66話 ゴブリンキングの集落
3人の体調不良も良くなり、今日は久しぶりにみんなで依頼を受けた。
依頼内容に書かれていた場所は、以前に行った旧王城跡地付近だった。
旧王城跡地は現在、ドランクによって崩壊してしまったが、古代に書かれたと思われる文字があった事などから実地調査をする事となり、旧王城跡地は現在関係者以外立ち入り禁止となっている。
あたり一帯も本来なら立ち入り禁止なのだが、Bランク以上はギルドの承諾があれば入って良い事になっている。
そして今回の依頼は、跡地近くにいる魔物の討伐だった。魔物が時々邪魔をしてくる為、予定よりも調査が遅くなっていてる。
その魔物を討伐しない事には調査も上手く進まないんだそうだ。
そうして、森の中へと来て魔物を複数体討伐をして、戻った。
にしても以前に来た時よりも明らかに魔物の数が増えたようだな。まあ、それも当然といえば当然か。なんせ、Bランク以上でなければ入ることが許されないうえに、この森に入る通路は全てギルドの武装職員や騎士が立ち番をしていたり獣道になりそうな場所でさえも定期的に見回りに来るから一般人も知らずに入る事はないだろうから、これだけの魔物が増えてしまっても仕方がないのかもしれないな。危険度的にはDランクでも問題なさそうだが、繁殖がすごく、短期間でもの凄い数になってしまった。
警備隊もちょくちょく倒してはいるそうだが、増える一方だそうだ。自然型スタンピードが発生する前にベルンガ支部にも話しておくか。
今回は結構狩ったしそろそろ帰ろうかと思った時、たまたまゴブリンの集落を発見した。
普通のゴブリンから、ホブゴブリンが複数体いて、それを束ねていたのはゴブリンキングだった。
これだけの規模、万が一にでも人里に出てしまったら小さな村なんぞ一瞬で崩壊だぞ!
そう思っていると、ゴブリンキングが他のゴブリン共を集めていた。おそらくなんらかの会議だろうか?知能まで高いとなると更に厄介だな。
会議の内容を聞こうと、最近新しく創造した無属性魔法【トランスレーション】を使ってゴブリン達の会話を盗み聞く。
『人間の村に行く。派手に暴れろ!そして、人間共を苦しませろ!それが俺たちの糧となる!!』
『オオ──ッ!!』
アイツら今から村に襲いに行く計画をしてるのかよ!?本格的にまずいな。仕方ない。このまま直接片付けるしかなさそうだな。
そう思って、近くでゴブリン共の様子を見ていた他のみんなに念話で話しかける。
《みんなよく聞いて。これからみんなであのゴブリン共を一斉に叩く。まず、私とアイリス、トワ、信女は一気に出て攻撃。エリア、トリスはこのまま隠れながら狙撃だ》
《もしかしてアレを使うのですか?》
《ゴブリン共ならば、実戦での射撃訓練に丁度いい的だろ?それにいつかは、人間相手にも使うかもしれないんだ。今のうちから人型の魔物で練習をして人間相手でも躊躇わずに撃たなくては自分の身を守ることなんて出来ないんだ。これは良い機会だと私は思うぞ?》
《……分かりました。やってみます》
《正直私はそこまで躊躇いはありませんけどね》
エリアが躊躇いないのは少し意外とも一瞬思ったが、そういえばそれほど躊躇いというか遠慮がなかったなという事を思い出した私は、ツッコミを入れそうだった念話の声を抑えた。
《それじゃ、5で行くぞ。5、4、3、2、1──突撃!》
私の合図とともに、一斉に攻撃を始める。
『何事だ!?』
『人間が襲撃して来ました!』
『数はどれぐらいなんだ?』
『4人です』
『その程度の人数、数で押し切ってしまえ!』
『しかし敵がありえない程強く、まったく歯が立ちません!!』
エリアとトリスに念話を送る。
《ゴブリンキングと他ホブゴブリン数体はそっちの存在に気づいていない。今のうちに一気に撃て》
ゴブリンキング達の会話の中、銃による狙撃攻撃が始まった。
ゴブリン共は、どこから攻撃を受けたか分からず混乱している間に2人に次々と撃ち殺されたり、私達に殺されるかの2択になっていた。
『新たな敵と思われる攻撃を受け、半数以上が殺られました!』
『こうなったらこの俺も出てやろう』
「その必要はない。何故ならこっちから来たからだ」
他のゴブリン共を倒し終えて隠れながら狙撃を行っていた2人も出て来て、構える。
『お前、俺達の言葉が分かるのか?』
「ああ、わかるさ。お前らだって人間の言葉がわかるんだろ?」
『そうだな。だが、人間の言葉を話すことはできんがな』
「私の場合は魔法でお前達の会話を理解しているだけだから、お前らの言葉で話すことは出来ないが、こうして会話ぐらいは出来る」
