60話 妖精族長とマリオネットキャット
その猫のようなぬいぐるみについて行く。すると、とある一室に案内された。
その部屋の扉は閉まっていたが、猫のようなぬいぐるみ(これからはマリオネットキャットと呼称する)は、ジャンプすると、器用に扉のレバーハンドルを下げて扉を開けると、室内に入って行った。
私は部屋の外に見えないように銃口を上にして隠れながら【サーチ】を使って、大体の様子を確認する。
どうやら部屋の中には1人だけだが、魔力量はそこら辺の連中よりも多いな……。
そして【サーチ】の高度解析を行なってどのような姿をしているのかを確認しようとしたその時、中からその人物の声が聞こえた。
「あら、あなたがここに人を連れて来るなんて珍しいわね、フィジー。それで、そこに隠れているのはどなたかしら?」
見つかったところで出て行っても問題はなさそうだし、入るか。一応銃は持ったままではいるが。
「貴方がそこに隠れていた人ね?この子にここに案内されるなんて、よっぽど気に入られたのね」
そう話すのは、大体二十畳程の大きさの部屋の奥で椅子に座っている、身長的には女性だが、少女寄りな顔をしたコルセットドレスを身につけた人物に問われる。ただし、その人物の見た目は、普通の人間の女性とほぼ変わらないが、背中には綺麗に輝く美しい羽根がついているのでおそらくこの子は妖精族だろう。更に、その身体は美しい純白色と言っても良いレベルの白さだった。アルビノなのだろう。
「君は何者だ?何故そのマリオネットキャットは私をこの部屋へと連れて来た?」
銃口をその少女に向けながら尋ねる。
「さあ、そんな事私に聞かれても知らないわよ。でもこの子が連れて来たという事は、何かあるのでしょうね。分かったらその武器を下ろしてもらっても良いかしら?」
「……分かった」
そう言って、私は銃を懐のホルスターにしまった。
「さっきの続きだけど、君は一体何者なんだい?」
「私?私の名前はマリン・ラージャント、見ての通り妖精族よ。そして妖精族の長でもあるわ。そう言う貴方は誰なの?」
「私は望月春人だ。ここに来るまでは、大広間でやっているパーティーに参加していたんだけど、少しだけ大広間の外の近くにあった長椅子に座っていたらさっきのマリオネットキャットにここに案内されたと言うわけだ」
「なるほど、噂の黒竜討伐の英雄と言うわけね」
「そんなに噂になることなのか?」
「そりゃあドラゴンスレイヤーは、かなりの強さを持った人物だと言う証明だもの」
「だがあの黒竜は、ただ享楽を求める100どころか50にも満たない若竜だった。そこまで祭り上げられるほどの強さを持っていたとは、到底思えなかったな」
「それでも貴方は、伝説とも言われていた、老狼人の里を守った英雄に変わりないわ。それに老狼人を貴方が守ってくれたおかげで、このバルハラン王国は、新たな仲間を招き入れる事ができたのだから王国の種族代表の一人として感謝しているわ」
「もともとあそこを守る義務はこちらとしてはあった訳だから、特別気にする必要はないよ」
「深くは聞かないわ」
「そうしてもらえると助かる」
この子は私の正体に気づいているのだろうか?
「ところで、さっきから聞きたかったんだが、そのマリオネットキャットは何なんだ?」
「この子のことね。この子はフィジー、貴方のお察しの通りこの子は私の無属性魔法【インディペンデントウォーキング】という魔法とスキル『独立思考』を【エンチャント】が使える人に昔に頼んでからこの子は独自の思考判断で動いているわ」
「スキルの事を知っているんだね?」
「ええ、これでも長く生きているからね」
「それってどのぐらい?」
「そうね……正確には覚えてはいないけど、700は確実に超えているからとりあえず720歳って事にしておいてちょうだい」
「私の半分と100ぐらい年上だったんだな」
「……ん?ちょっと待って。貴方今「私の半分と百ぐらい年上」て言わなかった?という事は、貴方300歳近いって事?」
「ああ、そうだが」
「人間じゃないのね。なんて種族なの?」
「私は、古代人間という種族だよ」
「それって、はるか昔にいたというほぼ伝説的な種族よね」
「もともとは上位人間として産まれたんだけど、一回種族進化して今の種族になったんだ」
「そうなのね。ねぇ、貴方さえ良ければ私の弟子にならない?こう見えても私、聖王級魔術師なのよ」
「残念ながら私は、神級魔術師に教えを受けた神級魔術師だからマリンに教わる事はたぶんないと思う」
「神級って……もう驚かないわ」
「それじゃあ、そろそろ会場に戻らなくちゃならないから、これでお暇させてもらうよ」
面倒なのに目をつけられたかもしれん。
そしてまたパーティー会場へと戻って、パーティーが終わってからすぐに風呂に入ってから、用意された私の客間へと戻ってベッドへと横になる。
すると、ソーラルからスマホに電話が鳴った。
「今いいか?」
「何の用だ?」
「以前に話した下級ドランクの話なんだが、先ほど近くの偵察部隊から支部を通してこちらの方に連絡があった。その内容によれば、出現予想はおよそ2日後との事だ。だから、お前の方も念のため準備をしておいてくれ」
「分かった。ところで、村人の方はどうなっている?」
「さすがに大きくなり村人が気づいた。その気づいた村人が、その村の村長にこのことを話して、村長の決断によって王城に使いを向かわせた。おそらく明日には到着するだろう」
「そうか、分かった。話をそれだけか?だったら悪いが、そろそろ寝かせてもらうよ」
「すまない。それじゃあおやすみ」
「ああ、おやすみ」
そうか、下級ドランク出現まであと2日か。
あ、そうだ。明日は、後衛組の武器作りでもするか。
そしてその日は、ゆっくりベッドの中で眠った。
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