86話 強力な異世界人
【日火流剣術 二式 火炎】を使って先手を取るが、彼は私の技を軽く往なした。
更に【月剣流剣術 奥義 望月】も使うも僅かにかれの体勢を崩すだけだった。
剣を再び交えた瞬間、私は木々の隙間を綺麗に抜けてビーチまで飛ばされてしまった。
そして、ビーチへと着地する。その後口から少しだけ吐血している事に気がついた。どうやらこの感じ、内臓にダメージが入っているな。まあ、この程度ならば即座に治るから良いんだがな。
だが、そこに丁度戻って来ていたみんなが既に水着へと着替えて海で遊ぼうとしている状態だった。
私が森から飛び出して来たのに気がついたトワが驚きの声をあげる。
「春人様!?一体どうしたのですか?」
「今すぐにみんなの所に戻りなさい。あと、全員を一箇所に纏めてくれ!」
「分かりました!」
トワがみんなの所へと走って行き、テント側に集め始めた。
全員集まったようだな。
「【ガッディスブレシング】をテントの周りに張ってっと。これで全員結界ないに入れたから結界から出ない限り大丈夫なはずだ。全員!その結界ないから出るな!!その結界はこれからの戦いに備えてのものだ。その為、その結界から出た瞬間に死ぬと思いなさい!!」
結界内にいる全員にそう叫び、再び彼に剣先を向ける。
「待たせてしまったようですね。それでは続きを始めましょうか」
彼は首を縦に頷き、また激しく剣を交える。
その戦いを観ているベルンガ王が声を漏らす。
「春人殿がこうしてちゃんと戦っているのは初めて見るが、やはり春人殿は強いな」
「ですが兄上、相手の方もかなりの実力者ですよ。あの春人殿と互角に戦っているどころか、さっきの様子からして、相手側の方が少しだけ上なのではないでしょうか」
「そうかも知れませんね。ですが春人様は、どんな状況に陥っても最終的には勝ってしまう方です。ここは春人様の言う通りにこの結界内で戦いを見守りましょう」
「確かにトワ殿の言う通りだな」
剣を交えている速度は、見えないぐらい速く、見えたとしても恐らく複数の剣撃が見えているだけだろう。
それにしてもこの異世界人、いくらなんでも強過ぎじゃないか?
そう思い、戦いながらこっそり『鑑定』をする。
なるほど、そういうことか。ならばその強さも頷けるな。
だが『鑑定』通りならば私1人では勝つのは難しいだろう。あの子達ではとてもじゃないが戦力して見るのならば、全然だし、ここは正直なところソーラルあたりに援護に来て来れれば助かるんだが……。
《シエラ。ソーラルに念話を繋げてくれないか?》
《了解。速やかに繋げます。準備が整いました》
《分かった。至急!至急!こちら春人。ソーラル。聞こえるか?》
《聞こえている。春人が俺に至急と言って念話を使ってくるなんて珍しいな》
《現在、異世界人の対応をしているんだが、こちらが押されている。その為、至急援護を求む!また、近くには民間人が複数いて、そっちを護りながらだから正直かなりキツい。今すぐこっちに来れそうか?》
《ああ、今片付いたところだ。すぐにそっちに向かう。だから場所を教えてくれ》
《今、私の記憶の一部を座標と一緒に念話を通じて送った。悪いがそれを使って来てくれ。今こっちは念話しているのがやっとの状態なんだ》
《分かった。確認したからあと2分待ってくれ》
《了解》
あと2分耐えればソーラルが来る。それまではなんとしても耐えなくてはならないな。
そろそろ生身では限界が近づいてきたので、【モデルチェンジ】で機械戦闘着へと着替える。これで、幾らかは戦えるようになったはずだ。
更にここに式を呼び出す。
《召命───鎌鼬》
鎌鼬を使って更に攻撃増やしたが、彼には数が増えたところであまり意味はなかったようだ。
「待たせたな。春……じゃなくてシリウス」
来たな。
「【テンペスト】、【メテオレイン】」
これで、少しは時間を稼げるはずだ。
距離を空けて、ソーラルの近くへと移動する。
「サルガス。今相手はあの【テンペスト】と【メテオレイン】の降り注いでいる奥にいる。だが、あの程度では足止め程度の攻撃にしかならん。そして、これから言うことが問題なんだが、さっき『鑑定』を一旦したんだが、その正体が分かった。今戦っている相手は『神格者』だった」
※神格者とは、神の使徒とも呼ばれる存在であり、神としての力の一部を行使する事が出来るようになった人間。何らかの要因によって神格位を剥奪されない限り、不老の存在になる。不死ではない。そして、その神格者に対抗出来るのは、同じ神格者かそれ以上の神格位の持ち主か、その神格者と同等以上の存在だけである。
「『神格者』だと!?何故『神格者』が自分のいる世界とは別のこの世界で、俺達と敵対しているんだ?」
「私に言われても知らん。サルガスも本気でいかないと『神格者』相手にはサルガスでも死ぬぞ」
「『神格者』がどういう存在かは理解しているつもりだ。シリウスに言われずとも本気でやるよ」
ソーラルは機械戦闘着を着て、戦闘準備をする。
「まず、私とこの鎌鼬というので斬りかかる。そこの隙をつくようにしてサルガスには攻撃してほしい」
「それは構わないが、そんな簡単にいくのか?」
「ああ、私の予想通りならな。その前にもう何体か呼び出すか」
《召命───水龍》
《召命───鬼神》
《召命───鬼神》
これぐらいいれば『神格者』でもなんとか対抗できるはずだ。
彼はもういいと言うかのように、【テンペスト】や【メテオレイン】を全て斬り刻んだ。
そしてその僅かな間に私達は一気に攻撃を仕掛ける。
更にその僅かな隙間からソーラルが攻撃を仕掛ける。この連携には流石の『神格者』である彼でも苦戦を強いられているようだ。
そうして、しばらく戦ってなんとか彼にあともう少しというところまで追い詰める事に成功した。
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