97話 ディフェンス
あれからは何も問題なく、無事監獄島へと着くことができた。
監獄島の軍港に金剛を投錨させて、身分証を見張りの門番に見せ、島の中へと入る。
そして大門を潜り中へと入ると、巨大な甲鉄の要塞の中に入ったような光景だった。
そして門を潜ったところで私はトワそしてプロキオンとベテルギウスを連れてある牢の場所へと向かう。
その者達がいる監獄塔の扉を開けて入り、そいつらが囚われている牢の所まで向かう。
そして、その牢の前に着く。
「久しぶりですね。自衛官の皆さん」
そう。私達が会いに来たのは、以前イシュタリカで捕らえた自衛官達だ。そして、今私達の目の前にいるのは、その自衛官達をまとめていた大隊長である。
「こちらこそ、久しぶりです。それで、何をしにここに来たんですか?」
「今日は君達に提案何あってここに来ました」
「提案……ですか?」
「ええ、この提案は君達にとっても悪くないものだと私は思っています」
「ふざけてんのかテメェ!」
「おい!?」
「ふざけてなんかいませんよ。それにこれは私だけでなく元帥の判断でもあります」
「元帥ということは、貴方方のトップということですか?」
「そうです。それでは話を戻しますが、提案というのは貴方達に私達スターズの構成員とならないかという話です」
「何故そうなるんですか?」
トワにだけ、【サイレント】という音を聞こえなくしたりする無属性魔法と【クロノスロック】という対象時間を一時的に止める無属性魔法を気づかれないようにかける。
「この世界から君達のいた日本のある世界に自然と繋がる可能性はほぼゼロに等しい。それにこちらから無理矢理こじ開ける方法もなくはないが、そうした場合、遅かれ早かれその世界は滅んでしまう可能性がある」
「何故ですか?」
「無理矢理こじ開けた場合、その世界に張られている結界を破壊してしまうことになります。簡単に言えば、その無理矢理こじ開けた場所から別世界の異物がその世界に入り込み、最悪の場合その世界がその異物によって破壊されてしまいます。ちなみにこの話は、実際にスターズが以前異世界人を元の世界にこの方法で送り届けた後の話です」
「なるほど。確かにそうなっては日本がどうとかという問題ではないですね。もしそうなったら、私達のせいで世界が崩壊してしまうってことになりますもんね」
「ええ、だからさっきからスターズに入るように提案しているんですよ」
すると、別の牢にいた男(泉谷翔太郎)が声を出す。
「そこがわからねぇんだよ。何でそこで俺達がそのスターズってんのに入らなくちゃならねぇんだよ?普通に外に出してくれるだけでいいだろうが」
「何を言っているんですか?仮にも貴方達はスターズにとって犯罪者なんですよ。それを見す見す逃してしまったらスターズの信用問題にも関わります。それに異世界人である貴方達はこの世界の常識を知りません。ですので、その常識を身に付けてもらうためにもスターズに入ってもらうのです。これで納得してもらえましたか?泉谷准尉」
「ま、まあ納得はしたが、スターズに入ったら俺達の扱いはどうなるんだ?」
「そうですね。今決まっている段階では、貴方達全員を1つの部隊として構成する新しい部隊を編成します。扱い的には、五星使徒の誰か一柱の直属の特殊部隊の扱いとする予定です」
「その誰かは決まってねぇのか?」
「まだ決まっていません」
「あの、その話で気になったのですが、その五星使徒とは何ですか?」
大隊長(近藤裕一郎)がそう尋ねる。
もうそろそろ異世界の話はないはずだと思い、トワにかけていた【サイレント】と【クロノスロック】を解除する。
「……今の間に何が起こったのですか?位置がだいぶ変わっていますが」
「今の君にはまだ話せない内容だったからね。悪いけど君には聞かれないように魔法をかけさせてもらった」
「そうだったのですね。春……じゃなくてシリウス様。まだ私には話せないことがあることは理解しています。ですが、話せる時が来たら教えて下さいね」
「分かった。約束しよう」
「約束です」
さっきの話の続きをする。
「さて、話を戻しますが、これから貴方達を仮釈放します。その後、ここから船で本部まで行き、試験を受けた後に部隊編成を行った後に正規採用となります。あと、基本的に現在の君達の階級を考慮してスターズの方でもその階級とほぼ同階級にするつもりです。ですが、試験次第では上がる者もいれば下がる者もいるでしょう。それは貴方方の試験の結果次第ですね。話だけをしても仕方ないのでそろそろ出ましょうか。今、牢の鍵を開けます」
そして、全員分の牢の鍵を開けて、全員を牢の外に出す。
「では、これからスターズ本部まで船で移動してもらいます。既に船の方は軍港に待機させてあります」
