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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第9章 ミランダンジョン
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87話 異世界の友

 なんとか、追い詰める事に成功し、彼は疲弊(ひへい)していた。


「もう諦めたらどうです?もう君も疲弊しきっているのでしょう?いい加減に話し合いに応じてくれませんか?」


 そう彼に話しかけるが、返事が返ってくることがなかった。


「なあ、シリウス」

「なんだ?サルガス」

「もしかしてなんだが、アイツ俺達の言葉が分かっていないんじゃないか?」

「そんなことがあるわけないだろ?あの者は『神格者』なんだぞ。言語翻訳ぐらいは出来ると思うぞ」

「実際に『鑑定』してみた時に言語翻訳系のスキルとかってあったのか?」

「『神格者』の称号ばかりに目が行ってて、他のスキルとかはあまり見ていなかったが、『神格者』のほとんどは言語翻訳が出来るんだぞ」

「ほとんどなんだろ?だったら、アイツがそのほとんどに入っていない可能性を考慮(こうりょ)するべきじゃないのか?試しに何か言って、それに応えなかったら言葉が分かっていないと確信するべきだと思うぞ」

「だが、今までみたく無視される可能性の方が高いんじゃないか?」

「まあ、ものは試しにやってみたらどうだ?」

「そうだな」


 と言われても、どうやって確かめたらいいものか……?

 まあ、とりあえずなんか試しにやってみるか。


「君に聞きたいことがあります」


 だが、彼は手のひらをこっちに向けて、【ファイアーボール】と思わしきものを放った。だが、無駄だ。


「【デリート】」


 すると、消えた自分の魔法に驚きの表情を見せる。


「そんなに驚くことはないのでは?魔法を相殺もしくは消し去るということはそう珍しくないはずです。私はただ君と話し合いがしたいのです。もし、私の言葉が分かるのであれば5秒以内に首を縦に振って下さい」


 私がそう言うと、彼は首を縦に振った。どうやら言葉は通じているようだな。

 そう思い私は刀を鞘に収めて、自分が敵意のない存在だと彼にアピールする事にした。


「私はただ君と話し合いがしたいだけです。それとも言葉では語ることが出来ないのですか?」


 すると、ようやく諦めたように彼はその重い口を開いた。


「分かった。話し合いに応じよう」


 彼はそう言うと、さっきまでの敵意が完全になくなった。


「では、こちらに」


 結界を解除して、そのみんながいるさらに更に奥へと彼を案内する。

 みんながこっちに来ないようにトワやエリアに伝える。

 そして、彼を案内した場所に【創造】で丸テーブルと2人分の椅子を配置した。


「どうぞ」


 そう言って、彼を目の前に置いた椅子に座らせる。そして私も彼の目の前の椅子に座る。


「さてと、とりあえず自己紹介から始めましょうか」


 スターズの身分手帳を見せながら自己紹介をする。


「では、改めまして。私は、この世界の平和維持及び管理を行なっている『スターズ』という組織の最高幹部である、五星使徒(ペンタグラム)が第2席、コードネームシリウス。階級は特佐。本名望月春人です」

「俺は、お前が言った通り『神格者』のウィクト・ゴンザレス。爵位は侯爵だ」

「爵位を持っていたのですね」

「ああ、元々いた世界ではゴンザレス侯爵家の人間だったが、ある事件をきっかけに神界の神に『神格者』になってほしいと言われて『神格者』となった。俺的にはあまり乗り気ではなかったがな」

「そうだったのですか?今では随分と慣れている様子ですが、『神格者』となってからどれぐらい経つのですか?」

「そうだな……60年ぐらいだったはずだ」

「なるほど」

「俺からも聞きたいことがあるんだが良いか?」

「べつに良いですよ。私だけ聞いているのも不公平ですしね」

「そのスターズ?ってのに入って長いのか?」

「そうですね……年数的に言えば、私はまだ中堅から古参あたりですね。具体的な年数で言ったらおよそ300年ぐらいですね。あまり言っていないのですが、実は私もこの世界では君と同じく元々は異世界人でした。ですが、元の世界で神界の最高神によって誤って殺されて、その()びに色々な能力などを貰い、この世界へと転生しました。ですが、私はもうこの世界の人間として認められているのでなんの問題もありません」


