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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第8章 イシュタリカ神王国
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81話 突入作戦(突入)

 【ゲート】から全員出たのを確認して【ゲート】を閉じる。


「それじゃあ、予定通りに」


 お互いに頷く。

 すると、躑躅ヶ崎(つつじがさき)の方から数人こっちにやって来る気配を感じた。


「奥の方に急ぐぞ。敵が近づいて来た」


 奥へと急いで移動し、少しばかり様子を見る。


「ほんとにここもやる必要あるのか?」

「ここは躑躅ヶ崎からは丁度死角になるが、こっち側からは丸見えの場所だ。いる可能性もゼロではない。それに何人かこの木々に隠れている気配も感じるしな」

「そんなに気配感じるか?確かにお前の気配感知能力は元々優れてたが、もっと敏感になったか?」

「確かに以前よりも気配を感じやすくなったかもな」


 などという声が聞こえて来て、何人かの気配が感じるというのは恐らく、アイリスとマリンの2人の気配が消えていなかったのだろう。

 すぐに2人の気配を猫の気配に偽った。

 すると、あの気配に敏感だという自衛官はその気配に違和感を覚えたのか、その足を止めた。


「俺の勘違いだったのか?さっき感じた気配とは違う人間…というかどちらかというと犬猫のような小動物のような気配なんだよな」

「勘違いだったとしても行く価値は十分にあると思うぞ」

「そうだな」


 どうやら気配は誤魔化せたようだが、こっちに来るのに変わりはないようだな。

 そして、私達の側を通り過ぎて行った。


「これは一体どういうこと?」

「なんで私達に気づかなかったのかしら?」

「春人様、もしかして気配隠蔽を使いました?」

「トワの言う通り気配隠蔽を使って、全員を野良猫の親子に見えるようにしたんだよ。これについてはトワと信女には以前教えたけど、トワ達は気配隠蔽よりも気配遮断の方が得意だからそっちだと怪しまれると思ったから私達以外から見たら子猫の姿に見えてるよ」

「よくもまぁ、こんな短時間でそんな器用なことができるわね。自分だけならともかくあたし達の気配まで変えるとかどうかしてるわよ」

「これぐらい出来ないと問題があるからな。所属的に……」


 私がそう言うと、菖蒲さんはきょとんとしていたが、それ以外は「あぁー」と納得したような声をあげた。


「それでこの後どうするの?」

「私の予想通り、結界が張ってあった。結界はアンチマジックバリアと登録されていない魔力を持つ者が結界内に入ったと同時に警報が鳴る仕組みになっている。一応どちらも解除自体は簡単だが、これらを解除してしまうと、敵側怪しまれてしまう。ここは予定通り中へは菖蒲さんの魔力に偽装して中へと侵入して内側から結界を破壊する」

「今更だけど、ほんとに大丈夫なの?」

「ああ、問題ないさ。もし見つかったら転移魔法でみんなを強制的に砦まで転移させた後、私一人で片付ける」

「そんな無茶です。確かに春人さんのお力は先の戦いで拝見して、強いことは分かっています。ですがここには数としては少ないですが、アレらよりも強いのですよ」


 菖蒲さんはどうやら私がアイツらに勝てないと思っているのだろうか。だとしたらとても心外だ。


「舐めてもらっては困りますね。それにそいつらの正体については大体の検討がついてますので心配いりません」

「そうですか」


 結界を通り抜けて、中へと入ろうとした瞬間、狙撃された。


「隠れろ!」

「な、何が起こったんですか!?」

「狙撃された」

「でも、銃声なんて一度も……」

「恐らくサプレッサーを付けて撃っただと思う。サプレッサーを付けた状態なら余程近くにいない限り聞こえることはない」

「どうするのですか?」

「私が足止めをしているうちに中へと入れ。相手側がサプレッサーを付けていてくれたおかげでまだ敵には気づかれていない」

「分かりました」


 私が正面へと出て(おとり)となっているうちにみんなが中へと入り終わった後、気配遮断をして相手側が私が何処にいるのかを分からなくした。


「一体何処に行った?」


 M24 SWSを構えた自衛官がそう呟く。

 春人が気配遮断を使ったことによって完全に見えなくなったからである。


「何かお探しですか?」


 突然後ろから声が聞こえ、狙撃手(スナイパー)であるその自衛官の隣りにいた観測手(スポッター)も隣りに置いていた89式5.56mm小銃を声がした方に向けたが、そこには暗闇が広がっているだけで誰もいなく、2人はその緊張感によって冷や汗が額に溢れた。

