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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第9章 ミランダンジョン
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91話 他のベリルベルの入手方法

「えーと、ちょっと一旦整理させてくれ。つまり『ベリルベル』というこの浮島は、お前達ベリルシスターズの生みの親である、ルベルス・ベリルベル博士が今からおよそ8000年ぐらい前に造った施設であるが、現在、そのベリルベルの施設は、幾つかの区画に分散させてこの世界中のどこかの空中を漂っている……っていうわけか?」

「ああ、その通りだ」


 そんなことを確認していると、施設内を回っていたみんなが集まって来た。


「でも、これだけ巨大な浮島が空を飛んでいたら騒ぎになっていても不思議ではないと思うのですが……」


 確かにトワの言う通り、私でさえミランダンジョンからここに飛ばされて初めてここの存在を知った。

 スターズにさえ存在を悟らせなかったここの施設の隠蔽(いんぺい)レベルはかなりのものと言えるだろう。

 だが、ここには認識阻害系の魔法が展開されているのは既に確認済みだ。


「このベリルベルには外部からの認識を阻害することができる魔法障壁が常時展開されてるから、地上からはベリルベルはまったく見えないようになってるぜ」


 レイフェルトの言う通り、このベリルベルには不可視の魔法障壁が常時展開されており、地上からは見えないようになっている。

 私の索敵魔法でさえ受け付けない魔法障壁が展開されているなかでベリルベルを発見する方法はたったひとつ。今回のようにミランダンジョンのような特殊な転移装置のあるダンジョンや遺跡などを探して今回同様魔力を流して、転移魔法陣によって転移して侵入するしか方法がないのだ。


「あの、レイフェルトさん。今思ったのですが、他のベリルベルの施設とは連絡を取ることはできないのでしょうか?」


 エリアがレイフェルトにそのような質問をする。

 もしもそれが可能ならば、そいつらと連絡を取り合って情報を共有できれば、わざわざ転移装置を見つける手間を(はぶ)いて一気にベリルベルを手に入れられる可能性が高くなるからな。


「残念だが、できねぇな。まだベリルベルが1つだった頃は他の姉妹達とのリンクも繋がってたが、今は他の姉妹誰とも連絡を取ることは不可能だな。それにこの障壁のレベルもかなり高く設定されてるから、マスター権限を持ったヤツしかそういった施設の設定を操作できないようになってる。だからここの障壁レベルをマスターが自由に操作できるから、ここの障壁レベルを下げて、他のベリルベルに見つけてもらうっていう方法もある。他のところも探しているだろうからな」


 なるほど。こちらの障壁レベルを下げることによって他のベリルベルの施設に見つけてもらってそこから私がそれぞれの施設の試練を受けて、そこの管理者にマスターとして承認してもらって、ベリルベルを集めていくっていう方法だな。


「レイフェルトが言いたいことは分かった。だが、障壁レベルを下げると、地上からも見つかる可能性が高くなるんじゃないか?」

「そこら辺は問題ない。障壁レベルを最低レベルに引き下げたとしても専用の探索機器がない限り、ベリルベルは見つけられないようになってんだよ」

「かなり警備が厳重なんだな」


 8000年前といえば、丁度ドランクがこの世界へと現れた時期と重なる。もしかしたら、ベリルベルはそんなドランクから逃れるための施設だったのかも知れんな。


「そんなに長い間世界を漂っているんなら他の施設と遭遇したことがあるんじゃないの?」

「3回あるな。1回目は『庭園』、2回目は『焼却場』3回目は『病院』だったな。だが、どれも3000年前に遭遇したきりだな」


 かなりの年月世界中を漂っていても遭遇したのはどれも3000年単位なのかよ。なら自然と遭遇してから手に入れるっていう方法はやめておいた方が良さそうだな。


「あ、そうだ。すっかり忘れてたが、まだマスターの遺伝子情報をこの『武具保管庫』に登録してないんだった。わりーがオレにちょっと付いてきてくれ」

「分かった」


 レイフェルトに付いて行き、武具保管庫の管理室へと案内される。

 そして、レイフェルトが管理室の窓側中央に下から出現したその装置を指差した。


「ここに手を置くと、この装置が自動で遺伝子情報が採取出来る程度の皮膚を剥がし取り、それをその装置がそのまま遺伝子情報を保管したらマスター登録が完了って感じだからさっさと済ませてくれ」


 さっさと済ませろって言われてもな、そもそもマスター登録を忘れてたのはそっちだろうが…まったく。

 そう思いながらも言われれがままにその装置の上に手を置く。

 

「なあ、レイフェルト。これで終わったのか?」

「ああ。これでマスター登録は完了したぜ。あと、これからはレイフェルトじゃなくてフェルって呼べ」

「分かったよ。フェル」

「あの、レイフェルトさん。私達もそう呼んでも良いですか?」

「良いぜ」

「ありがとうございます。フェルさん」

「なあ、フェル。他のところの転送陣が何処にあるかって分かったりしないか?」

「まだひとつだった頃の転送陣の場所だったら知ってるが、多分そこに行ったとしても転送陣が無くなっている確率の方が高いと思うぞ」

「だよなぁ」

「マスター。ところでさ、この『武具保管庫』の転送陣は何処にあったんだ?」

「イシュタリカの海底の中に(しず)んでいたよ」

「イシュタリカ?聞いたこともねえ土地だな」


 あ、そうか。たしかイシュタリカが建国されたのは2682年前だったはずだから8000年前にはまだイシュタリカは建国されていないんだったな。

 これ、探すのなんだか面倒だな。


「ねえ、春人。ところでこの子どうすんのよ」

「どうするって言われてもな……あまりここの存在を知られる行為は避けたいし、うちのメイドとしてうちで置いてたとしてもそれはそれで面倒なことになりそうだから、フェルには悪いが、ここで『武具保管庫』の管理を引き続き任せたい」

「任せとけ」


 すまんな、フェル。お前がうちで(やと)うとなるとラクアスさん達への説明だけでなく、本部にもその使用人のデータをまとめて報告しなくちゃならないからかなり面倒なんだよ。


「とりあえず、今回はこれで屋敷に帰ろうか。フェル、この紙に書いてある座標に武具保管庫を移動してくれ」


 そう言って屋敷の座標を書いた紙をフェルに渡す。


「ここだな、任せとけ。座標を入力してっと。よし、これでいいな。そんじゃ、出発すんから揺れることはないと思うが一応気をつけてくれ」


 フェルが武具保管庫を操作して屋敷へと向かった。

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