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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第6章 王都マサラ
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57話 里人の救助

 あの黒竜に襲われた里は、まず火災による被害が酷かったので、私の【レイン】という水属性の広範囲上級魔法を使って火災を鎮火(ちんか)させたり、家屋(かおく)の下敷きになっていた人達の救出、必要な者は結界を応用した無菌室の即席緊急手術室を創って手術をしたりした。


「この患者で最後ですか?」

「はい。その人で最後です」

「ては、すべての手術を終了します。お前達のおかげで助かったよ。もう戻って良いぞ」


 そう言って式札を取り出し、外に出していた式神達を式札に戻した。


「軽傷者は他の者達が治療に当たっているし、流石に連続して手術するのは少しキツかったな。まだ暗いし、警備の方は護衛隊に任せて、日が昇るまで少し仮眠(かみん)でもするか。あ、その前にアレの処分も考えるか」


 そう言って黒竜の亡骸(なきがら)を見上げる。

 『鑑定』でコレの価値を鑑定した結果、王金貨20枚という結果になった。それぐらいあればこの里の再建どころか、文化を少しぐらいなら発展させることぐらいは可能だな。

 だけど、私もこの黒竜から欲しい箇所があるからそれを貰ってから渡すとしよう。

 多少価値は下がるがそれでも王金貨16枚は下らないだろう。


「春人殿。あの黒竜なのだが、どの様にしますか?」

「欲しい箇所は私が貰って、それ以外の箇所は、この里の再建として討伐者の代表として寄付しようと思う」


 これを聞いていた里長のアロン・スナラが歩み寄って来た。


「あなた方が倒したのによろしいのですか?竜を売ればかなりの金額が手に入るというのに」

「私はさほど金には困っていないから気にする必要はない。それにさっきも言った通り私が欲しい箇所は貰うから渡すと言っているのだから全てという訳ではない。だからそう気にする必要もない。それにこれは、私からの謝罪の意味も込めているんだ」

「謝罪……ですか?」

「ああ、ここの警備をしていた者達のことに気がついていただろ?」

「ええ、何となく何者かに守られているという感覚はありました」

「それは我々スターズのこの国の支部である、バルハラン王国支部の者達……要するに、私の直属ではないが、この国は私の管轄下にあるから、私の部下である事には間違いない。そして、ここからが重要なんだが、ここの警備を解いたのは私達本部の高官達が安全だと判断した結果なんだ。結果、この様な惨劇(さんげき)が起こってしまった。本当に申し訳なかった」

「頭を上げてください。確かに住居が破壊されてしまった家がかなり多いですが、幸いにも死者は1人もいなかったのです。それにあなた方が助けに来て下さらなければ、間違いなく私達は甚大な被害が出ていたことでしょう。ですのでどうか頭をお上げください」

「感謝する」

「ところで、欲しいという箇所は何処なのですか?」

「両眼と両牙、それと(うろこ)を3枚お願いしたい」

「かしこまりました。解体の方は、こちらでやっておきますので、貴方もどうぞお休みください」

「ああ、そうさせてもらうよ」


 そして、馬車に戻って寝ようと開けてみると既に他の子達が寝ていたので、起こさないように静かに扉を閉めて、木陰に寄りかかる形で寝た。


 日が昇り目が覚めると、私の体にタオルケットがかかっていた。


「あ、おはようございます。目が覚めましたか?……春人さん、どうして泣いているんですか?」

「え?」


 エリアに言われて目元を指で触れると、確かに泣いていた。恐らく、さっきまで見ていた夢のせいだろう。

 

「いや、昔の嫌な夢を見ただけだから気にしなくても良いよ」


 みんなには笑ってそう言ったが、みんなはそれが気になっている様で、不安気な表情になっていた。


「何かあったら私達に出来ることがあったらしますので、あまり溜め込まないでくださいね?」

「そうだね。何かあったら君達に相談できることだったら相談させてもらうことにするよ」


 私とした事が、こんなにもこの子達に心配させてしまうとは……情けないな。

 もうそろそろ解体作業が終わった頃だろうし、取りに行くとしようかな。

『良かった』、『続きが気になる』などと思っていただけたなら、評価やブックマークをしてくださると、とても嬉しいです。投稿日時はバラバラですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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