 そしてその暗闇からコツコツという足音が聞こえ、だんだんとその足音が誰なのか分かる所まで近づき、月明かりによって、その顔がはっきりと見えた。春人である。

 春人は、その2人の自衛官へと歩み寄って行く。


「君達がさっき私達を狙撃した自衛官だろ?」

「何故、ここが……というか、自衛隊の存在をこの世界の人間が知っている?」

「私も元とはいえ、幹部自衛官だったからな」

「失礼ながら所属と階級を聞いても?」

「防衛省特別情報指令本部総司令官兼特殊作戦群長、一等陸佐です」

「防衛省特別情報指令本部総司令官という役職は防衛省に無かったはずだが……」

「一応情報本部というのは表にはあるが、その極秘部隊として特別情報本部というのがある」

「なるほど……それと、特殊作戦群長というのは本当ですか?」

「本当です。そういう貴方達は、その部隊章は、東部方面隊第1師団の所属ですね。……って、こんな話をしに君達のところに来たんじゃないんだった」

「では、何故俺達の所に?」


 私は、懐から一枚の紙を取り出してそれを自衛官達に見せる。


「貴方方にこの世界への密入及び殺人未遂と銃の未申込の罪で拘束します。大人しく銃を置いて下さい」


 すると、渋々ながら銃を地面へと置いた。


「【シャドウチェーン】」


 そして【シャドウチェーン】で2人を拘束する。


「それにしてもなんで小山田信茂の配下なんかになったんですか?」

「信茂さんはこの世界で唯一、我々に対して情をかけてくれた人でした。なので、元の世界に戻れる手段が見つかるまでの間はせめて恩返しのつもりで仕えてました」

「恩を返すためというのは結構ですが、それは小山田信茂が何をしているのか分かってのうえでですかか?」

「はい。武田に突如進軍して来た、徳川・織田の連合軍から此処を守るためです」

「……どうやら騙されているようですね。事実は、徳川領へと突然攻めて来た武田軍を徳川・織田の連合軍が撃退している。というのがことの真相(しんそう)です」

「そんな……。では、我々は信茂さんに騙されていたということですか」

「捉え方の問題ですね。今回小山田信茂は、突如として徳川・織田の連合軍が攻めて来たと言っていて、それは貴方方からしてみたら本当の事だったのでしょう?ただ1つ言えることは、仕える主を間違えたという事実です」


 私がそう言うと、絶望感に(さいな)まれた顔をして動かなくなった。


「他の奴らのところに行くか。狙撃班を配置するのであれば、当然反対側の出入り口だな」


 屋根伝いに反対側の敵の狙撃ポイントまで飛んで移動する。


「正面入り口側の担当をしていた狙撃隊員からの連絡が取れなくなった。恐らく敵が正面側から攻めて来たのだろう」

「まさか正面から来るとは予想外ですね」

「ああ、そうだな」


 なんで正面から来ないと思ったからといって2人だけで見張らせるのか、私には理解出来なかった。

 私はそう思いつつそいつらに暗闇に姿を隠しながら話しかける。


「裏だけを警戒していれば良いと思うとはなんと愚かな指揮官ですね。それに正面に2人だけ配置するとは一体貴方方は一体何を自衛隊で学んだのですか?」


 銃を一斉にこっちに向けて構え、私は暗闇から奴等の前へと姿を現した。


「何故、自衛隊の事を知っている?アイツらから聞いたか?」

「単に私が元幹部自衛官だったからです。それ以上は話す必要はありません」

「なんだと?」

「ふざけんじゃねぇよ!大体元自衛官だっつうんなら素直に我々自衛隊に協力しろ」

「馬鹿!お前」


 何を言っているんだ?コイツみたいな奴がいるから自衛隊はいつになっても不平評価をされるんだ。

 コイツの言葉にイラッとした私は、殺気を込めた視線を奴に飛ばす。

 するとそいつは、地面へと倒れ込んだ。 


「……コイツに一体何をした?」

「ただ殺気を込めた視線をその人に飛ばしただけですが?」

「……そうですか。コイツは時々隊内でも問題を起こす奴で、今のはコイツにとっても良い薬になったと思います」

「なるほど、なら私が此処へ来た目的を伝えましょう」


 そして、さっきと同じように懐の中から逮捕状を取り出して見せる。


「貴方達をこの世界への密入及び殺人未遂と銃の未申込の罪で逮捕状が発行されています。今すぐに全ての武装を解除して投降して下さい」

「分かった。我々は大人しく投降しよう」


 そうして狙撃部隊は全員手錠をかけ一か所に集めて拘束した。


「それで、君達はいつまで隠れているつもりだ?危うく、敵だと勘違いして殺してしまうところだったぞ?」

『良かった』、『続きが気になる』などと思っていただけたなら、評価やブックマークをしてくださると、とても嬉しいです。投稿日時はバラバラですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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