6話 世界、スターズについて
ソーラルの役職はシャドウの他にもある。それは、作戦局局長という役職である。つまり、ソーラルは私の上司でもあるのだが本人が敬語で話さなくてもいいと言うので普通に話している。
「とりあえず入って来て椅子にかけてくれ」
「わかった」
ソーラルはそう言うと机の後ろに飾られている立体のこの世界のものであろう世界地図を持って来て目の前のテーブルの上にそれを置いた。
「これは、この世界の立体地図だ。この世界で使われている地図よりも高性能な地図で作戦時などにもこの地図が使われている」
確かにこの世界の文明レベルからしたらかなり細かく作られた地図だな。
それにこんな細かい地図は元の世界でもそうそう無いぞ。
「にしても何故突然地図を見せたんだ」
「だってお前、この世界の地理はベルンガの一部地域しか知らないんだろ?それにお前は仮にも班長なんだからこの世界の地理は知っておいた方がいいからな。それで、どうだ。この世界の形などはわかったか」
「ああ、大体の国の位置や首都、大きな街そして川や山、山脈などの位置も大体ながら記憶した」
「………?いやいや、いくらなんでもこんな短時間では流石に記憶するのはほぼ不可能だろ」
「私は記憶力に関してはかなりの自信がある。私ならばこの程度暗記することは可能だ」
「記憶力の自信の問題だけで済むのか?それ」
《シエラ、これよりも詳細な地図を作ることは可能か?》
《可能です。でしたら今からでも製作致しましょうか》
《いや、今はいい。必要になったら頼むからさ。だからいつでも取り出せる状態にはしておいてくれ》
《承知しました》
「この際だからついでに聞いてもいいか?」
「別に構わないが聞きたいことってなんだ」
「今まで気になっていたんだが局ていくつあるんだ?」
「局が付くのは確かまずこの『作戦局』だろ。その他には確か『人事局』『支援局』『情報局』『施設局』『武具管理局』の6つだな。更に今話した局の中に様々な課がそれぞれ設けられている。そしてお前が所属することとなるシールズは、基本的には作戦局の下部組織ではあるが、一応作戦局の他に情報局の管理下に置かれている上級重要部隊となっている。それと、世界各国のほとんどの国王とスターズは協力関係にあるが、犯罪奴隷以外の奴隷制度、例を挙げるなら戦争・戦闘奴隷、性奴隷、労働奴隷を認めている国とは少し敵対関係にあってな。そういう国が時々我々の任務の妨害工作をして来たりすることがあってな。その代表的な国はダンバタ王国だな。このダンバタ王国は足が付きにくい盗賊なんかを使って他国の村などから拉致して無理矢理、量産型アーティファクトの一つである隷属の首輪をはめさせて奴隷にしたりしているのだがその証拠を国は流石に残していないもんだから我々も下手に動けない状態なんだ」
「もちろん潜入捜査はしてみたんだろう?」
「もちろん潜入捜査は当然ながら何度か行った。だが、その全てが城の城門のところでバレてしまって潜入どころではなかったんだ……」
「そうだったのか」
潜入捜査が失敗しているんならば今の状態になるのも当然か。
それにしても何故ダンバタはスターズの工作員を見破ることが出来たんだ?
スターズの工作員は私程では無いにしろ普通の諜報員よりかはかなりの潜入とかに関してはプロなんだがな。
「まぁ、その国はそのうちにどうにかすればいいし、それに潜入捜査ならば情報局の奴らに任せとけばいいんだよ」
そうなんだろうけれども。
なら、私達はいったい何をしたらいいのだろうか?
「シールズの主な任務は、異界からやってくるドランクの討伐や汚職貴族や悪徳商人の暗殺や証拠集めだ。それ以外だとスターズに有益な者の護衛だったり任務に苦戦している他部隊の応援、空間の歪みの捜査も任務内容に含まれている」
シールズの任務内容って思っていた以上に多いんだな。
だが他の中、小隊も同じ内容なんだろうかと考えていると。
「どの分隊も同じ任務内容だが、どうしてこんなに分かれているのかというと単に全員を同じ部隊にしてしまうとあまりにも隊員数が多くなってしまうというのが理由なんだがな」
そりゃあそうだ。
「まぁこの世界には様々な問題があるが、そんな問題を少しでも一般人に知られずに解決するのがスターズの役割なんだということを覚えておけよ」
「了解」
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