナとリリーナよ。他人の貴方は出て行って頂戴。」
シルビアはアリーディアの頬をバシっと引っ張だいて、
「母親に対する態度?悪い教育を受けているようね。再教育が必要だわ。」
頬を押さえながらアリーディアはシルビアを睨む。
「使用人と出て行った貴方に言われたくはないわ。最低の女っ。」
庭の方から声がした。
「そう、お前は最低の女だ。シルビア。」
サラディス公爵のクルドである。
シルビアはクルドの姿を見ると、ネコナデ声で近づいて、
「貴方。わたくし、戻って来てあげたわ。あの女達を追い出して頂戴。わたくし、やはり貴方でなくては駄目なの。」
「そうか…私もお前でなくては駄目なようだ。」
父の言葉にアリーディアはショックを受ける。
お父様?何で?どうして?レスティーナお母様の事をとても愛していたじゃない?どうしてシルビアを選ぶの?
シルビアの鳩尾を殴り、クルドは気絶させる。
二人の男達が現れて、シルビアの身体を袋に詰め込み、運び出していった。
アリーディアは恐る恐る聞いてみる。
「あの女はどうなるの?お父様。」
クルドはすまなそうに、アリーディアに向かって、
「シルビアの実家に強制的に送り返した。義父上も相当お怒りだ。極寒の修道院へ送って、二度とこちらに接触させないと言ってくれた。最初、シルビアは実家のレデルク公爵家を頼ったようだがな。シルビアの兄が追い返した。公爵位を引退した義父上が責任取ると言ってくれた。アリーディア。お前の生母だ。申し訳ない。」
アリーディアは首を振って、
「わたくしの母はレスティーナ。妹はリリーナ。あの女は母ではないわ。お父様。」
「それならばいい。」
レスティーナは涙を流して、アリーディアを抱き締めてくれた。
「有難う。アリーディア。嬉しいわ。」
リリーナも泣きながらアリーディアに抱き着いて。
「お姉様と離れないですむなんてリリーナ嬉しい。有難う。」
その事件から5年過ぎた。
アリーディアは18歳。
この王国の第二王子ロッドの婚約者に選ばれた。
ロッドは第二王子なので、アリーディアと結婚をし、サラディス公爵家に入り、クルドの後を継いでいずれサラディス公爵になる事となる。
ロッドはとても背が高くて、黒髪碧眼の素敵な男性だ。
王立学園に通って、アリーディアはロッドとの愛を深めていった。
卒業間近になった頃、アリーディアに心配事が出来た。
ロッドに付きまとう女性が出来たのだ。
男爵令嬢マリアである。
ピンクブロンドのマリアは、婚約者がいるにも関わらずロッドにしつこく付きまとった。
「ロッド様ぁ。一緒にお昼を食べましょう。」
ロッドはちらりとマリアを見やり、冷たい口調で。
「私の時間は全て、アリーディアと過ごす為にある。君と昼を食べる事はない。そもそも、どういう教育を受けているのだ?私はこの王国の第二王子だ。身分をわきまえて欲しい。」
マリアは目をウルウルさせて、
「だってぇ、王立学園は身分関係なく平等だって…」
そこへ突進してきたのがアリーディアの妹リリーナである。
思いっきりマリアに頭突きを食らわせた。
ふっとぶマリア。
そのまま噴水に落っこちた。
唖然とするアリーディア。
リリーナはふふんと笑って、
「お姉様の婚約者に色目使うなんて最低だわ。お姉様の幸せはわたくしが守ります。その為にわたくしはどんなことでもするわ。」
妹の気持ちが嬉しかった。
その後もマリアはめげずに、ロッド第二王子に突進してきたが、リリーナが全て撃退した。
卒業パーティで、男爵令嬢マリアは他の令息達をそそのかして、ロッド第二王子に、アリーディアとの婚約を破棄しろと進言させたが、ロッド第二王子は取り合わず、令息達を無視して、美しきドレスを纏ったアリーディアを大事にエスコートし、
「今日を持って私達は王立学園を卒業する。近々私はアリーディア・サラディス公爵令嬢と結婚する事を宣言する。皆、祝ってくれ。」
さっさと結婚宣言までして、マリアを悔しがらせた。
アリーディアは幸せだった。
リリーナが泣いて喜んでいる。
両親も出席し、父クルドはニコニコして嬉しそうで、母レスティーナはハンカチを濡らして喜んでくれている。
良い家族に恵まれてなんて幸せなんだろう。アリーディアはそう思ったのであった。
結婚式の準備で忙しいそんなとある日、レスティーナがアリーディアの部屋を訪ねて来た。
「もうすぐ、アリーディアは結婚するのね。」
アリーディアと呼び捨ててくれと頼んだのはほかならぬアリーディア。レスティーナと本当の親子になりたかったから…娘として扱ってほしかったから。