 あの時、この世界へ初めて来た時からこの世界で生きていくと決めた。あっちの世界での未練(みれん)が無いかと言われれば嘘になるが、今はもうかなりの年月が経過してるので、もう元の世界での未練なんて今更どうでも良いと最近は思っている。


「この世界では100歳以上生きるのが普通の世界なのか?」

「いいえ、違いますよ。私は人間の上位種の一つであるエンシェントヒューマンという種族で、長命種だからまあまあの長生きをしているという話で、決してこの世界の人間が長命種ということはありませんので、そこら辺お忘れなく」

「ああ、分かった。二つ目なんだが、スターズはこの世界でどういう存在なんだ?」

「先程も言った通り、この世界の平和維持及び管理を行なっている存在です」

「そういう意味じゃなくてだな。俺が言いたいのは、この世界でスターズはどれぐらいの権限を持っているのかって話だ」

「ああ、そういう意味ですか。それなら我々スターズの権限は民間人にとって噂も聞くことのないありもしない組織となっており、スターズの存在を知っているのも諜報機関を持っている王族だったり、上位貴族ぐらいですね。そもそもスターズは、平和維持及び管理する組織ではありますが、その実態は、巨大な諜報機関なんですよ。ですからあまり我々の存在は知られることのないように動いているんですよ」

「なるほどな。だが、あっちにいたやつらは良いのか?」

「その原因を作ったのは何方(どなた)でしたっけ?」


 そう言いながら彼をじっと(にら)む。


「そう睨むなって。あの時の事は本当にすまなかったと思っている」

「まったく、いきなり敵意を剥き出しで剣を抜くんですから驚きましたよ」

「すまんって……もう許してくれよ」

「仕方ありませんね。もう許しますから」

「ありがとよ。ところでもう一つ聞いて良いか?」

「今度は何ですか?」

「お前っていつもそう敬語なのか?さっきといたやつらとは普通に喋っていたみたいだが」

「そうですね。私は基本的にはタメ口で話していますが、異世界人相手には敬語で話すことが多いですね。理由としては、無駄な争いを避けるためです。ですが、例外としては、相手が余程のクズなどでない限りは口が悪くなる事はありませんのでご心配なく」

「ならさ、俺と話す時もわざわざ敬語じゃなくてもタメ口で話さないか?その方がお前もというよりも俺もだから、お互い楽になるしどうだ?」


 私は少し考え込む。今まで異世界人……それも『神格者』からこういう風に言われたことが無かったからだ。

 だが、彼……ウィクト本人が良いと言っているのだからなんの問題はないだろう。


「分かった。それじゃあ、これからは遠慮なくタメ口で話させてもらうぞ」

「ああ、俺が言ったんだから構わん」

「それで今更なんだが、お前がこの世界に来た目的って何なんだ?」

「まあ、簡単に言ってしまえば息抜きだな。これでも一応『神格者』って身分でもあるから、向こうの世界だと神界の神が俺のことをよく(のぞ)いてるんだよ。だから、神界の神がほとんど興味を示さないこの世界ならば、少しぐらい息抜きが出来ると思ってこの世界へと来たんだよ。この辺りの世界ではこの世界はある意味で有名な世界だからな」

「そんなにか?」

「ああ。なんせ、俺を含めた異世界人がこの世界へと入ってから消息が分からなくなっているからな。だが、その謎もさっきまでのでよく分かったよ。お前達スターズがこの世界に入って来たやつらを俺の時みたいに対処してきたんだろ?」


 アンタの時は攻撃して来たからああして対応したが、普通ならば友好的に対応しているっつうの。


「まあ、大体はその通りだな。友好的な者ならば、そのまま帰ってもらうか、我々スターズの適正試験に合格次第、スターズの構成員になってもらったりしているんだよ」

「スターズの構成員ってそういう感じのが多いのかって思ったが、お前も異世界人でスターズの構成員だったな」

「だが、異世界人がスターズの構成員になるのが多くなったのはここ最近だな。それまでは、あまり異世界人がこの世界に来る事は少なかったし、それに

なやつが少なくて、そのまま処分することが多かったんだよ」

「処分ってことはつまり殺したってことか?」

「そういったやつらをそのまま放置しておくと、この世界のバランスが崩壊(ほうかい)しかねないから、そういったやつらは殺さなくてはならないんだよ。それも民間人にバレないようにな」

