85話 ドランクの出現と異世界人
全員【ゲート】をくぐり抜けると、みんなその綺麗なビーチに興奮している様子だった。
最近色々とあったし、たまにはこういう年相応な姿もありだなと思った。今思えば、この子達にはその年齢に似合わない程の負荷をかけさせ続けていたな。
「綺麗ですね」
「綺麗です」
信女が草履と足袋を脱ぎ、素足になった。
「熱っ! ?あちっ! あちちち!」
そりゃあこの天気と気温だ。砂浜の温度が高くて当然だろ。
「貴方はあまり騒がないのね」
マリンがそう言うがこの歳で海で興奮することなんてないと思うんだが。
「あのねマリン。知ったの通り私は長命種なんだよ。もう海とかで興奮することなんてないと思うんだが?それにここには遊びに来たんじゃなくてミランダンジョンの調査に来たんだろ?」
「ええそうね。でも貴方のお連れさん方はそう思ってなさそうよ」
「え?」
マリンにそう言われてみんなの方を見ると、遊ばないの?という眼差しでこっちを見ていた。
「別に良いんじゃない?私は調査さえしてもらえれば文句はないし」
「そうか?依頼人であるマリンがそう言うんなら良いんだが、なんの準備もしてないぞ」
「春人様。でしたらまず水着を買いに行きませんか?確か商会の方に時々衣類のデザイン提供をしてくださっていますよね?」
「分かった。【ゲート】で商会まで送るから好きなデザインの水着を買って来ると良いよ。これ一応渡しておくからさ」
そう言って【ストレージ】からそれぞれに金貨20枚ほど渡した。
「こんなに貰っても良いんですか?」
「別に構わないよ。もし余ったとしてもそのまま持ってて良いからさ」
「あ、春人さん。せっかくですので、屋敷にいる皆さんや家族を連れて来ても良いですか?」
「そうだね。良いよ。買い物が終わったらコハクを通して私に連絡をくれれば屋敷の庭に【ゲート】を開いておくから、そこから連れてきて頂戴」
「分かりました」
【ゲート】をとりあえずアセドライン商会の商会長室に開いて、アセドラインに事情を説明して【ゲート】を閉じる。
「貴方は水着を買いに行かなくても良いの?」
「必要ないよ。水着なら魔法で創れるしね」
「貴方の魔法便利過ぎないかしら」
早速【創造】で水着を創る。
創った水着はフィットネス水着の下の部分だけで上は着ない事にした。
あの子達が来る前にある程度の物は整えておくか。
まずは着替え用のテントを男女それぞれのを創って、その次にビーチチェア、ビーチパラソル。その次にビーチボールや安全面では浮き輪や万が一に備えてライフジャケットも創っておく。
そうやって色々と創っているとスマホが鳴る。誰かと思い、登録名を見ると、珍しくカーラルからだった。
「そっちから私に連絡をよこすなんて珍しいな。カーラル」
『そうだね。それで君に用件があって今日は連絡した』
「その用件ってなんだ?大した事じゃなければ切らせてもらうぞ」
『あと数分後に君がいるミランダンジョンがある海の近くに空間の歪みが検知された。その歪みから中級ドランクの出現が予想される。また、ドランクとは別に違う存在の存在も検知された。異世界人で検知されたのは君以来の事だ。強力な異世界人であることは恐らく間違いないだろう。だから、極秘裏に処理してほしい』
「極秘裏と言われても、私と同等の可能性があるのだろ?だったら極秘裏にっていうのはかなり無理があると思うぞ」
『そうかも知れないけど、できるだけ見つからないようにしてほしい。君なら大丈夫だとは思うけど、気をつけて』
「分かった。出来るだけやっては見るけども出来ればお前かソーラルあたりの応援が欲しいんだが?」
『すまないが、他にも検知された場所があって全員対処に向かっている』
「他にも発生しているのか!?」
『同時に複数の場所からはここ1000年の間でも無かったから五星使徒である私達も念の為出動しているというわけだ。というわけで、私もそろそろ行かなくてはならないから切らせてもらうよ』
「ああ、そっちも一応気をつけて」
コハクに念話で急用が出来たことを伝えておいて、準備が出来たら【ゲート】を開いてもらうとするか。
その為にも【ゲート】を付与した魔道具を渡しておくか。
「【テレポート】」
みんなのところに行って、コハクから急用が出来たと伝えてもらったので、説明は省いて魔道具をトワに渡して、その魔道具の使い方の説明だけをしてまた【テレポート】でビーチへと戻った。
「カーラルから電話の後に送られて来たメールでは出現予想地点はこの辺りのはずだが……。おっと、これだな」
そこには確かに空間の歪みが発生していた。
ちなみにその場所は、ビーチから離れた森の中にあるので、あの子達が来る可能性は低い。
確か中級ドランクの方が先にこっちに出現してその30分後に異世界人が出現予定だったか?で、中級ドランクの方はあと5分後か。こっちは一体だけだからなんとか極秘裏に処理出来そうだな。
そしてその5分後、空間の歪みが亀裂になり、その亀裂が徐々に拡がると、そこからドランクの脚が出てその次に胴体が出る。最後に後ろにあった尻尾が出るとそいつはこの世界へと完全に出現状態となった。
「あと30分以内にこいつを倒さなくちゃ、異世界人も合わせて相手をする事になるのか。それだけは勘弁だな。さっさと終わらせるか。とその前に戦闘に他の人が巻き込まれるのを防ぐためにも結界でも張っておくか。シエラ、結界の構築を開始。結界能力は、一般人の侵入並びドランクを出させないものとする」
《了解。構築展開……完了しました。マスター、ドランクの攻撃が来ます。今すぐ避けて下さい》
《分かってるさ》
ドランクの攻撃を回避して、腰に下げてある鞘から刀を抜く。
「【日火流剣術 奥義 金烏】」
日火流剣術の奥義である金烏を使うが、中級ドランクには効果はあるが核には届かなかった。
「嘘だろ。核に届く自信があったんだがな。少し予想外だったな。仕方ない。【ダークブレイド】」
【ダークブレイド】で漆黒の剣を創る。
刀との二刀流で戦う。
「【望月双剣術 二式 月魄】」
更にもう一つ技を放つ。
「【望月双剣術 三式 月光】」
ドランクの核をなんとか破壊する事に成功し、残った死骸を【ストレージ】に収納する。
「これで残る問題は異世界人だけだな。なあシエラ、今回の異世界人の件どう思う?」
《これまでの異世界人に比べて強敵である事には間違いないかと思われます。十分にお気をつけ下さい》
「ああ、分かっているさ」
そしてその約26分後、再び空間の歪みが変化して、歪みの中から1人の男性が姿を現す。
その男性は動揺する事なく辺りを観察するように見渡してから私と目を合わせる。
「初めまして。君が異世界人ですね。君からしたら私の方が異世界人でありここは異世界なんでしょうけども。君には一緒に来てもらいたいのだけれども良いでしょうか?」
するとその異世界人は、腰に下げていた剣を鞘から無言で抜き私に向けて構える。
私も鞘から刀を抜く。
「一戦交えたいようだけども私は君が思っているよりも柔な存在ではありません。それでも良いというのであれば来れば良いでしょう」
彼と剣を交える事になったのだが、これの判断が後に後悔することとなる。
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