色々な思い出がよみがえる。
レスティーナには本当に良くして貰った。沢山の愛情をこの義母はくれたのだ。
「お母様のお陰でわたくしはとても幸せでしたわ。有難うございます。お母様、」
「アリーディア。わたくしの懺悔を聞いてくれないかしら。」
レスティーナは話始めた。
「わたくしね。どうしてもクルド様を忘れる事が出来なかったの。人を雇って、シルビア様を誘惑するように仕向けたのはわたくし…ちょっとしたお金を渡して誘惑してって頼んだだけなのにあの庭師は思った以上にやってくれたわ。駆け落ちまでしてくれた。
だから、シルビア様が戻ってきた時はとても焦ったわ。
わたくしの元夫が心臓の病で死んだのは、わたくしが毒を盛ったから…わたくしは罪を償いたい。でも。このことを公にしたらサラディス公爵家に傷がついてしまう。貴方の結婚式を見届けたら修道院へ参ります。わたくしの罪を神様の前で償って生きていきたいの。」
そして、レスティーナはアリーディアを抱き締めて、
「ごめんなさい。貴方からお母様を取り上げたのはわたくしだわ。」
衝撃の事実だった。
それでも、レスティーナは沢山の愛情をアリーディアに与えてくれた。
レスティーナは泣きながら、
「リリーナにはこの事を言わないで。リリーナの本当の父親を殺しただなんて知ったら。お願い。」
アリーディアは悲しかった。そしてぎゅっとレスティーナを抱き締めながら、
「いなくならないで。わたくしのお母様は貴方しかいないの。貴方がいなくなったらわたくしは…お願い。ずっとわたくしのお母様でいて。お願い。」
必死で願った。
「償うというのなら、わたくしとロッド様の子を見て愛して。沢山の愛情をその子にも与えてあげて。それが貴方の償う道だわ。」
扉を開けたら、父クルドが立っていて、
「薄々感じていた。君が男爵を殺したんじゃないかって。」
「貴方…。」
「シルビアとは仕方なく結婚した。私はずっと君の事を忘れられなかった。だから、シルビアの事で責めるつもりはない。君が人殺しでも、それでも、私は君に居て欲しい。君の事を愛しているから。レスティーナ。」
レスティーナはクルドに抱き着いた。
アリーディアはそんな二人を見て思った。
わたくしはレスティーナとリリーナと過ごせて本当に幸せだった。
彼女が殺人を犯していたとしても、そんなの関係ない。
シルビアが出て行くきっかけを作ったのが彼女だったとしてもそんなの関係ない。
大嫌いな母だったから…
わたくしはお母様レスティーナのやった事に全て目を瞑るわ。
クルドに抱き締められているレスティーナに向かって、改めてアリーディアは頼んだ。
「わたくしの大切なお母様…ずっとわたくしの傍にいて、これからも家族でいて下さいませ。」
泣きながらレスティーナは頷いた。
それからしばらくしてロッド第二王子と結婚式を挙げた。
沢山の人に祝って貰ってアリーディアは幸せ一杯で。
愛する父クルドと母レスティーナ。妹のリリーナ。
妹のリリーナの方にアリーディアはブーケを投げる。
「今度はリリーナ。貴方の番よ。わたくしのブーケ受け取って頂戴。」
ふわりと投げたブーケ、リリーナが手を伸ばしたが風に流されて、受け取ったのが、騎士団長子息、身長2m越の大男。困ったようなその大男はブーケを身を屈めてリリーナに渡してくれた。
リリーナが頬を染めてその大男を見つめている。
大男も照れくさそうだ。
彼は確か騎士団長の所の次男のガイド様だったわ。
リリーナったらあんなに頬を赤らめて。
ああいう人が好みだったのかしら…
ロッド第二王子がアリーディアに囁く。
「よそ見をしないでこっちを見ておくれ。愛しているよ。アリーディア。」
「わたくしも愛しておりますわ。ロッド様。」
全てがすがすがしい日。
アリーディアにロッドと言う最愛の新しい家族が増えた。
リリーナはその後、騎士団長子息ガイドとの婚約が成立し、ほどなく結婚をして家を出て行った。時々、実家に遊びに来るリリーナ。とても幸せそうだ。
ロッドとの間には一年後、男の子と女の子の双子が出来て、家族皆を喜ばせた。
その二年後には今度は女の子の双子が、更に5年後に男の子が産まれて。
沢山の家族に囲まれて。
クルドとレスティーナは、孫達をとても可愛がってくれた。沢山の愛情を注いでくれた。
アリーディアは両親をとても大切にし、ロッドと共に公爵家を盛り立て、賑やかに幸せに暮らしたと言われている。