89話 ミランダンジョンの行き先
「ミランダンジョンは、みんな周知の通り、海底に沈んでいるダンジョンだ。スターズでの事前調査による報告書によれば、水深およそ100メートルの所にあり、その建物は地上1階と地下2階になっていて、その道中には殺傷能力の高い罠が幾つも仕掛けられていた。地上1階部分は、特に目立ったものは何もなくあったのは地下1階へと続く階段のみだった。そしてその地下1階には、地上1階とは違い空気が存在していた。この階には、毒系の罠や魔物が存在していた。後にその毒を調べた結果、極めて致死性の高い猛毒だという事は分かったが、現代では存在していない毒であることから、スターズの研究職員は、その毒はその時代の毒かもしくは、そのダンジョンを創設した研究者が作ったオリジナルの毒の可能性もあるため、これに対する解毒剤を今現在、製作段階している最中だ。だから、君達には念のため安全が確保出来たらさっきみたく【ゲート】で迎えに来るからそれまでは、【ゲート】で出たビーチで待っていてほしい。ただ待っていても暇だろうから遊び道具は置いて行くから」
「分かりました」
「それじゃ話を戻すが、地下2階には特定条件下による毒矢の射出などはあるが、地下1階に比べて罠の殺意は少なくなっている。そして、そんな罠を全て掻い潜ると、その最奥には両開きの扉があり、その部屋の中央には魔法陣が刻まれた人1人分が乗れそうな台座があり、その魔法陣を囲むようにして7属性全ての魔石が1つづつ魔石台に魔石が設置されていた。だが、その魔石にその属性の魔力を流したが、その魔法陣は一切反応しなかったらしい。そこで私はあるひとつの可能性を考えた。その1人乗り用の台座から考えて、恐らくはその魔法陣の上に乗った人物がその魔石に魔力を流さなくてはならないということだ。調査部隊は、魔法陣に乗って一応やってみたと書いてあったことからそう思った」
「な、なるほど……大体のことは分かりましたが、春人さん1人では危険ではありませんか?」
「エリアさん。春人様が先程言っていた通り待っていた方が良いと思います。それに春人様がそんな罠なんかに遅れをとるとは到底思えませんし、それにこういった罠を掻い潜るのは得意分野だと思いますが?」
「一応得意なのは得意だが……」
するとトワが私のところに近づいて、耳打ちをして来た。
「もしもの事があれば私もいますし、それにエリアさんも頼りになります。ですから安心して行って来て下さい」
「分かった。だが、もしもの事を考えて一応コハクとビエラを残して行く。何かあったらコハクかビエラを介して念話で連絡してくれ」
「分かりました」
トワはみんなのところへと再び戻って行った。
「コハク、ビエラ。みんなのことを頼む」
「承知しました」
「お任せください」
「任せたぞ。行くとするか。【モデルチェンジ】」
仕事着に変える。
「それって大丈夫なんですか?」
「問題ない。これには、防水加工が施されていて浸水する事はないし、その他にも耐寒、耐熱、防弾、防刃、対索敵用妨害波などの特殊加工がこれには施されているからどんな環境でも基本的には大丈夫なんだよね。だから心配しなくても大丈夫だ」
「気をつけ行って来なさいよ」
「分かってるよ。それじゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
海の中へと歩くようにして海中へと入る。
そして、足が地面に付かなくなった辺りからダンジョン近くまで泳いで向かう。
報告書通りの地点へと着くと、その海底にはミランダンジョンがあった。やっぱり、ミランダンジョンは元々は地上にあったものが地殻変動とかの影響によって海底へと沈んだんだろうな。
そう思いながらダンジョンの中へと入って行く。
1階部分は何も無くスムーズに進むことができ、地下1階部分へと進む階段を降りて地下1階に向かう。
そして地下1階には空気があり、ポイズンスライムやポイズンスネークなどの毒系の魔物や罠をすべて突破して地下2階へと降りる。
そして、地下2階へと降り罠を全て掻い潜ると、奥には報告書通り両開きの扉があったが、報告書とひとつだけ違う点は、その扉の両サイドに置物が置いてあった。だが、その置物の下を見ると動かした様な形跡があったから、恐らく、調査部隊が帰ってからここに設置されたんだな。
だとすれば、こいつは罠というよりも恐らくガーゴイルだな。
