84話 ミランの情報
死者の雫によって引き起こされた事件も武田や徳川に大きな爪痕を残す形で終結した。
そして、武田は今、その戦後処理に追われていた。ついでにこの戦後処理の間に武田のことをイレルリカや家康さんに報告を済ませた。
今私は、そんな戦後処理の手伝いをしていた。ちなみに他のみんなは信女の家にいるがマリンだけは何故か私と一緒にいる。
「戦後処理まで手伝わせてしまってすまんな」
「いえ、気にしないで下さい。今回の戦は我々のせいで被害が広がったというのもあるのですから」
「それはどういうことだ?」
「小山田信茂と一緒にいた者達は元々我々がもっと早くに拘束する予定だったのですが、想定外の抵抗力にそこに派遣されていた部隊の者達にも被害が出て押されてしまって、そうこうしている間に逃げられてしまったそうです」
「あれだけの強さを持っていたんだ。誰も責めたりなぞせんだろ」
「いえ。我々はあの程度で負けてはいけないのです。我々の最終目標はもっと先の強さです。それにいくら支部の部隊であってもあの程度の強さの者達に逃げられるなど到底許されることではありません。おっと、少々喋り過ぎました」
そう言って私は作業に戻る。私の作業はあとこの箱にまとめて入れられている陣笠を片付ければ完了だ。
「片付け終わりましたよ」
「春人殿のおかげで作業が予想よりも早く終わりました」
「あ、そうだ。高坂さん。ミランダンジョンについて知りませんか?」
「ミランダンジョン……えぇと確か、海底に沈んでいるという噂だけは聞いたことはありますが、生憎と私は何処の海底かまではわかりませんね。恐らく他の四天王の方ならご存知かもしれませんが」
「分かりました。聞いてみますね」
そして、他の四天王にミランダンジョンがあるという海底が何処の海か聞きに行く事にした。
最初に聞く事にしたのは、近くを偶々通りかかった山県さんだ。
「ミランダンジョン?悪いが俺も高坂同様に噂だけで場所までは知らんな」
「そうですか。ありがとうございます」
さて次は誰に聞こうかと思って歩いていると、丁度内藤さんがいたのです聞いてみる事にした。
「ミランダンジョンですか……?申し訳ありませんが私も高坂殿と同じく海底にあるという噂だけしか聞いたことがなく……。でももしかしたら馬場殿ならば知っているかも知れません。以前馬場殿がミランダンジョンのことを話していたのを聞きましたので」
「なるほど、ありがとうございます。馬場さんに聞いてみますね。で、その馬場さんが何処にいるか分かりますか?」
「おそらくあちらの蔵の方にいると思いますよ」
「ありがとうございます」
内藤さんに聞いた蔵の場所に行くと、馬場さんがいたので声をかける。
「馬場さんちょっと良いですか?」
「おお、小僧か。一体どうした?」
「馬場さんに聞きたいことがあって来たんですが、その前にずっと気になっていたのですが、私を小僧と呼ぶのやめてもらっても良いですか?」
「小僧は小僧だろ?」
「こんな見た目ですし、言ってなかったですから馬場さんから見たら小僧と呼びたくなるのかも知れませんが、一応私は長命種ですから馬場さんよりも遥かに年上なんですよ」
「人間じゃなかったのかよ。ならあの強さも頷けるな」
「魔力さえあれば人間でもあれぐらいの攻撃ならその気になればできますよ」
「そうなのか?」
「ええ。ですが、普通魔力が普通の人間よりも多かったとしても2、3人ぐらいの量が限度でしょうね。それ以上となると、人間の上位種であるユニークヒューマンやハイヒューマンなどがありますね。ですが私はこのハイヒューマンよりもさらに上位種であるエンシェントヒューマンで、人間の上位種の中でもかなり上の方の種族ですから普通の人間よりも強くて当たり前ですよ」
「儂よりも年上であるんなら流石に小僧って呼ぶわけにもいかないわな。なら春人でどうだ?」
「もう小僧呼びじゃなければなんでも良いですよ。それで話を戻しますが、馬場さんのところに来たのは、ミランダンジョンについて聞きたかったからです」
「ミランダンジョンについてか?確かにミランダンジョンがある海に行ったのは四天王でも儂だけだが、あれはもう随分と前の話だぞ?」
内藤さんの予想通り馬場さんならミランダンジョンについて知っているようだな。此間少しだけミランダンジョンについて調べようとしたが、あまり大した情報が無かったから困っていたが、行ったことがあるのならば話が早いな。
「行ったと言っても、あくまでもその海に行っただけで直接ミランダンジョンに入ったりしたわけじゃないぞ。最初は儂もミランダンジョンに入ろうと海に潜ったが、思っていた以上に海底に沈んでいて、中に入るまで呼吸が続かなかったし、ここからだとだいぶ遠いからそう何度も行ける時間も取れない。だから仕方なくミランダンジョンの調査を断念したというわけだ」
「そうだったんですか」
すると、隣にいたマリンが私に声をかける。
「ねえ、春人。その人からミランダンジョンがあるという場所を貴方の【メモリーサーチ】で読み取ってみたら?」
「そうだな。ではその海をできるだけ詳細に思い浮かべて下さい」
「分かった」
「【メモリーサーチ】」
【メモリーサーチ】を使って馬場さんの記憶を読み取ると、そこには綺麗な海や白い砂浜と海底に沈む大きな建物があった。あの建物が恐らくミランダンジョンだろう。
「ありがとうございます。それと、高坂さんに聞きそびれてしまったのですけど、武田はこの後、どうなるんですか?」
「まず、お館様のご子息であらせられる勝頼様が次のお館様となり、我々四天王が補佐をする事になった。そして信茂によって減らされてしまった武田の軍備なども徐々にだが回復させていく予定だ」
この四天王達ならば武田をなんとか元通りに出来るだろう。
そう思い、四天王が全員揃ったタイミングで別れを告げ、マリンと共に私は【ゲート】を開き信女の実家である屋敷に向かった。
「お疲れ様でした春人殿」
「まったくだよ。予想外に仕事をする羽目になったからね」
「あの、それで戻って来たということは行くのですか?」
「そうだね。みんなの準備が終わってから向かおうと思って来たんだけども…もう準備が出来ているようだね」
もう準備が出来ているということで、屋敷の門の前に集まった。
「では父上母上、そして兄上に沙織。行って参ります」
「ああ、気をつけて行ってきなさい」
春人殿には助けられました。もしこちらに来ることがありましたら是非また寄って行ってください」
「春人さん。娘をどうぞよろしくお願いします」
そう言って信江さんが深々と頭を下げる。
「ええ、お任せ下さい。信女は私達にとって大切な仲間ですので。今度また、こっちに来ることがありましたら弘信の言う通りにゆっくりとみんなで遊びにきますよ。それにもしよろしければ今度こちらに来る際には、ベルンガの我が家に招待しますね」
頭を下げている信江さんに私はそう言い返す。
そして、信重さんと弘信と握手を交わし、ミランダンジョンへの【ゲート】を開く。
信女達は信女の家族に手を振りながら、【ゲート】をくぐり抜けると、そこは【メモリーサーチ】で見た通りの綺麗な白い砂浜と海だった。
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