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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第8章 イシュタリカ神王国
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75話 暗黒騎士王

 マリンの話で、聞き覚えのあるダンジョンの名前が聞こえては来たが、いまいち思い出すことが出来ない。


「ん?ミランダンジョン……なんか聞き覚えがあるな。……あ、思い出した。確かスターズで管理している海底ダンジョンの1つだったな」

「そこへ、連れて行ってくれないかしら?」

「私の権限を使えば入ることは出来ると思うが、一つ問題があってだな…」

「問題?」

「実は、イシュタリカ神王国へは一度も行ったことがないから詳しい場所がわからないんだよ。それに、今は行かないからな」

「連れて行って頂戴(ちょうだい)

「すみません…。師匠はこのように自己中なところがありまして……」

「レベッカ名誉子爵も苦労しているのですね」

「はい……」

「だが、今すぐに連れては行けない。まあ別に、この王都にいるおよそ1万人以上の者達の命が消え去っても良いのならば話は別だがな」

「なんでそこで王都が出てくるのよ?」

「現在、王都付近にある森の中央部にてスタンピードが発生中。そのスタンピードの群は王都に向かって侵攻中だ。お前の我儘(わがまま)一つで王都を危険に晒す可能性があるのだぞ。なんせ、現在この王都にはBランク以上の実力を持った冒険者が私達以外にいないんだよ。だからこのままいなくなった場合、スタンピードを抑えられる者はほとんどいない状態となる。それでも、お前は我儘を言ってミランダンジョンへと行くか?」

「いいえ、ごめんなさい。スタンピードの件が終わってからで良いわ。それでね、そのスタンピードの同行をお願いをしても良いかしら?」

「あ、私もお願いしても良いですか?間近で、神級魔術師の実戦を見れる機会なんてそうそうありませんから」

「……分かりました。邪魔をしないという条件さえ守って下さるのであれば、同行を許可します」

「邪魔は一切しないわ」

「見ているだけですし、自分の身くらいは自分で守れますので大丈夫です」

「ならば良いだろう。2分以内に各自準備を整えた後、玄関前に集合するように」


 各々が準備をしに部屋を出て行く。ついでだから、リースも連れて行くか。

 リースにも補佐官としての業務も任せるつもりでいるし、少しは神級魔術師である私のことを知ってもらう必要があるから、これはまたとない機会かも知れんな。


「リース、今回の仕事には補佐官として同行してもらう。神級魔術師の補佐官として初の外出業務をしてもらう。と言っても、今回の業務内容は、私が倒した魔物について書き留める事と、補佐をするときにどう補佐をするのかを考えるというのが今回の業務内容だ。そのため、補佐官として仕事をするリースには補佐官用の仕事着に着替えてもらう。今回はあまり時間がないから今回は私の魔法で一瞬で着替えさせるから私に見えることはないから心配するな」


 そう言いながら【ストレージ】からリースに合うサイズにしていた女性自衛官用の制服(ネクタイの方)に限りなく似せた物を取り出して着替え用の魔法を発動する。


「【モデルチェンジ】」


 この無属性魔法は、あらかじめ用意している服と現在着ている服を一瞬で着替えることが出来る魔法だ。ちなみに、普段私が機械戦闘服に着替えているのもこの【モデルチェンジ】だったりする。


「リース、拳銃の携帯をせよ」

「了解しました」


 リースに以前渡した、【ストレージ】の付与が掛かったブレスレットから拳銃を取り出して、スーツの内側にあるホルスターに仕舞う。

 そうして、私達は玄関前に向かう。


「揃ったようだね。いきなり森の中央部に行くのはあれだから、森の入り口付近に出た後、森の中に入る。良いね」

『了解』

「行くぞ。【ゲート】」


 【ゲート】で森の入り口付近まで転移する。

 そして入り口付近に着くと、森の入り口にはギルドマスターの言う通り、警備担当と思わしき冒険者が複数人いた。

 ギルドカードを見せ、確認を取る。説明として、レベッカ名誉子爵とマリンは、国からの調査員。リースは今回の事案における特別サポート人員だと説明をして中に通してもらう。

