52話 いざ、バルハラン王国へ。
「急に呼んですまんな」
「別に良いよ。それで、今日は何のようなんだ?」
「ほら、こないだのベルンガ国王暗殺未遂の件だ。あれの指揮をしていたのはお前だったよな?」
「ああ、そうだが。それがどうしたんだ?」
「その貴族の屋敷で銃が見つかったという話があったろ?」
「あったな。だが、あれは手配犯の犯行とまでしか特定できていないんだよ」
「その手配犯の特定が一昨日出来た」
「!?…いったい誰なんだ?」
「元 武具管理局銃器管理課第一係、准尉。コードネーム:ジサラスクだ」
「……たしか、第3級指名手配犯だったな」
「そうだ。そいつが今になって動き出しているそうだ」
何でまた……。そいつが急に動き出したんだ?意味がわからん。
「もしかしたら今後、他の手配犯も今回の件のように動き出す可能性があるから注意しておけよ」
「了解。こっちでも一応調べるから、本部の方でも何か私の方に連絡してくれ」
「わかった。他の手配犯等の情報が分かり次第、すぐに連絡する」
「ああ、頼む」
「話は変わるんだが、あの子とはどんな感じなんだ?」
「どうって、何がだ?」
「エリアリア王女と婚約したろ。聞いた話じゃ関係は良好らしいじゃん。それで、子供はいつできるんだ?」
まだなんも手を出しちゃいねぇよ!まったくコイツは……。
そしてつい、勢いのままにソーラルの鳩尾に一発入れる。
「ぐふぅ!!?」
そして、ソーラルはその痛みのせいか、床に腹を押さえながらしゃがみ込む。
「アホか。まだエリアは未成年者だし、それになまだ出会ってからそんなに経ってないんだぞ?そこまでいくわけないだろが?」
「鳩尾に入れて来るんじゃねぇよ!!それに一撃がやけに強かったんだが!?まあ、それもそうか。すまんな変な事を聞いてしまって」
「わかってくれれば良い。それじゃ、私はもう行く。【テレポート】」
【テレポート】を使って屋敷まで戻った。
「行ったようだな」
「ああ、そうだな」
「何であの事を言わなかったんだ?ソーラル」
「まだ確認の段階だからな。もう少し確証が出て来たら言うつもりだ。それに、春人なら大丈夫だろ」
「あいつに限って、そこらの手配犯にやられるとは考えられないが、もし春人の周りにいるやつらが捕まったらどうするんだ?」
「その時は俺がどうにかするさ」
「そん時は俺も力を貸すからな」
「ありがとな」
「ところで、お前さっきの鳩尾のやつ大丈夫か?まだ押さえてるけど……」
「あいつ、とんでもない一撃を入れて行きやがった。どうやらあいつの恋人には細心の注意を払う必要がありそうだな」
「そ、そうだな」
屋敷に戻って執務室で少し書類を作成していると、ドアからコンコンコンとノック音が聞こえて来た。
「どうぞ」
「旦那様、失礼します」
書いていたペンを一旦机の上に置いてラクアスさんの用件を聞く。
「どうしました?」
「クラウディウス大公爵とアルトリアお嬢様がお見えになりました」
「そうですか、わかりました。では、応接室に通してください」
「かしこまりました」
そう言って、ラクアスさんは執務室から出て行った。
それにしてもいったい何のようなんだ?しかも大公爵だけでなくリアまで来るなんて。
まあ、とりあえず会いに行くか。
「遅くなってすみません、大公爵それにリアも」
「構わないよ」
リアも大公爵と同意見のようでこっちを見ながら頷く。
「それで今日はどのようなご用件でしょうか?」
「バルハラン王国との正式な同盟を結ぶことが昨日決まった。それでだな、同盟を結ぶには両国の国王のどちらかが、どちらかの国に行く必要があってだな」
「まさか、ここに来た用件って……私の転移魔法ですか?」
「正解だ。神級魔術師望月春人殿、ベルンガ国王並びベルンガ王国外務大臣の依頼としてバルハラン王国へ行ってもらいたい」
「国家要請ですか……わかりました。では、冒険者ギルドに私たちに指名依頼として依頼してください」
「わかった。すぐに準備しよう」
「お願いします」
「でも、相手側に春人様が転移魔法の使い手だと知られると、暗殺者が送られてくる可能性があると思うのですが……」
「たしかにトワ殿の言う通りだが、転移魔法は、結界さえ張ってしまったらその内部には転移が不可能なのだろ?」
「そうなのですか?」
「大方間違いではないな。たしかに、大公爵の言っていることは合っているが、それはあくまでも、一般的な魔力量の場合なんだ。だから、私のように魔力量が多い者ならば、どんな高位結界であっても無理矢理内部に入り込むことは可能なんだ」
「それじゃあ、ますます狙われる可能性がありますね」
「なんか忘れてるようだけど、私がそこらの暗殺者にやられるとでも思っているのかい?」
「いいえ!まったく思っていません!!」
その次の日にギルドからの指名依頼を正式にみんなで受諾し、待ち合わせ場所の王都の南門の外へ向かった。
「ここからは、両国の騎士団が協同で私たちを護衛してくれます」
「バルハラン王国第二騎士団長兼現バルハラン護衛隊長のグリウスです」
「ベルンガ王国第一騎士団副団長兼現ベルンガ護衛隊長のアルドー・マッカーサーです」
二人の自己紹介が終わった後、エリアが私に聞こえる程度の小声で話しかけてくる。
「この中で私が王女だという事と、バルハラン王国へ私達が向かう目的を知っているのは、マリィさんとアルドーさんの2人だけです」
「そうなんだ。みんな馬車に乗り始めたから私達も馬車に乗ろうか」
「はい」
みんなに遅れないように急いで馬車に乗る。
ちなみに、私達が乗る馬車はマリィさんと同じ馬車だ。私達は最初、それぞれ違う馬車の予定だったのだが……。
「春人さん達の馬車を一度見ましたが、あれはかなり目立ちすぎるので私達と同じ馬車に乗ってください」
「それでは馬車が狭くなるのでは?」
「その点に関しては心配無用です。私達が乗る馬車は、外務省が用意した外交用の馬車のためかなりの人数がなることができます」
「わかりました。ご迷惑をおかけします」
「いえいえ、こちらからベルンガ王国陛下にお願いしたのですから、これぐらいは当然のことです」
という感じで一緒になる事となった。
「それでは、バルハラン王国へ向かいます。道中何があるかわかりませんのでご注意ください。全車出発」
『良かった』、『続きが気になる』などと思っていただけたなら、評価やブックマークをしてくださると、とても嬉しいです。投稿日時はバラバラですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。




