80話 突入作戦(準備)
一旦屋敷に戻り、ラクアスさん達にこの後また出かけてさらに帰るのが遅くなるというのを伝え、時間まで各々自由に過ごす。ちなみにこの場に信女がいないのは単に家族と積もる話があるのではないかと思ったからである。
一方私は、本部で情報を集めていた。
「ここ最近で次元空間に以上があったのは3件のうち、2件は既に解決しているが、1件は未だ終わっていないのか。この事案の担当者であるイレルリカに話を聞いてみるか」
その話を聞くため、イレルリカの執務室へと向かう前にある場所に立ち寄ってから行った。
イレルリカの執務室に着き、コンコンコンとドアをノックして中へと入る。
「入るぞ、イレルリカ」
「あら?貴方がここに来るなんて珍しいわね」
「少し話があってな」
「その話って何かしら?まあ良いわ。とりあえずその辺に座って少し待ってもらってて良いかしら?これを終わらせたら話を聞くわ」
「ああ、分かった」
それから20分ぐらいして仕事がひと段落したようで、私が座っているソファーの反対側に座る。
「それで話って何かしら?」
「イレルリカの統合管轄は、イシュタリカなどの西方だったよな?」
「ええ、そうよ」
「それでだが、イシュタリカで次元空間から異世界人がこっちの世界に入り込んだという情報はないか?」
「貴方のことだからどうせ確認したんでしょ?」
「なら、言い方を変えよう。3件中1件だけまだ未処理の事案があった。その1件についての情報が知りたい」
「言っていることは分かったわ。でも、その件に関する情報があまり入って来ていないのよ……」
「構わない。そっちで掴んでいるだけの情報で良いから教えて欲しい」
「分かったわ。その事案が発生したのは今からおよそ半年くらい前のことでね、当時は確認のためっていうのもあって歪みの発生源から1番近いユースティティア騎士王国支部が向かったのだけれどもね」
「ちょと待て。確か発生源らイシュタリカで間違いないんだよな?」
「ええ、そうよ」
「だったらイシュタリカの支部が……ってそういえばイシュタリカに支部は設置していないんだったな」
「忘れてたの?」
「仕方ないだろ?ほとんどの国には必ず1は設置されているし、そもそも管轄外のことはよく知らないんだよ」
すると、イレルリカは呆れた声を漏らした。
「はぁ。それでも各支部の事…最低でも何処に支部があるのかぐらいは五星使徒としても把握しておくべきよ」
「確かにイレルリカの言う通りだな。時間があった時にでももう少し支部のことについて覚えることにするよ」
「そうね、その方が良いわ。……話が逸れたけど、ユースティティア騎士王国支部が現場に急行すると、そこには小銃を持った者達が何人かいて、交渉を試みたけれども、相手側は攻撃をしてきたわ」
「その時、支部の者達はその相手側に向けて銃を構えていたか?」
「万が一に備えて構えてたわ」
「恐らくそれが原因だな。銃を向けられると当然警戒される。私が生まれるよりも前の昔は撃たれたからでなければ撃ってはならなかったが、現在では、危険と判断された場合先手攻撃もありになったから攻撃も出来るんだよ。つまり、銃を向けたから向こうが攻撃しようとしていると思ったから先に攻撃をしたっていうことだ」
「さっきから気になってだんだけど、その口振りからして、そいつらのことを知っているの?」
「ここに来る前に情報提供があって、その情報の特徴と相手側の練度等からほぼ間違いなく陸上自衛官だろう」
「もしかして、貴方のいた世界から来たのかしら?」
「さあ?どうだろうな。そうだとも言えるし、そうとも言い切れない。イレルリカの知っての通り、世界というのは無限に近い数存在している。その中には同じ世界なようで何かが違う世界もある。まあ俗にいうパラレルワールドだな」
私元いた世界の自衛官だという可能性は捨てきれないが可能性は低いだろう。
日本からの来たという者は意外と多い。しかし、別な世界でも異世界召喚などによって日本人が召喚される割合はかなり多いと以前エルナント様に聞いたことがあるから今回の自衛官達もまた、私がいた日本とは違う日本から来た可能性の方がむしろ高いと私は思う。
「それで、貴方の知りたい答えは知れたのかしら?」
「ああ、何故あっち側についたのかが検討ついたしな」
「そう。ならいいわ。貴方のことだから心配要らないでしょうが、今回はいつもみたいな異世界人とは違って戦闘技術が高いのだから気をつけなさいね」
「分かってるさ。そんなに心配しなくても大丈夫だ。【テレポート】」
言われずとも油断をするつもりはないさ。
【テレポート】で屋敷に戻る。
「遅くなってすまん。少し時間がかかってしまった」
「いえ、大丈夫ですよ。春人様」
「それで、用事の方は終わったの?」
「終わったからここにいるんだろ?それじゃ、イシュタリカに戻ってからまた改めて作戦のことについて菖蒲さんも混ぜて話し合う」
「分かりました」
「それじゃあ行こうか。【ゲート】」
【ゲート】でイシュタリカの北西の砦へと向かった。
砦の中へと入ると、そこには既に大体の人物達が揃っていた。
「待たせてしまってすみません」
「いえ。こちらからお願いをしている立場ですので」
「それで春人殿。確認したいことは確認出来たので?」
「ええ。大体私の予想通りでした。では、改めて作戦の説明をします。まず──」
それから私が立てた作戦を皆に改めて伝える。
「──というのが私が立てた作戦です。この作戦はあくまでも作戦の一つ……これを仮に作戦Aとしますが、先程も説明した通り、この作戦は全部で3つありそれぞれ説明した順番にB、Cと呼称します。ですので少し作戦と誤差が生じたとしても大まかにはこれらの作戦で進めます」
「了解」
「承知しました」
ふと外の空を見上げると、満月が完全に見える時間帯となり、懐にしまってある懐中時計を見ると、20時36分だった。
そろそろ武田の…… 小山田信茂の所へ向かうとするか。
「覚悟は良いな。行くぞ。【ゲート】」
事前に菖蒲さんから【メモリーサーチ】で読み取っていた場所へと【ゲート】を開いた。
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