「だから春人さんはさっきからゴブリンの会話を理解できたのですね」
「春人様のことは理解していたつもりではありましたが、まだまだ知らないことはあったようですね」
「それにしても、古代語を話せたりドラゴンと会話が出来るだけでなく、ゴブリンの言葉を魔法で理解するなんて驚きですね」
エリア、トリス、信女のそんな会話が聞こえて来たが、あえて無視して話を続ける。
「お前達の目的はさっき聞いたからいいとして、ゴブリンキングに1つ問いたい」
『なんだ?』
「お前達はここで生まれ育って進化なのか、それとも別なところからやって来たのか?」
『ここで生まれ進化した方だ。俺も元々はただのゴブリンだったが、ある日進化したことによって、群れを形成することが出来たし、部下のほとんどが知能が普通のゴブリンよりも高くなった』
つまり、ここで進化できる条件があったということか。
『質問はそれだけか?それだけならそろそろやるぞ?』
「みんなはキングの周りにいるホブゴブリンやゴブリンナイト、ゴブリンエリートを相手にしてもらいたい。あのゴブリンキングは私が相手をする」
「こっちの数が多すぎる気がするのですが?」
「ゴブリンキングを相手にするよりははるかにマシだと思うぞ?そいつらなら今の君達なら倒すことが出来るから安心して良いよ。苦戦は避けられないとは思うけども。だがゴブリンキングは、今の君達では少し難しいだろうから今回は私が相手をする」
「分かりました」
「倒せるだろうけど、くれぐれも油断はしないようにね」
「わかってるわよ。まったく、アンタってたまに心配性なところがあるわよね?」
「仕方ないだろ?だって、そうやって油断して死んで行ったやつを私はごまんと見て来たからな」
『話は済んだか?』
「ああ、待たせてすまんな」
『それじゃあ……行くぞ!!』
「来い!」
極太のマチェットを持ったゴブリンキングが襲いかかって来たが、それを避け蹴りを一撃入れ、2m弱蹴り飛ばしたが立ち上がって再度襲って来る。
マチェットを振り下ろすタイミングに合わせて一本背負いで投げる。
少しの間動けないように衝撃を大きくしてその間に少し向こうの様子を見てみると、少し押されていたので、早めに終わらせてあっちに行ったほうが良さそうだな。
そろそろ終わらせようと、起き上がったゴブリンキングに刀の柄を握って構え、技を放つ。
「【月剣流剣術 四の型 月華】」
月の華の如く、綺麗に斬られて絶命した。勿論、ゴブリンキングの証明になる討伐部分は残してだが。
その後、残ったゴブリンナイトやゴブリンエリート、ホブゴブリンを倒して、討伐部位を【ストレージ】に収納してギルドへと依頼達成の報告をしに戻った。
「な、なんですかこの量は!?」
「見ての通りだが?」
「量がおかしいと言っているんですよ!それにこっちの袋にはゴブリンの上位種のホブゴブリンやゴブリンエリート、ゴブリンナイト更にこれに至ってはゴブリンキングではありませんか!!」
「ギルドに戻る途中でゴブリンキングが束ねる大規模なゴブリンの群れの集落を発見し、いつ近隣の村などに襲いに行くか分からない状況だったので、殱滅させてもらいました」
「いくらなんでもこの人数では危険すぎますよ」
「危険だと判断した場合は即座に撤退する予定でしたので心配しなくても結構ですよ。それに、私達はこう見えても結構強い方ですし」
「強さに関しましては私達ギルドも知ってはおりますが、気をつけて下さいね」
「分かりました」
受付嬢は最後は何を言ってもダメだなと思ったのか諦めたかのように言った。
「お待たせしました。こちら報酬の金貨30枚と、特別討伐金の白金貨60枚です。それと、人員が揃い次第、森の調査をギルド職員が行います。ゴブリンキングの討伐並び集落の破壊、ありがとうございました」
今日は、なんだか色々とあったな。まさかゴブリンキングがあの森で群れ……集落を築いていようとは思わなかったな。
人員が揃い次第、ギルド職員が森に立ち入り調査をするって言っていたし、進化した事もきっとわかるだろう。
ギルドの調査員なんかは意外にも調査能力は高く、スターズと並ぶ程の実力があるし、ギルドの幹部クラスならば我々スターズの存在を知っているからな。まあ、それも引退したスターズの下級幹部だったりその子どもなどがギルドの幹部職員になったりギルドの諜報部隊なんかにいたりするから当然といえば当然なんだが。
それはどうでもいいか。
ギルドから帰ってからも少し気になりつつ、何日かは変わらない生活を送った。
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