72話 屋敷の地下施設
エレベーターに乗って地下3階に下りる。ちなみに、地下は4階まであるのだが、みんなには知られてはならないので存在を隠す事にした。
「ねえ、春人。やけに警備が厳重過ぎない?」
「その理由は、これから行けば分かる事だよ」
地下3階に着き、ドアが開いて、通路の奥へと行くと両開きの少し大きな扉の前に二人の警備員が立っている。
「身分証の確認をお願いします」
身分証を見せて確認が終わると、扉を押して開く。
「失礼ですが、後ろの方々も一緒で間違いないですか?」
「一緒に通してくれ」
「かしこまりました」
みんなが中に入ると、目や口を大きく開けて驚きの表情を見せる。
「これでここを厳重に警備をしている理由が分かったろ?」
「う、うん。こんなにいろんな銃があるなんて……」
「それだけじゃない。ここは訓練施設としての使い方だけじゃなくて、緊急対策本部としての使い方もあってね、ここのボタンを押すと、こんな風に作戦会議室になるんだよ」
私がボタンを押すと、訓練施設はサイバースペースのようなハイテクな会議室へと変化する。
その様子を見ていたみんなは、またしてもさっきと同じような表情をしていた。
「見たことがないですね、こんな凄いのは初めて見ました……」
「こういう風な会議室自体、組織でも数は少なくてね、あるとしても本部だったり大国ぐらいだね。それに、ここは私の屋敷でもあるのが、理由のひとつでもあるのは間違いないし、それにここって何気に使い勝手が良いのもあるね」
「それもあって、警備が厳重になっているのですか?」
「まあ、そうだね。でも、我々は転移魔法で来れるから、厳重にしてもほぼ意味は無いんだけどね」
「それじゃあ、警備を厳重にしている意味はないのでは?」
「そうかもしれないね?でも、ここには限定の人物以外の転移を阻害する結界魔法が常時張られているし、ここの存在を知ってるのもそもそもが限られるからその対象外の者達は今来た場所からしか入ることが出来ないから、仮に私が【ゲート】を展開して入れたとしても、君達は【ゲート】を潜ることができないから結果的にこうして来るしか方法がなかったんだよ」
「そうだったんですね。それと、もう一つ気になったことがあったのですが、よろしいですか?」
「ああ良いぞ、トワ」
「ここはさっき地下3階と表示されていたのですが、地下1階と2階はどうなっているのですか?」
「そうだね。まず、地下1階から説明しよう。地下1階は、主に武道室になってる」
「「武道室があるの(ですか)!?」」
武道室に食いついたのは、信女とアイリスだった。
「あるよ。剣術、体術など基本、どんな武術でも訓練ができるようになってるよ。次に地下2階の説明をしようか。地下2階は、主に武器庫だね。ここにも銃があるけれども、ここにある銃よりも強力な武器が地下2階には置かれている。中には周辺の地形を変えられる程の高威力の物もある」
「な、なんでそんなものを地下に置いてるんですか!」
「そうは言っても、私自身もまた、地形なんぞ余裕で変えられるから武器庫の武器が無くたってあまり変わらないんだけどね」
「いや、エリアが言ってるのはそういう意味じゃないから」
アイリスがその様にツッコミを入れてきた。
「それはどういう意味なんだ?」
「だから、エリアが言いたいのは、そんな危険な武器をこの家の地下に置いていたのかって意味よ」
「なるほど、そういう意味だったか。気が付かなくてすまんな」
「あんたって、偶にそういうところがあるわよね?」
「そこまで言うんだったら、そうなのかもしれないな。そもそもの話だが、武器庫への武器の搬入は、この屋敷に引っ越して来た時にはすでに置いていたし、それにここは武具保管施設の一つにもなっているから、本部の方から必要な武器があったら自動的に武器が本部に転送魔法で送られる仕組みになってるんだよ」
「それにしても、また凄い施設を造ったものですね…」
「ああ、組織の中でもかなり最新鋭の機材が揃った施設だからね。それに、これらのほとんどは私の【創造】で造っているからかなり大変だったよ」
「そりゃあ、そうでしょうね。春人様が扱いになる【創造】は、そのつくるものによって消費魔力も変わってきます。これほどの施設を【創造】でお創りになったという事は、その消費魔力は想像を絶するものだったはずです」
「普通の人間だったら、魔力どころか生命力を代用しても足りないぐらいには消費したかな。でも、私の魔力は君達も知っている通り、ほぼ無限に近い魔力量があるから問題ないんだけどね」
「それなら良いんですけれども……。あまり無理はしないで下さいね」
「分かった。できるだけ無理はしないよ」
「ところで、春人さん。ここに来た目的をお忘れではないですか?」
「……あ」
「春人さん…。もしかして忘れていたんですか?」
「ごめん、普通に忘れてた。地下施設の説明やらなんやらですっかり忘れてたよ。危うくここに来た本来の目的を完全に忘れて戻るところだったよ」
ボタンを押して会議室から訓練所に戻して今回ここでの訓練内容と渡した銃の扱い方を一応説明する。
「今から、リースの銃の訓練を始める。訓練内容は至って簡単だ。今から渡す銃で私に1発でも命中すればリースの勝ちだ。制限時間を30分とする。あ、私の勝利条件は、制限時間内にリースに1発も当てられないようにする事だ。安心しろ。今回の訓練で私が魔法を使う事はない。だが、油断はするなよ」
「わかりました!」
「よろしい。私は奥の方から始める。始めの合図はこれを鳴らしてくれればいいから」
「これは何ですか?」
「これは、電子ホイッスルだよ。ただし既存の物よりも音を大きくはしてるけどね。それと、ここのボタンを押せば音が鳴る仕組みだから」
「そうなんですね。分かりました。ところでこれはいつ頃鳴らせば良いのですか?」
「そうだな……。今から3分後にする」
「分かりました」
訓練用になっているここは、通路が一本道ではなく、サバゲーフィールドのように少し入り組んでいる。
そして、奥に着いて3分が経過すると、電子ホイッスルの音が訓練所内に鳴り響いた。
訓練開始の合図がなったと同時にリースのいる入り口方面に向かって移動する。
魔法なんかは使わないが、銃弾は避けさせてもらうつもりだ。
さてと、そろそろ行くとするか。
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