67話 事件対処に向けて…
ギルドから森での調査が終了したと聞いた私達は、ギルドに行って、調査報告書を見せてもらった。その結果、魔素溜まりがあった事が判明した。
これであのゴブリン共が進化が出来たことにも説明がつく。
だが、その魔素溜まりがあった場所はゴブリン共の集落があった場所だった。もし、あのまま放置ささっていたら、魔素成長によって更に進化していたかもしくは巨獣化現象を引き起こして大きな被害が出ていたかもしれん。
巨獣になった場合はスターズが対処する事になっているから巨獣に関してはそこまでは心配はしていないがな。
報告書を見た後、特にめぼしい依頼が無かったため、今日は街に行くことにした。
街に行って、買い物をしていると、路地裏の方から悲鳴のような叫び声が聞こえてきたので急いで声のした方にみんなで向かうと、少女に持っていたナイフで服を破いて襲おうとしていた。
急いでそいつらに麻痺弾を撃ち込み即座に拘束する。
涙目になりながら身を丸めていたので、とりあえず【ストレージ】にあった子どもぐらいの大きさのローブをエリアに渡して私は少女の反対方向を見て、みんなに任せる。こればかりは、私がやるわけにもいかないからな。
「着せ終わったからもうこっち向いても大丈夫よ」
事情を聞こうとその少女に話し掛ける。
「君のお母さんかお父さんはどこかな?」
そう尋ねてみるが、なかなか答えてくれない。それもそうか。さっきまで襲われそうになっていたんだ。男を怖がっていても仕方ない。
考えた末に【創造】で足下にいたコハクの手乗りサイズのキーホルダーぬいぐるみを渡して警戒心が一旦解けたところでもう一度聞いてみる。
「ねえ、もう一度聞きたいんだけど。君のお母さんかお父さんはどこかな?あと、君の名前も一応聞いておきたいんだけども良いかな?」
「私は、ランリース。お母さんからはリースって呼ばれてた。それと、お父さんは私が生まれる前に、お母さんは私が8歳の頃に死んじゃたんだ。」
「ごめんね、辛いことを思い出させたようで」
「別にいいよ。もう気にしてないしさ。ところでお兄ちゃん達は誰?」
「ああ、そういえば自己紹介がまだだったね。私は望月春人だ」
「私はエリアリア・フォン・ベルンガです。よろしくね、リースさん」
「私はトワ・ゼンフォートです」
「あたしはアイリス・ノベールよ」
「私は、トリス・ノベール、です」
「拙者は工藤信女です」
自己紹介が終えたところで話を続けようと思ったのだが、リースのお腹が鳴った。
「お腹が空いているのかい?」
「もう、3日近く何も食べてない……」
『鑑定』でリースを鑑定してみると、栄養失調でいつ倒れてもおかしくない状態だった。
とりあえず【ストレージ】の中にしまってあった、栄養素をかなり入れた非常食を食べさせる。この非常食は私が仕事時にいつでも気軽に食べられるようにと予め幾つか作っていたもので、食べやすいようにパンに栄養素を少し多めに含ませて作ってある。
それを食べたおかげか、少し顔色が良くなり、鑑定してみてもある程度まで回復した。
だが、空腹状態は変わらないので、近くの露店で串焼きをリース用に5本とりあえず買った。何故か、さっき朝食を済ませたはずの信女が串焼きを倍の10本買っていたのは気になったが……。
「それで、リースは普段はどういう風に生活をしているんだい?さっき両親はいないと言っていたけれども」
「住む場所は決まってないよ。ベンチの下で寝たり、路地裏で他の子達と寝たりしてた」
「他にも君みたいな子どもがいたのか?」
「うん。だけど、みんな連れて行かれた。私だけはなんとか逃げられたんだけど。今日、みんなを連れて行った人達に見つかって……でも、そこでお兄ちゃん達が助けてくれたんだ」
その話を聞いて、ある考えがうまれる。
「なるほど……。これはちょっとまずいかもしれんな」
「どういう事ですか?」
「春人様、もしかして……」
「多分、トワが思っている通りだと思う」
「もしそうだったとしたら、その子達、かなり危ないのでは?」
「そうかもしれん」
「だから、私達にも分かりやすく言ってくれない?」
「つまりだな、その子達は雇われた盗賊かそこらのチンピラに拉致されて、助け出さないとまずいという事だ」
「雇われたって誰に?」
「おそらく……いや、間違いなく奴隷商人にだ」
「でも、どうして孤児を?」
「それはだな、孤児っていうのは戸籍だったりがなかったり、突然いなくなっても誰も気にしないし、そういったのが好みの貴族には高値で取り引きされるから狙われやすいのもあるんだが、リース。1つ聞いてもいいか?」
「何?」
「その連れて行かれた子ども達って男の子だった?それとも女の子?」
「女の子が多かったよ。男の子も一応いたけど、男の子は全員私よりも年下だったよ」
「なるほど、やはり奴隷商人があの盗賊共を雇って拉致したのは間違いないな」
「なんで盗賊だとわかるんです?」
「さっきあいつらを『鑑定眼』で調べたら盗賊だと分かっていたからなんとなく嫌な予感はしていたが、これは少し予想外だったな」
「その子達は大丈夫なの?」
「大丈夫ではないだろうな。おそらく奴隷商人は奴隷制度を法律で認めているダンバタ王国かネビリス帝国に向かうだろうな」
「この国に地下オークションみたいなものはないのですか?違法奴隷は大抵そういった所で売買されると聞いたのですが」
「いや、信女の言う通りこの国にも非合法ではあるが、地下オークション会場は存在するし、違法奴隷の大抵は地下オークションで売買される事が多い。だが私達もある程度の事であれば目をつぶったり、国に通報して捕まえてもらうんだが、人身売買はほとんどの国では違法扱いだから我々スターズも動きやすいんだが、奴隷などの人身売買を合法としているダンバタ王国やネビリス帝国の場合は我々が動いた場合確実な証拠がないと内政干渉と見做されてしまうんだよ。スターズでは内政不干渉と決められているから、私達も動きにくくなってしまうが、今回はこの限りではない」
「どう言う意味です?」
「今回、この国で拉致した事が国際問題に発展する可能性ありと見做し、我々も動く事が出来るということさ」
私はそう言って、指を鳴らす。すると、機械戦闘着を身に付けた私の部下が影の中から現れた。
「話は聞いていたな。今すぐ、拉致した子ども達を乗せていると思われる馬車の特定ならびに現在の国の行き先の特定、なお、発見時にどちらかの国境内に入りそうになった場合は、国境内に入るのを阻止しろ。と今の内容をその2カ国の間にある各国支部に緊急連絡をしろ。尚、拉致されたと思われる人数は15人だ」
「承知しました。直ちに、各国支部に通達します」
「頼んだぞ」
「了解」
支部の近くや私のいるところでこんなにも大胆に拉致事件を起こしたんだ。絶対に逃しはせんぞ……。
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