たしかガーゴイルはこういったダンジョンの最奥の扉を守護する存在としてよく利用されていると聞くし、恐らく間違いないだろ。
試しに扉に近づいてみると、両サイドに置かれていたガーゴイルらしき物は、その石化を解いて、私に襲い掛かって来る。
「やはりガーゴイルだったか」
だが、そんな襲い掛かって来たガーゴイル2体を灰になるほどに細かく斬り、扉を開けて中へと入る。
中へと入ると、部屋の中央には魔法陣が刻まれた人1人分が乗れそうな台座があり、その魔法陣を囲むようにして7属性全ての魔石が1つづつ魔石台に魔石が設置されていた。
そしてその魔法陣の上へと乗り、全属性の魔力をそれぞれの属性の魔石へと流し込む。すると、その魔石は一斉に光り輝くのと同時に、地面の魔法陣も起動し始めて、目の前が白一色に包まれた。
そして、その眩しかった光が収まり目を開けると、そこはさっきまでいたダンジョンとは違った場所だった。
とりあえず辺りを散策していると、女の子が歩いていた。
あまり気が進まなかったが、声をかけてみることにした。
「すまない。少し良いだろうか?」
「よく来たな。オレになんのようだ?」
その女の子の見た目は15、6歳くらいの見た目をした俺っ子だった。
「ここはどこか知らないか?」
「お前『適合者』のくせにそんなことも分からないのか?まあいいか。ここは、ベリルベルの空中施設の1つである『武具保管庫』だ。お前、博士と同じ全属性持ちだからここに入れたんだから、一応『適合者』な訳だが、念のためオレからも試練を受けてもらう」
一体『適合者』とはなんなんだ?それに試練だと?さっぱり分からんが、試練は受け入れた方が良さそうだな。
「分かった。その試練とやらを受けよう。それで、その試練の内容とはなんだ?」
「おいおい、ここは武具保管庫だぜ?そんなん決まってるだろ?戦うんだよ」
「お前とか?」
「そんなわけねぇだろ。お前が戦うのはこいつだ」
そう言って彼女が出して来たのは、人形だった。
だが、その見た目はほとんどが人間と同じ大きさや形だったが、唯一違う点は、手が4本あることだった。
それぞれの手には、剣、銃、槍、盾を持っていた。
とりあえず、鞘から刀を抜いて、構える。
すると、その人形も動き出して戦闘モードへと入る。
「死ぬ気で行かないとお前が死ぬから気をつけろよ」
おい!殺すつもりかよ!まあいいか。見た目はともかくとして『鑑定』で見てみたが、かなりのステータスだったし、手加減なんて面倒なことを考えなくても戦えそうだな。
人形から先に攻めて来る。
剣で、斬り込むように見せかけてからの槍を回転させながら突いて普通の突き技よりも威力を上げる。だが、当たらなければいい話だ。
攻撃を避けて、槍の部分の腕を斬り落とす。
人形は一旦下がり、大勢を整える。あと残り3本か。
「こんな短時間で腕一本を斬り落とすとは予想外だったぜ。だが、まだ三本残ってる。早く攻撃した方がいいんじゃないかぁ?」
少女は少し煽り気味にそう言う。
人形はそのままの大勢で動かない。どうやらこちらの様子を伺っているようだ。
今なら行けそうだな。
【日火流剣術 四式 幻日虹】【日火流剣術 二式 火炎】
この2つの技を使い、幻日虹で高速スピードによる残像効果による撹乱と、火炎による渦巻く様な回転攻撃で、人形を木っ端微塵に破壊した。
「オレのアルカートが哀れもない姿に……」
「な、なんかすまん」
試練で殺す気で来られたとしても、少しやり過ぎたか?
「……こ、これは俺が出した試練。試練を果たしたお前に文句は言わない…」
人形をよく見てみると、頭部や腕の一部はまで残っていたので、もしかしたらそれを元にして直せるかもしれない。
「なあ、後で完全に元通りにってはいかないが、直してやるから落ち込まんでくれ」
「本当に直してくれんのか!?」
「ああ、約束しよう」
「ありがとな!試練を果たしたとして、改めて正式な『適合者』として認め、『武具保管庫』管理端末、機体No.47個体名レイフェルトはお前に譲渡されるものとする」
「なあ、さっきから気になっていたんだが、お前から命の流れが一切感じられないし、管理端末とか言ってたけど、お前は一体どんな存在なんだ?」
「オレは、博士によって造られた端末だ」
「その博士ってのは誰なんだ?」
「オレ達の創造主である、ルベルス・ベルリベル博士だ。オレを造ったのは今から8097前のことだ」
「なんだとっ……!?」
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