 人目につかない所まで来たのでそろそろあの2匹を念の為呼び出しておく。


「ビエラ、コハク。出てこい」


 私が2匹にそう言うと、影の中から三つ首の巨大な犬の状態のケルベロスことビエラと、白い大虎の状態の神獣白虎ことコハクが現れる。



「本来の姿で会うのは久しぶりだな、コハク。小型状態では屋敷でいつも一緒にはいるが、ビエラの場合は本当に久しぶりだな」

「そうですね。いつも影の中にいますし、ご飯は我が君が影空間で作って下さった自動生成機で食事に困ることはありませんでしたが、……本日はどのようなご用件でしょうか?」

「影の中で話ぐらいは聞いていただろ?その件でお前らに頼みたいことがある」

「「何なりとお申し付けください」」


 ビエラとコハクが言う。


「お前達に頼みたいのは、こいつらの護衛だ。多分あり得ないとは思うが念の為だ」

「「了解しました」」


 それからも少し話し合ったりしていると、スタンピードの群れと思わしきのが見えた。


「ギルドマスターが言っていたスタンピードは間違いなくあれだろうな。だが、報告よりも数が多いな。仕方ない」


 【ストレージ】から(はち)型の軍用偵察ドローンを数機取り出す。


「春人、それって蜂?」

「厳密に言うと蜂ではなくそれに限りなく似せた、蜂型軍用偵察ドローンっていう私監修の元、スターズの技術部隊が作った魔道具だよ。そして、これはこうやって飛ばすんだよ」


 【ストレージ】から取り出した蜂型ドローンを一斉に飛ばす。

 この蜂型ドローンは、普通のドローンに比べて起動音がかなり小さくなっている。


「あれでどうすんの?」

「これに蜂の眼に入っている小型カメラで撮影された映像を映すんだよ。そして、相手の数を把握する。時間差なく届くようになっているからどれだけの数なのか分かるんだよ」

「春人さんの【サーチ】じゃだめなのですか?」

「【サーチ】を森でやっても生えている木が邪魔をして正確には分からないんだよ。下手をすれば、木まで数えてしまう可能性があるからね」

「そうなんですね」


 蜂型ドローンから送られてくるリアルタイムの映像を画面通して見る。

 全部の蜂型ドローンからの映像でスタンピード全体の群を見て魔物の種類やその数を確認する。

 すると……。


「おいおい、全然数と違うじゃないか……」

「どうしたんですか?」

「ギルドマスターから聞いていた魔物の種類と数が実際のと全然違っていたんだよ」

「その、ギルドマスターからはどのように伝えられたのですか?」

「ギルドマスターからは、ホブゴブリンが約1000、ゴブリンキングが100、オークが約300、グレーウルフが約50、デュラハンが約500、デビルベアが約100と伝えられていたが、実際は、ゴブリン約2000、ホブゴブリン約1000、ゴブリンキング約90、ゴブリンロード1、オーク3000、デビルベア約70、デュラハン約800、ダークナイト約30、ダークナイトキング1だ」

「ダークナイト?聞き覚えがない魔物ね」


 マリンがそう言う。みんなも知らなそうにしていたがそれが普通だろう。


「知らなくても当然だと思う。なんせ、ダークナイトはデュラハンの上位種だ。それだけでも珍しいが、それらはスターズで、世間には極秘扱いされてきた魔物で、ランクで表すのならその脅威度はSに近いAランクだ。さらに今回は、さらに上位種のダークナイトキングまでいる。ダークナイトキングの場合は間違いなく脅威度はSランクだ。おそらくスタンピードの発生原因はダークナイトキングだと思う。ダークナイトキングは、高い知能を有しており、さらに言葉も話すことができる」

「そんなにやばい存在なんですか?」

「ああ、遥か昔にアレによって滅ぼされた国は数が知れないからな。だからこそ、我々スターズはダークナイトやダークナイトキングを極秘扱いとしたんだ。これらが世間にバレると大騒ぎになりかねないからな」

