94話 トワのスターズ採用
「トワ、ちょっと良いか?」
私はトワの部屋に入り、そう尋ねる。
「はい。なんでしょうか?」
「ちょっと一緒に来てもらいたい場所があるんだが、良いか?」
「構いませんよ。それで何処に行くんですか?」
「スターズ本部だ」
「スターズの本部にですか!?」
「しっ!声抑えて。トワだから話しているんだぞ」
「何故、急にそんな話になったんですか!?」
「君達は私の婚約者となっただろ。だから万が一に備えて、君達には私と同じくスターズ所属の身分にすれば、はるかに都合が良い。それで、まずは試験的にトワから試そうと思ったんだよ」
「なんで私なんでしょうか?」
「単純にトワが、みんなの中で1番強いからだね。実技試験では、まだアイリスや信女では実力不足だから君が1番適していると判断したまでだ」
「分かりました。協力しますよ」
「ありがと。それと、トワには一応これを渡しておくよ。本来なら渡す予定はなかったんだが、念のために渡しておくよ」
そう言って私は、【ストレージ】の中からコルトM1911A1とホルスターを取り出してトワに手渡す。
「ありがとうございます」
そう言ってトワは、懐の着けたホルスターに拳銃を仕舞う。
「それじゃあ、行こうか。【ゲート】」
【ゲート】を本部の試験会場の所に開いてその中へと入る。
そして試験会場には、既に今回の試験を担当する試験官達が集まっていた。ソーラルまでいるのは珍しいな。
「ソーラルまでここにいるのは珍しいな」
「今日は、お前が新しく始めたキャリア採用制度の試運転だろ?しかもそれを行う相手がお前の婚約者なんだろ?本当は、俺だけじゃなく他のやつらもこれに興味を持って来たがってたんだが、俺以外のやつらはちょうど任務だったりがあったりしたから、俺だけここに来たってわけだ」
「なるほどな。なら、さっさと始めるか。試験官は試験の用意。トワも試験の用意を初めてくれ」
『了解』
試験の準備が完了して、試験が始まる。
「今回、お前の試験担当官を務める、ティール大尉だ。全力で来い」
「端からそのつもりです」
「では、試験ルールを確認する。まず、使用する銃弾は全てゴム弾とし、刀剣類は刃を落とした物を使用すること。勝敗は、相手が戦闘不能とこちらで判断するか、降参があった時点で勝敗を決めるものとする。それでは双方よろしいか?」
両方が頷く。
「それでは、試験開始!」
数秒間は相手を観察し、攻撃する機会を見て、先にトワが攻撃を仕掛ける。
だが、ティールがトワが仕掛けた攻撃を弾き飛ばす。
拳撃を弾き飛ばされたトワはそのまま飛ばされる。しかし、体勢を立て直して、今度は近づいたと同時に仕込んでいた短剣をティールの首頸動脈目掛けて攻撃するが、避けられティールが一旦距離を取り銃をトワ目掛けて撃つ。
銃弾(ゴム弾)をなんとか避けながら、トワも銃を取り出して撃つ。
ティールは、銃弾を避けきれずそのまま何発か被弾し、そのまま地面に膝を着く。
そしてティールはそのまま両手を上げる。
「降参します」
「降伏宣言を確認しました。よって、勝者をトワとする!」
「見事だった。攻撃のパターンをしっかりと計算されていたし、攻撃の威力も国の職業軍人相手でも余裕で勝つことが出来るだろうな」
「当たり前だ。トワは、私が推薦したんだからな。それにトワはこれからもっと強くなっていくだろう」
「そうですか。まあ、とりあえず実技試験の合格通知書はこちらになります。次は、筆記試験会場の方に向かって下さい」
「分かった」
私達は、実技試験開始をあとにして、筆記試験会場へと向かった。
「では、これよりキャリア採用制度予備構成員筆記試験を実施します。この試験の点数によって、合格時の階級が決まりますので、全力で取り組むように。試験時間は1時間とします。それでは、始め!」
それから1時間後……。
「それまで。筆記用具を置いて下さい。それでは解答用紙を回収します。採点が終了するまで、控え室で待機していて下さい」
採点が終わるまで、控え室で結果を待つ。
だが、トワが不安なのか妙にソワソワしていた。
「トワ、大丈夫だ。筆記試験の内容を見たと思うが、スターズに関する知識面だったりの問題もあったが、そのほとんどは、以前に教えた通りの内容だったろ?それに元々トワは賢いから筆記で落ちることはないから安心しろ」
「そうですよね」
私の言葉で不安がなくなったのか、いつものトワの状態へと戻った。
それから少しの間にこれからの事を話していると、扉からコンコンコンとノックがして、扉を開ける。
「採点が終わりました。採点の結果、キャリア採用制度筆記試験点数基準に基づき、大佐の階級と致します。こちらが筆記試験の合格通知書です。先程行った実技試験の合格通知書と合わせて人事局の採用試験課に提出して下さい」
「ああ、分かった」
早速、人事局の採用試験課へと向かう。
「ようこそ。こちらは人事局採用試験課です。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「彼女の身分証のを頼みたい」
「了解しました。では、実技試験及び筆記試験の合格通知書をご提示下さい」
合格通知書を提出する。
「確認します。少々お待ち下さい」
受付の人は、合格通知書に間違いないかの確認をしに行った。
そして、確認を終えて戻って来た。
「確認が完了しました。では、これより身分証の製作に移りますので、こちらに血を一滴と髪の毛を一本お願いします」
トワが言われた通りに血を一滴と髪の毛一本を提出する。
「ありがとうございます。製作には10分程掛かりますのでしばらくそれまではそこの椅子に座ってお待ち下さい」
受付の目の前に置かれた長椅子に座って完成するまで待つ。
それから10分後……。
「トワさん。こちらにどうぞ」
やっと完成したみたいだな。
「お待たせしました。こちらが、トワさんの身分証となります。あと、合格通知書には合格階級は大佐と記載されていましたが、トワさんは予備構成員との事でしたので階級は予備大佐とさせていただきます。そして、ご存知だとは思いますが、この身分証には、ただ身分を証明するものだけでなく、施設内における立ち入りのロック解除などにも使えますので、絶対に無くさないようにして下さい」
「分かりました」
そして、採用試験課から出て私の執務室へと向かう。
「トワ、その椅子に座って少し待っていてくれ」
「はい」
机の引き出しの中からホチキスで留めた資料をトワが座る前にあるテーブルに置く。
そして、トワはその置いた資料に目を通す。
「この資料は、以前にイシュタリカで拘束した者達に関するものだ。その最後のページに記載されている通り、我々スターズは彼らを特別認定枠で採用することが決定した。そこで、私達が行くことになったので、君にも一緒に来てほしい」
「え!?」
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