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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第6章 王都マサラ
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56話 里襲いの黒竜の討伐

 隠れ里に着き、私は指揮を取る。


「バルハラン王国第ニ騎士団及びベルンガ王国第一騎士団は、避難誘導ならびに救助を急ぎなさい。そして私、トワ、アイリス、トリス、信女、エリアは私と共に黒竜を討伐する。良いな!」

『はっ!』


 まず、避難誘導の邪魔になるその黒竜を別の場所に誘導するため威嚇(いかく)攻撃をする。


「【ファイアアロー】」


 黒竜が攻撃に怒ったところで開けた場所へと時々当たるか当たらないかの擦れ擦れの攻撃で誘導する。

 この時に攻撃が当たってしまうと、その場での戦闘になる可能性が高く、避難に影響が出る可能性があるため被害が出難い場所まで誘導する必要がある。

 黒竜を開けた場所まで連れて来だ後、完全に逃げられないように【エアリアルバリア】という、風属性の精霊級結界魔法をドーム状に張った。

 この結界は黒竜程度の攻撃ではびくともしない。


「さて、ここからはこいつを倒すだけだ。さっさとこいつを片付けてあっちの方に向かおう」

「はい」

「ビエラいるか?」

「はっ、此処に」


 私の影の中から獣の姿で出て来る。


「作戦を説明する。まず、信女とトワは左側、アイリスとビエラは右側からあいつの揺動をしつつ、エリアとトリスはこの場で遠距離攻撃をし、コハクはその守りに回れ!とりあえずあの羽虫の(つばさ)を私が切り落とすのを作戦の合図にする」

「分かったわ(分かりました)」


 そう指示を出して私は結界から出てすぐに走りながら黒竜まで飛び跳ねて、黒竜の背に立ち、腰に下げている刀を(さや)から取り出して、居合切りで瞬時に両翼(りょうよく)を切り、地上へと落とす。

 流石は竜を名乗るだけの事はあるようで、両翼を切り落とされようとも攻撃の威力が弱まる事は無かった。

 落としてから、さっき言った作戦通りにみんな動いてくれた。

 【シャドウチェーン】で奴の身体を拘束して問う。


「黒竜よ、お前は何故この里を荒らす?何らかの復讐か?それとも単なる享楽(きょうらく)か?」


 その問いを投げかけた途端、黒竜が咆哮(ほうこう)する。


「享楽なのか。ならば容赦する必要はないな。一撃で終わらせる」


 【月剣流剣術、ニの型、半月一閃】

 この技を使用した後、黒竜の首が胴体から落ち即死した。

 そして、刀を静かに鞘に納めた。

 

「これで終わったな。みんなもお疲れ様…と言いたいところだが、まだ許してはくれないみたいだな」

「どういう事……?」


 その瞬間、上空から突風が吹く。


「「キャッ!」」


 とスカートで来ていたエリアとトワがスカートを押さえる。


『……既に倒された後だったか?』


 その言葉と同時に背中に取り付けていたホルスターから短機関銃であるMP7をその黒い竜に向ける。さっきの黒竜とは違い、こっちは黒と言うより漆黒(しっこく)と言った方が良いだろう。

 こいつは、恐らく……。


『我に敵意は無い』

「会話が出来るようだな。確かに、お前からは敵意は感じない。だが、まだ油断ならないのも事実……そうであろう?バルハラン王国の竜の住処を統べる暗黒竜(あんこくりゅう)ノーヴェラスタよ」

『何故、我が暗黒竜だと?』

「気配からだ。一見して見れば、その見た目から黒竜と間違われることが多い。だが、黒竜と暗黒竜とでは強さの桁が違いすぎる。それに魔力量も多いし、色も見る者が見れば違いなんてすぐに分かる」

『なるほど、確かにお前は人間とは違うようだな。見た目は完全に人間だが、人間とは違いそうなほどに強く見える』


 これ以上言われるのは少しまずいと思い、竜語で暗黒竜と話すことにした。


『お主、竜語を話す事も可能なのか!?』


 その驚きに、コハクが答える。


『主にかかればこれくらい当然の事よ』

『なんと!この人間が白虎様の主とは……大変失礼しました』

『それならば別に構わん。それと私は人間と一緒の種族にしないでもらえないか?』

『人間ではないのですか?』

『私は人間ではなく、その上位種である古代人間(エンシェントヒューマン)だ』

『この時代に古代人間(エンシェントヒューマン)が生きていようとは……驚きました』

『スターズという組織をお前は知っているか?』

『ええ。なんせ、邪竜になった者を人間に危害を与える前に討伐してくれてますからね』

『私はそこの最高幹部の一柱(ひとり)だ。これから言うことをよく聞け。この秘密を他の者には話してはならない。話してしまうと余計な火種を生みかねないからだ』

『承知しました』

『今から人語で話すから悪いけど、今からはそっちで頼む」

『分かりました』

「この黒竜の死体は私達が貰っても良いんだよね?」

『その者は住処を出た時点で同胞に在らず好きにして頂いて構いません』

「なら遠慮なくこいつを有効活用させてもらうよ。それと、若竜(ヤング)達にはきちんと言い聞かせてくれよ」

『はっ、必ずや。では、これにて失礼します』


 そう言って、ノーヴェラスタは竜の住処へと帰って行った。

 物音がして後ろを振り向くと、みんな膝から崩れ落ちていた。どうやらノーヴェラスタの魔力に当てられたみたいだな。


「大丈夫か?」

「す、すみません。どうやら魔力に当てられたようで、少し気分が悪くて……」

「まあ、それは仕方ないと思うよ。暗黒竜は神話にも登場するくらいの強さを持っているから今の君達じゃ、魔力だけでそうなるのも仕方ないよ」

「私もまだまだですね」

「そうだな。だが、君達はまだ若いんだから徐々に学んで、そしてその経験を将来に活かしていければ全然問題ないと思うよ」


 この子達は、かなり良い筋を持っている。私以外でもこの子達を欲しがるやつはかなりいるだろう。そんなこの子達を護るのも私の役目なのかもしれないな。

 それにしても引っかかるのは、なんであの羽虫(黒竜)はノーヴェラスタの命令を無視する様な形であの里を襲ったんだ?普通竜種は、強者には絶対に従う習性があるはずだ。

 それなのに何故だ?……なんだか嫌な胸騒ぎがするな。

 そんな胸騒ぎが的中するのは、この時からしばらくしてからの出来事だが、それはまた別な時に話すとしよう。

『良かった』、『続きが気になる』などと思っていただけたなら、評価やブックマークをしてくださると、とても嬉しいです。投稿日時はバラバラですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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