「そうね。で、そんなやつらをどうすんの?」

「私があいつらをやる。君達には、もし撃ち漏らしたのがいればそいつらの対処にあたって欲しい」

了解(しました)


 そろそろ頃合いだから一気に仕掛けてみるか。

 気配を消しながら奴らに1番近い茂みの中で攻撃の機会を(うかが)う。

 見た感じ良さそうだったので、最初は【ダークブレイズ】を奴らからは決して見えないだろ高度に無数に出現させ、一斉に落とす。

 これならば、ゴブリン種やオーク種などの雑魚は【ダークブレイズ】だけでも片付けることが可能だろう。

 だが、デュラハンやダークナイトなどの上位種はこれでは傷付けることは可能だろうが、倒すことは不可能だ。

 本来ならば【ライトニングブレイズ】を発動させれば良いのだが、私の場合、光魔法(回復系以外)が苦手だからどうしても【ライトニングブレイズ】の発動が難しい。それに【ライトニングブレイズ】は【ダークブレイズ】と同様、他の属性のマジックブレイズよりも階級が高く、階級は精霊級だが、数が一定数以上多くなった場合は、亜神級にもなる可能性がある魔法だ。

 一斉に落ちた【ダークブレイズ】は、そこにいたゴブリン種やオーク種などの雑魚を串刺しにして刺し殺してはいるが、やはりダークナイトなどの上位の魔物にはそれほど効果がないようだった。

 それに数が少し多いな。ここはあの2人に神級魔術師の実力というのを見せてやるとしよう。

 今回はあの魔法を使ってみるか。光属性の攻撃魔法が苦手でも、光属性の魔力を【エンチャント】すること自体はできるからな。

 考えても仕方ないし、やるか。

 あ、みんながいる方にはしっかり結界を張っておかないと衝撃によって死んでしまう可能性もあるから気をつけないと。

 だが、一回ダークナイトキングと話してみるのもありかも知れんな。

 ダークナイトキングは知能指数がかなり高い魔物だ。もしかしたら話し合って終われる可能性がある。だったらそっちの方がこちらとしては助かる。

 そう思って、私は奴らの前へと出る。


「何やってるのよ春人」

「春人様には、春人様なりの考えがあるはずです。でなければ、春人様があのような行動はしないと思います」

「そうですよね。春人さんなら大丈夫ですよね」

「今は、春人殿を信じましょう」

「そうですね」


 私はダークナイトキングに話しかけようとしたが、それをダークナイトに邪魔をされたのでとりあえず、私が腰に下げている、魂喰(ソウルイーター)の妖刀でダークナイトを一刀両断で斬り伏せた。


『なかなか面白いやつだな、お前』

「結構、流暢(りゅうちょう)に話すんだな」

『人間の頃の言葉を話しているだけにすぎないがな。お前は何故ここへ来た?』

「お前達と話に来たんだよ。このスタンピードを発生させたのはお前で間違いないな?」

『ああ、そうだ。私はやっと手に入れたこの力で奴らへの復讐を果たす!かつて、我らを見捨てた、あのベルンガ王家を根絶やしにするためにな!!ベルンガ王家を根絶やしにできれば我々はそれで良い。お前達にも危害を加えるつもりはない。だからそこを退け』

「そう言われて、はいそうですかって言って退くとでも思ったか?悪いが、退くことはできない。お前達に何があったかは知らないが、今のベルンガ王は善政を敷く良き王だ。だから、私はこの国を守ることにした。お前に選択肢をやる。このまま大人しく去るか、もしくは私に滅ぼされるかのどっちかをな」

『ならばもう一つの選択肢を加えて教えてやろう。それは、お前を殺すという選択肢だ!!』


 そうダークナイトキングが叫び、襲い掛かる。だが、その剣を弾いて魔法の発動準備をする。


「私は神級魔術師だ。お前には特別に教えてやろう。神級魔術師の実力というものをな」


 私の発動させる神級魔法の名は──


「【メテオ】」


 そう呟くように発動させた。

『良かった』、『続きが気になる』などと思っていただけたなら、評価やブックマークをしてくださると、とても嬉しいです。投稿日時はバラバラですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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