「スターズってのも色々と大変なんだな」

「特に最近なんか異世界人以外にもドランクという他世界から攻めて来るのもいるんだよ。まあ、スターズは元々そのドランクが初めてこの世界に来た際にその時代の文明を(ほろ)ぼした際にそいつらをこの世界から排除することを目的として結成された組織なんだがな」


 少し喋り過ぎたな。だが『神格者』であるこいつになら話してもたぶん大丈夫だろう。

 そして話を続ける。


「それでなんだが、お前はこれからどうするつもりなんだ?私としては元の世界へと戻ってほしいがな」

「正直に言ってくれるな。まあ、お前達からしたらそうなのかも知れないが、せっかくこの世界に来たんだ。しばらくの間はこの世界を周るつもりだ」

「分かったよ。なら、悪いがこの申請書にこのペンでサインと朱肉(しゅにく)で指紋をここの部分に押してくれ」


 そう言って【ストレージ】から取り出した、この世界の滞在に関する申請書とサインペンで署名と置いた朱肉を使って拇印(ぼいん)するように伝える。


「これで必要な全ての申請書の署名と拇印は完了しました。この申請書の契約内容の元この世界では行動して下さい。契約違反があった場合、即座にこの世界からの永久追放もしくは、処刑させていただくことをお忘れなきようお願いします」

「分かってるさ。そもそも契約違反をするつもりは無いから心配するな」

「あのだな……いや、もういい。とにかく、この世界で問題だけは起こさないでくれよ。その後始末をするのは最終的には私達なんだからな」

「分かってるって。それじゃあ、俺はこのままこの世界を大人しく観光でもして元の世界に帰るとするよ。だが、その前に、こうして会えたのも何かの(えん)かも知れないし、一応連絡出来るようにしたいんだが良いか?」


 連絡出来るようにしたいって言ったって、アンタが元の世界に戻ったら連絡なんて出来ないと思うんだが……。あ、でもないか。こいつは『神格者』なわけだし、そういったことが出来ても不思議ではないか。


「連絡出来るようにするって言ってもどうするんだ?」

「確か春人は念話が使えたよな?」

「まあ、一応使えるけど」

「なら、俺に念話を使ってくれないか?」

「別に構わないけど、それで一体どうなるんだ?」

「念話に組み込まれている術式を少しだけ変えるんだよ。そもそも念話の術式はその個人によって異なるからそう容易に盗聴をすることが出来ないし、その世界から出てしまえばその信号が相手に届くことはほぼない。だが、『神格者』で俺の能力を使えば他世界からでも念話を使うことが出来る」

「なるほど。大凡(おおよそ)は理解した。とりあえず念話をお前に送れば良いんだな?」

「ああ」


 そう言って、ウィクトに念話を送る。


《聞こえるか?》

《問題なく聞こえてる。今から少しだけ俺達の間だけの術式を変えるから悪いが俺がいいと言うまでは念話を繋いでおいてくれ》

《分かった》


 それから数十秒後。


《もういいぞ》

《分かった》


 念話を完全に切る。


「これでいつでもお互いに連絡が取れるな。もし何かあったら連絡してくれ」

「ああ。だが、連絡をすることはないと思うぞ」

「それもそうか。あれだけの実力があるんなら問題はないか。それじゃあ、俺はそろそろ行かせてもらうわ」

「ああ。あまり問題は起こさないでくれよ」

「分かってるつうの。それじゃあな」

「ああ」


 そう言って彼は何処かに消えるようにして行ってしまった。


「まったく、本当に騒がしい奴だったな」


 そう1人で思いながら、丸テーブルや椅子を【デリート】で片付ける。

『良かった』、『続きが気になる』などと思っていただけたなら、評価やブックマークをしてくださると、とても嬉しいです。投稿日時はバラバラですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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