そうして軍港まで行き、待機させていた金剛に乗り込んで本部まで戻る。
金剛を初めて見た元自衛官達があまりの衝撃で口を開けたまましばらく硬直していたが、20秒ぐらいすると我に返った。
そして、本部に到着して全員の採用試験を済ませる。
その試験結果はというと、結果的をいえば全員合格だった。だが、私の予想通り、元の階級から昇格した者もいれば逆に降格した者もいた。
「あ、言い忘れてましたが、これから貴方方には反逆防止用電波を脳に流し込み、スターズに反逆をする気を起こさせないようにします。これは、強力な力を持つ異世界人が反逆などを起こした場合、甚大な被害が出てしまうのを防ぐためです」
「なるほど。確かに反逆する可能性のある奴もいるからその考えは間違っていないのかもしれないな。それにしても、そんな技術まであるのには驚いたな。ここだけSF世界のようだな」
「そうですね。私も初めてここに来た時にはそう思いました。それじゃあ行きましょうか」
それからある部屋へと向かい、彼らの脳内に反逆防止用電波を流し込んで反逆の意思を完全になくす。
「では、これから貴方方には人事局採用試験課に行って、身分証を発行してもらいます。それじゃあ行きましょうか」
そう言って、とりあえずトワを【ゲート】で一旦屋敷に戻した後で、人事局採用試験課へと向かった。
人事局採用試験課で手続きを終えて身分証を全員が受け取ったところで、もうひとつやることがあるのでそれを伝える。
「ではこれより貴方方には、五星使徒ならびにシャドウ評議会の合同会議に出席してもらいます。理由は、今回の議題でもある貴方方の部隊を誰の直属の部隊にするのかの会議だからです」
「それ、我々が出席する必要ありますか?」
「一応参加するようにと言われていますので、申し訳ありませんが一緒に来て下さい」
「分かりました」
彼らを今回の会議場へと案内する。
「五星使徒第2席シリウスだ。これより例の者達と共に入場する」
入り口にいた者達にそう言い、中に入る。
私は用意された席に座るが、自衛官達は簡易的な椅子に座ってもらった。
「それでは、これより合同会議を始める。議題は、新たな特殊部隊の所属先についてだ」
「それについてなんだけども、いつも通り春人の直属の部隊ってことでいいんじゃないかしら」
「確かにベラトリックスの言うことも一理あるのだが、最近私の直属の特殊部隊の数が増えてきていて、このままだと五星使徒の戦力図が崩れる可能性がある。しかも今回の部隊に至っては、今までと違って現役軍人だった者達だ。こう言ってはなんだが、今までみたいな元民間人とは違うということで、こうして会議を開いてもらったというわけだ」
「そういうことだったのね」
「理解してもらえたようだな。それでは改めて始めよう」
とはいえ、実際のところある程度は考えてあるのだがな。
「まず、これは事前に私が作っておいた現在の五星使徒の戦力図だ」
そう言って、丸テーブルの中央上空にその戦力図をホログラムとして出す。
「今話している特殊部隊の所属に感じてただが、まず五星使徒で加えることの出来ない者を言う。まず五星使徒第1席サルガス。第2席である私シリウス。第5席スピカの3人だ」
「なあ、シリウス。少し良いか?」
「どうした?フォルセティ」
フォルセティは、ソクショに与えられたコードネームである。
「その割り当てに関してなんだが、ベラトリックスが良いんじゃないか?」
「奇遇だな。実を言うと私もそう思っていた」
ベラトリックスは、イレルリカに与えられたコードネームである。
「ちょっと待ってちょうだい!なんで私なの!?」
「ベラトリックスが丁度良いんだよ。それにそこの戦力図でも示されているように、一番戦力図的に低いのはお前だぞ?それにこの者達は元々そっちの管轄区域に出現した異世界人でもある。これでも理由としては足りないか?」
「いいえ。十分よ」
「なら、この特殊部隊の名を正式に『ディフェンス』とし、ベラトリックス直属特殊部隊とする。それで良いか?サルガス、ベラトリックス?」
「異論はない」
「同じく」
「それじゃあ、サルガス。あとは頼む」
「この書類に全員のサインをしてくれ」
サインをし終える。
「では、これにて正式にベラトリックス直属特殊部隊として部隊名『ディフェンス』の活動を認めるものとする。なお、『ディフェンス』の隊長を近藤裕一郎大佐とする。これにて合同会議を終了する」
部隊に関しては、イレルリカに全てを任せて、私は一旦執務室に行って、溜まっていた仕事を全て終わらせてから屋敷へと戻った。
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